相戸岳
相戸岳 (671m 美山町) 2003.1.26 曇り 4人

白山神社前駐車場(9:47)→林道終点西尾根ルート登山口(10:00)→西尾根(10:18)→北尾根(11:09)→相戸岳山頂(11:11-12:44)→集落道路(13:23)→白山神社前駐車場(13:31)

 相戸岳はちょうど3年前の冬に登ったことがある。この時は、一般に紹介されていない白山神社裏から道があってないような人工林の急斜面を登り、東ルートに合流して山頂にたどり着いた。今回は西尾根ルートから東ルートへ、時計回りに一周することとした。

 前回の鳩吹山に続き、今回もオフ登山。「クーの山小屋」で出会ったayameさんご夫妻と4人での山歩きとなった。ayameさんは、半年ほど前から、500mクラスの低山を中心に歩いてみえる。相戸岳も初心者にはぴったりの低山である。

 美山町の国道256号線を北上し、3つのトンネルを抜ける。正面に形のいい単独峰が現れる。美しい山容の相戸岳である。国道の東側にある朝市「美山町ふれあいバザール」のトイレに寄る。国道は出戸の集落で右に曲がっていくが、この交差点を直進。すぐに、右へ2車線の立派な道路が現れるが、この交差点も直進し狭い道へ進み、突き当たりを右折して山を左に走る。すぐに、杉の大木がある白山神社が左手に見える。この神社前の空き地が駐車場である。片隅に相戸岳登山ルートが描かれた白い看板が立っている。小さなトイレが白山神社隣の教龍寺の前にある。

 予定よりも遅めに駐車場に到着したが、車は1台も止まっていない。身支度を始めたところへ1台の車がやって来た。あいさつをしてayameさんご夫婦と分かる。ayameさんとは、特に待ち合わせをしたわけではなく、「今日、相戸岳に登るかもしれない」くらいの掲示板情報であり、運が良ければこの山のどこかで会うことができるかもしれないと思っていただけに驚きである。現に、私たちは西回りルートを、ayameさんは東回りルートを予定しており、駐車場到着が10分違えば、一緒に歩くことができなかったであろう。この偶然にびっくり。

 ayameさんの予定とは逆に、西尾根ルートの登山口を目指す。神社の前を西に進み、登山口案内標識のあるT字路を北に進む。何も標識がないが、道なりに進むといくつかの別荘が現れ、林道終点に突き当たる。突き当たりを左に入り、谷を右に見ながら人工林の中を登る。

 しばらくして道は谷から西尾根目指して斜面に取り付く。10分ちょっとで西尾根に出る。相戸岳は右への標識がある。なだらかな尾根を少し歩いて、再び急登。アカマツが多く、松葉で滑りやすい。所々で左手の山が見渡せ、その向こうに舟伏山の頭が望める。上から人の声が聞こえる。2頭の犬を連れた2人の猟師が先を歩いているようだ。思わず熊よけの鈴を付ける。

 休息を兼ねて、猟師の方から猟やこの山の話しなどを聞くことができた。この辺りには熊が出ることもあり、熊に出会ったときの対処方法などを教えてもらった。また、この山は急斜面が多く、松などの落ち葉で滑りやすいからスパイク(アイゼン)を付けるとよいとのことであった。

 道はなだらかになり、ゆるやかなピークを3つほど越えていく。雪は日陰にある程度。開けた地点からは前方に北尾根が望める。南側には高富町の古城山が見える。東には樹間から谷を隔てた南尾根が望める。かなり登ったところで、小休止。北尾根がだいぶ近づいてきた。

 ここで再び先ほどの猟師に追いつかれた。この先の最後の急登を極めれば、すぐに山頂だそうだ。大岩が現れ、右側をすり抜け、左側へ縫うように登る。急斜面に丸木の階段が続く。最後の踏ん張りどころである。椿などの常緑広葉樹が目立つ。あまりの急登に立ち止まり、振り向けば金華山や百々ヶ峰が望める。

 ひょっこりとササ付きの北尾根に出る。先ほど出会った猟犬の1匹が出迎えてくれた。どこから登ってきたのだろう。相戸岳は右。ここから1・2分で山頂に着く。三角点と日の丸の国旗が中央にある。今まで展望が少なかっただけに、山頂に着いた時の感動は大きい。北の一部は木で視界が遮られているが、これ以外はぐるりと大展望。曇り空ではあるが展望はいい。

 西には舟伏山が大きい。山頂の切り開きが真っ白に見える。この正月に舟伏山からこの相戸岳を望んだが、今日は反対から望む。西に白く輝く山々は小津権現山から続く峰々。伊吹山が大きく、小島山、池田山、養老山がなだらかな山容を見せる。南には、長良川が輝き金華山や百々ヶ峰が小さい。古城山、汾陽寺山、天王山、権現山、誕生山が東西ラインに並ぶ。東の遙か遠くに笠置山が浮かび、少し南に移動すれば北東の高賀三山が美しい。白や青の冬の山々が地上の星となって星座を作っている。この山はまさに美濃の山の中心ではないか。

 雪のない南側がランチプレース。まずはビール。今日の出会いと登頂に4人で乾杯。今回、初めてフカヒレスープなるものを作ってみた。生卵を1個入れるという簡単なものであるが、冷めにくくて、冬の山にはお勧めの1品。山談義や世間話に話しがはずみ、コーヒータイムまでの1時間半があっという間に過ぎた。今日はこの天気でもあり、山頂は我々と他のご夫婦の2パーティーのみ。

 記念写真を撮って、下山は東ルートへ。展望の良いなだらかな尾根を少し歩いてから急坂を下る。かなりの斜度で、落ち葉が積もって滑りやすいので慎重に下った。西側には午前中に登ってきた西尾根がよく見える。我々のピッチが速く、ayameさんにはご迷惑をおかけしました。汗がでるほどの勢いで落ち葉を舞い上げながら下り、人工林を抜けて民家の裏に出た。神社に抜ける近道があるが、気づかず集落の中を通って、駐車場に戻った。また、どこかの山を一緒に登ることを約束して、ayameさんと別れた。ありがとうございました。

 相戸岳の東ルートは初心者向きと言われ、猟師の方からも普通は東から登る人が多いと聞いたが、西尾根コースは平坦な尾根歩きが適度にあり、そこそこの展望も得られることから、西から登った方がよいかもしれない。

 帰路、行きに寄った「ふれあいバザール」で買い物をした。美山町で生産・加工された特産品等が販売されており、多くの客で賑わっていた。朝あった商品はすでにほとんど売り切れている。この施設は、地元の農業者有志らで作る組合が中心となって運営しているもので、採れたての新鮮な野菜、旬の山菜のほか野菜苗や切り花等の直売を行っており、町内で活躍中の陶芸家の作品も販売している。施設内には、飲食スペースもあり、美山町の特産品である桑の木豆(インゲン豆の一種)の五目おこわや本物志向にこだわった手打ちそばの定食類などが用意されている。この手打ちそばはコンクールで最優秀賞を受賞している。登る前に、ここに寄れば、日頃食べられない昼食の食材が全て揃う。次回は、山頂で地域食材の昼食を楽しみたいものだ。
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