ブンゲン
ブンゲン
ブンゲン (1260m 坂内村) 2004.4.3 曇り 3人

奥伊吹スキー場駐車場(9:03)→第8リフト終点(9:23)→第9リフト終点(9:35-9:48)→第10リフト終点(10:21)→大岩(10:39)→ピーク(11:01)→ブンゲン山頂(11:07-12:51)→大岩(13:17)→第10リフト分岐点(13:22)→ピーク(13:30)→第7リフト合流(13:41)→奥伊吹スキー場駐車場(12:36)

 2月に「クーの山小屋」の皆さんとブンゲンを目指したが、大雪に阻まれ品又山に変更。ブンゲンはスキー場に迷惑をかけないために奥伊吹スキー場が閉鎖した後の残雪期に登ることとした。カッペさんから、登るなら雪のある4月初旬しかないとの情報をいただいた。

 3月末で奥伊吹スキー場が閉鎖になったことを確認し、今回は品又山参加のblueskyさんと3人でリベンジ。伊吹山を右に見ながら奥伊吹スキー場を目指す。天気予報は曇り後晴れ。伊吹山の山頂は雲に隠されている。しだいに晴れることを期待した。スキー場は閉鎖中なので、奥伊吹スキー場へ入る交差点の南にあるりっぱなトイレに寄った。トイレはこの先の道沿いにもあった。また、スキー場のゲレンデを少し上がったキャンプ場近くにもある。

 すっかり雪の消えた道を進み、スキー場の管理棟横まで車を上げ、荷物を下ろしてから車をスキー客用駐車場に止めた。登山者の車は1台も停まっていない。スキー場では後片づけが始まろうとしていた。従業員のおばさんに「山に行くの。雪があるから気を付けて。」と声をかけられた。ゲレンデの上部には雪が見える。

 稜線まではゲレンデの右端にある第1、第8、第9、第10リフトに沿って登る。第1リフトは短い。雪はないが先週までスキー場がオープンしていたため、雪解け直後であり、草は枯れたまま。未舗装道路がリフトと並行して走っているので道路を歩く。リフト下には色々なものが落ちているが、一番多い落とし物はタバコの吸い殻であるのが寂しい。

 すぐに後方に美しい雪山が見え始めた。金糞岳である。ゲレンデを登るにしたがって、ぐんぐん立ち上がってくる。品又山の時にはこのリフトでひどい目にあった話しをしながら、20分で第8リフト終点に到着。品又山へは左のゲレンデを登ったが、ブンゲンへは右へ直角に設置された第9リフトに沿って登る。一面雪となり、おまけに急坂。昨日の雨でズルズルの雪質であり、ツボ足で滑る。北西に見えた金糞岳は低くなってきた雲に隠れようとしている。

 息を切らしてゲレンデを登り切ると第10リフト管理小屋が待ち受けている。最後のゲレンデ登りである。ここも一面雪。blueskyさんにいただいたチョコレートが美味しい。ここで我々はワカン、blueskyさんはスノーシューを装着してスタート。さすが、歩きやすい。左手に品又山展望台の櫓が見える。振り向けば金糞岳は雲の中。第10リフト小屋の前に単独登山者が見えた。登山者は我々だけではなかった。

 ゲレンデの右端を歩いていたら、いきなり片足が落とし穴にはまり込んだ。よく見ると、側溝がある。側溝は縁だけではなく、ゲレンデを斜めに何本も横切っており、雪が浅くなった時期には要注意。リフト終点間近は雪が消え、20mほど土の上をワカンで歩いた。

 第10リフト終点に到着。ブンゲンは見えないが稜線が一望できた。南の尾根に大岩が見える。その上に人の姿を確認。どこから登ってきたのだろう? 北側の一段高い所にはには第11リフトの終点がある。さて、どちらへ行くのか。地図で確認していると、若い単独男性に追い抜かれた。男性のトレースを追って、東へ直進する。崖の砂が風で舞って雪が茶色になっている。

 すぐに主尾根に突き当たった。左は品又峠への道のようだ。帰路はここから品又峠に下りたいと思った。ブンゲンは右。大岩まで時計回りに尾根を歩く。白い世界に潅木が適度に並び快適な稜線歩き。気持ちがいい。ところどころにテープが付けられている。

 先ほど大岩の上にいた男性と出会った。どこから登られたのか尋ねると、スキー場下の「若竹荘」から登ってきたとのこと。そんなルートがあるとは知らなかった。トレースがない訳である。ネマガリタケがあるが道はしっかりしているらしい。男性と別れ、大岩までひと登り。大岩を右に直進と思っていたが、その先は行き止まり。北東にアンテナの見える山は貝月山。南にはこれから歩く稜線が広がり、山頂手前のピークの左にちょこんと頭を出したブンゲン山頂が望めた。

 大岩手前から南に下る。下り口の目印は白いポリタンクと赤テープ。先月、湧谷山で出会った方から、ブンゲンは天候が悪く視界がきかないときには道が分からなくなるから登らない方がいいと教えていただいたが、それがよく分かる。尾根は明瞭ではなく、いくつも入り組み、おまけに道はめまぐるしく方向を変える。天候によってはトレースが消えることもあるので、赤布を付けながら歩いた方がいい山だ。

 広い稜線を一旦下って登り返す。大木ではないが、ブナが多い。小ピークを下り、再び雪原に下る。南斜面にはわずかではあるが雪が切れているところもある。ここから、山頂手前のピークに向かって広い斜面を登っていく。登り切ると、ピークてっぺんに雪が無く、「七四」と書かれたブロック柱と赤テープがあった。ピーク下りの道に雪がなかったので、東に回り込んで雪の上を歩く。

 鞍部から山頂への最後の登り。三角形の頂点に向かって登る。雲が低くなり、右からガスが流れ出した。登り詰めて、なだらかな道の先に山頂がある。先ほど追い越された男性の姿が見える。なだらかな尾根は雪屁があったらしく、大きく盛り上がっている。快適快適。そして山頂に到着。

 西側は潅木に遮られているが、切り開きから金糞岳が望める。昨年、登ったときに樹氷が美しかったことを思い出す。南の雪の虎子山がすばらしい山容を見せる。昨年、ラッセルしてたどり着いた山だ。その奥にアンテナある国見岳。この冬に深い雪で苦戦した階段が白い直線になって見える。伊吹北尾根の先にはお釜を伏せたような伊吹山が霞んで見える。南東には鎗ヶ先山がかっこいい。北には1月にあられが降る中を登った貝月山が見える。どれも思い出のある山ばかりだ。

 山頂は南北に細長く、白い小さな山名プレートが潅木に掛けられていた。南端で昼食にする。blueskyさんの味噌煮込みうどんと我々のフカヒレ雑炊を取り分けた。ブンゲンから虎子山に続く稜線を見下ろしながら食べるランチは最高に美味しい。ご夫婦の登山者が到着。揖斐高原スキー場坂内ゲレンデから登ってみえたとのこと。2時間半くらいで登れるそうだ。次はこのコースで歩いてみたい。その後、2名のスキー組が到着。一部地面が見え始めたところもあり、スキーが楽しめるのもこの頃までのようだ。

 今回は、珍しくパーコレーターを忘れてきたので、コーヒーのかわりにぜんざいと日本茶。blueskyさんからいただいた伊予柑が美味しかった。南に少し稜線を下ってみたが、残雪が残っており、稜線伝いに歩いて縦走できそうだ。今の時期なら虎子山まで歩けるかもしれない。久しぶりに中判カメラを持ってきたので、周囲の景色を撮った。少し霞んでいるのが残念。

 長い昼食で我々が最後になった。名残惜しいが、下山開始。ピークを下った広い鞍部では、尾根伝いに歩いて道を間違えかけた。第10リフトへの分岐から、帰路は品又峠を経由して下ることにした。先ほど出会ったご夫婦のトレースがあるので、それをたどった。分岐から少し北に行き、尾根を反時計回りに1つのピークを越えていく。ピークにある木にT定規の形をした新しいハシゴらしきものが掛けられていた。ここからブンゲンの山頂を見納めとし、鞍部に下る。

 初めてだと、トレースがなければ道が分からなくなるような地形だ。すぐに尾根に出る。尾根筋を歩いて行くような気になるが、前方に見える第7リフトを目標に尾根を横切ってなだらかな雪原を下るのが正しいルート。雪原の潅木に赤テープが付けられており、雪が無い時期にはヤブになるように思われた。ザックザックとかがとから踏み込むワカンの感触が快適だ。

 廃止された第7リフトを右に見ながら、かつてはゲレンデと思われるななだらかな斜面を進むと、前方に裾野を広げた金糞岳のパノラマが目に飛び込んでくる。雄大なスケールに感動。第7リフトの下はこれも廃止された第6リフト。斜面も急になり、ゲレンデの幅も狭くなる。右側はリフトのある崖、左は深い谷。ここも砂地であり、崩壊が進んでいる。雪は砂で茶色い。左側の一部は鉄板で補強してあるところもある。

 雪が無くなったため、ワカンを外す。ワカンは砂と雪でべたべたになっており、ザックに付けたくなかったが、やむを得ない。砂の道はかなり崩壊しており、右側の崖が今にも崩れてきそうな気配。ここには食べ頃のフキノトウがたくさんあった。正面に金糞岳を見ながら下り、右に回り込んで折り返すと見覚えのある景色。今年、品又山に登ったときに歩いた場所が見える。品又峠であり、林道終点の場所。第6リフトの乗り場でもある。

 帰路は、品又山展望台入り口まで登り、前回と同様に一番北側のゲレンデを下った。このゲレンデにも斜めに何本もの側溝が走っており、2・3度足を取られた。ゲレンデ下部は雪もなく、キャンプ場のトイレに寄って、管理棟まで下った。知らぬ間に小雨が降り出していた。

 今年最後の雪山にふさわしいすばらしい山行となった。雪の無い時期にも歩いてみたいものだ。blueskyさん、ありがとうございました。楽しかったです。
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