トレースマップはカシミール3Dで作成
*この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用しています。(承認番号 平25情使、第146号)
*点線は推定トレース 


芥見権現山<東岩尾根> (317m 岐阜市) 2013.9.14 晴れ 2人

東部クリーンセンター(9:33)→堰堤(9:42)→権現槍(10:09)→稜線(10:31)→芥見権現山(10:34-11:15)→谷コース分岐点(11:26)→谷(11:41)→東部クリーンセンター(11:58)

★9月14日に岐阜市の芥見権現山に登って来ました。
★登ったコースは最近人気の岩場ルート「権現ザイテン」。
★東部クリーンセンターの北側から山に入り、堰堤から東の岩場ルートへ。
★ルートファインディングしながらいくつかの岩場を越え、権現槍のある大岩の下部で西側から岩壁を攻めましたが一枚岩が登れず、東側から取り付き、西側へ回り込んで槍の立つ岩場へ。
★さらに岩尾根を登り、次の大岩も東側から攻めて、次の岩の上へ。
★ザイルで直登する本格的なパーティと出会い、さらに次の岩壁も東側を巻き、稜線に出て山頂を踏みました。
★帰路は、クリーンセンターへ向かう谷コースを下りました。
★この山で、こんなに変化に富んだ山歩きができるとは思いませんでした。


 この夏、久しぶりに権現山に登った。権現山といっても山ほどこの名前の山があるが、今回の権現山は岐阜市東部にある権現山で、幾度か登った山である。2002年の山火事からすでに11年が過ぎた。最近は、南にある各務原の権現山に登ることが多いが、この山は久しぶり。我々のレポートには、2003年に山の北側の願成寺から登った記録がある。

 クリーンセンターを起点に、昔の記憶を辿るように車道を歩いて老洞峠に向かったが、前方の登山者が道路の途中で山に入ったことから、その後を追った。山道を東へ進んでいくと、老洞峠に飛び出した。老洞峠から山頂を目指したが、以前と比べて、山火事の跡は消え、木々も大きくなり、道もしっかりしている。山頂より西の稜線に出て、引き返すように山頂を踏んだ。
 
 山頂の山名標示板には「芥見権現山」と書いてある。ベンチで休息する先ほどの登山者から岩尾根を登ってきたと聞いた。巻き道がありそれほど難しいコースではないとのこと。山頂には2つの岩尾根コースの地図が置いてある。尾根への行き方を教えてもらった。次に、この山に登るときには、このコースを登ろうと決めた。

 まだ暑い日が続く9月、休日の午前中を利用して権現山に向かった。東部クリーンセンターの手前にあるリフレに車を停めようとしたところ、登山者はクリーンセンターの駐車場に停めるよう案内があった。クリーンセンターに向かい、広い駐車場に車を停めて、これから登る権現山を見上げた。山頂の西側に、2つの岩尾根が稜線に向かって駆け上がっている。どちらの尾根を登ろうか・・・。

 駐車場から山沿いの車道に出て、歩道を老洞峠方向に歩く。クリーンセンターの大きな建物がある辺りで山に向かうコンクリート階段があり、これを登る。しっかりした踏み跡が東へ続いており、緩やかに登っていく。荒れ気味の雑木林を5分ほど歩くと堰堤が現れ、この手前で道が分岐しており、右は老洞峠へ向かう道、直進して堰堤方向は岩尾根への道である。

 堰堤を過ぎると、踏み跡が薄くなる。丸木がころがる斜面を登る。焼け焦げている大木もあり、山火事の跡が今も残っている。岩場が現れ、道が分からないが、登れるところを拾っていく。ルートファインディングしながら1つ2つ3つと岩を越える。振り向くとクリーンセンターの建物が大きい。コシダの群落を抜け、左前方に西岩尾根の岩塊が迫っている。この辺りから岩場が連続する。赤布を見つけて、道が間違っていないことを知る。

 岩場を乗り越えていくと大きな岩壁に突き当たった。ここが東尾根にある最初の大岩である。大岩の下で岩を見上げて話し合う登山者の姿が右下に見えた。東側からも登れるようだ。道を拾って行き、大岩の左に回り込んだ。西の岩尾根に向かうにはここから左に下って谷に向かう。西尾根のレポートは次回に。
 
 赤テープがあるので右の岩に沿って登っていくと行き止まりとなり、見回すと右側の大岩に赤ペンキの「↑」がある。大きな直方体のような岩で、平らな急斜面の岩肌は突起が少なく、登ろうと試みたがちょっと危険なのでここを登るのはあきらめた。引き返して大岩の右側に回ってみると、ここにも大きな細長い岩が斜めに横たわっている。こちらは問題なく登れる。
 
 ルートファインディングしながら登っていくと、頭上に尖がった岩が現れ、谷状の急斜面を落石しないように登りきった。思わず声が出る。大展望の岩の上のテラスに出た。眼下にはクリーンセンターの建物がミニチュアのように見下ろせた。西には市街地の向こうに金華山が望める。この先、権現山の稜線に向かって重なるように荒々しい大岩が続く。
 
 前方の大岩をザイルで登るパーティが見える。その大岩を目指して緩やかな尾根を登って、パーティのいる大岩の下へ。ペンキの赤丸は岩壁にあるが、さすがにザイル無しの直登は無理なので、右側を巻き、2つ目の岩のテラスへ。男女3名の方が休息中。下で見かけた登山者と同じパーティで、登ってきたコースなど情報交換。先ほどのテラスにある尖った岩は権現槍だと教えてもらった。
 
 ここで引き返すという3名と分かれて次の岩に向かう。次の大岩は「↑」に沿って登るとさらに大きな岩が現れた。これも登れない垂直の壁。「→」に従って、岩に沿って右に歩く。岩を大きく回り込み、3mほどの岩を登って3つ目の岩のテラスに出た。かなり高度を稼ぎ、ここからの展望もすばらしい。次の岩場は左側を巻き、稜線に出た。

 満開のミヤマママコナの花を見ながら稜線を東に歩くとすぐに山頂。山頂には簡易な小屋らしきものが作られており、アンテナの横の山名標示板には「芥見権現山」と書いてある。以前は岐阜市の権現山と読んでいたが、「芥見権現山」のほうが分かりやすい。山火事直後、この山頂からの展望は360度だったが、今では木々が大きくなり、南北に踏み込んだところに展望地がある。ここから見る金華山は手前の岩田山の三角形が重なる形で見えるのが面白い。
 
 写真を撮っていると単独女性が登ってみえた。多くの山を登って見える方で、この山はホームグランド。岩場コースの状況など情報交換。記録ノートの入った箱の中には東西2つの岩場コースの詳細な地図があり、初心者の迂回路などが記載されている。最初の大岩の取り付きは右側を巻いて権現槍に出るのが正しいようだ。

 下山は谷コースを下ることにした。山頂から西へ稜線を戻り、2つの岩尾根を通過した先で南へ下る。分岐点に標示は無い。潅木の中、西方向に斜めに下って行き、折り返して東に向かう。明るい道となり、展望もよくなる。百々ヶ峰や金華山など濃尾平野の低山が重なって美しい。ザレた道を下る。山栗が実を付けており、山火事の山はかなり復活してきた。

 こんなに東へ下っていいのかと思う頃、西に向きを変えて谷に向かってどんどん下る。急な岩場を下りると谷底へ。谷はほとんど涸れており、一直線に涸谷の石の上を下っていく。5分ほど下ると岩壁の上部に出るが、ここは左に巻き道が付けられている。ススキの茂る細道を滑らないようにトラバースして、再び谷に下りる。

 大岩の下に水溜りができており、岩の上からわずかな水が流れ落ちていた。登りとは対照的なコース。この低山にも水の流れる谷がある。水の流れが消えた谷を再び下る。右に大きな岩が現れ、その下を潜るように通り抜ける。いつの間にか現れた水流がサワサワと音を立てる。水量が多くなった谷を右から左へ渡ると堰堤があり、その左を通って車道に出た。目の前がクリーンセンターの駐車場だった。

 実に変化のある山歩きを楽しむことができた。今回歩いた登りの岩場コースは山頂に地図が置いてあるが、バリエーションルートであり、岩場で踏み跡が分からないところもある。岩をよじ登るところが多く、三点支持などの技術が必要であり、初心者にはお勧めできるコースではない。

 今回は、東尾根を登ったが、次は西にある岩場に挑戦したい。
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