トレースマップ(カシミール3Dで作成)
百々ヶ峰 (418m 岐阜市) 2005.12.25 晴れ 5人

三田洞駐車場(9:18)→トイレ(9:23-9:36)→尾根(9:56)→鉄塔(10:36)→遊歩道合流(11:10)→西峰(11:17)→反射板・昼食(11:27-13:16)→百々ヶ峰山頂(14:08-14:24)→林道・トイレ(14:34)→駐車場(15:19)

参加者:sizukaさん、katakuriさん、BOGGYさん、RAKU、らくえぬ

 12月の大雪はこの地方では40年ぶり。12月の連休は雪の低山を歩く計画であったが、連休初日に岐阜市街で40cm近くの積雪。この雪なら岐阜市周辺の300mクラスの里山でも十分に雪の山歩きが楽しめる。3連休最終日に、久しぶりに百々ヶ峰に登ることにした。sizukaさん、katakuriさん、BOGGYさんの3人の参加を得て、今年最後の山歩きに出かけたのだが、予想以上の深い雪に悪戦苦闘し、今回も楽しいオフ登山となった。

 今回は久しぶりに百々ヶ峰を北から攻めることにして、三田洞の神仏温泉からアイスバーンの坂道を車で上った。2日前の凍りついた雪が車の腹を擦り、ガリガリと音を立てる。雪で真っ白な広い駐車場には数台の車が停まっており、sizukaさんの車が既に到着していた。全てが登山者の車ではないようだ。

 山頂への一般的なルートは、駐車場入口にあるゲートを抜けて東へ歩く。今回は、BOGGYさんやkatakuriさんのお薦めのコースである、西峰経由山頂のルートを歩くことにした。このコースは我々は初めて。駐車場の南のピークにはこのコ−ス途中にある鉄塔が見える。

 氷の上で靴を履き替えて、駐車場の雪の上を横断し、遊歩道に入る。一昨日の雪にはトレースがあり、これをたどる。5分ほど下ると山際に立てられたきれいで大きなトイレに着く。西峰へのコースはこのトイレのすぐ手前から右に上っているが、トレースも無く、この雪では登山道があることは分からない。ここでスノーシューを装着。我々はワカン。BOGGYさん先頭に山に取り付く。

 ジグザグと登って道は左山で一直線に尾根を目指す。先頭はkatakuriさんに交代。雪の重みで倒れこんだ木々を除けながらラッセル。雪の表面が凍りついて、スノーシューは殆ど沈まないがワカンでは20cmほど沈む。右下への分岐点を直進し、トイレから20分ほど登って尾根に出た。

 ここから折り返すように尾根を登る。遊歩道は無く、山道となるため、雪で道は全く分からない。潅木の間を抜けて、鉄塔のあるピークを目指す。この辺りは人工林となっており、鉄塔まで急緩を繰り返す。急登は3箇所ほどあり、深い雪と倒木で苦戦。2つ目の急登で先頭に立った。ワカンでは30cmほど沈み込むところが多く、かすかに残る道の跡を追ってジグザグに一歩づつゆっくり登る。

 天然林の潅木帯ではソヨゴなどの常緑樹に雪が積もって曲がり、行く手を妨げる。頭上の枝にも多くの雪が残っているが、気温が低く雪は落ちてこない。常緑樹に乗った雪も凍り付いてなかなか落ちてこない。それでも、木につかまると雪の塊の直撃を受ける。

 3つ目の急登をこなして鉄塔のあるピークに到着。鉄塔場所は展望のいいところが多いが、この鉄塔からの展望は無い。小休止して、西峰を目指す。道は鉄塔から南に下って鞍部から上り返せば主峰の稜線に取り付くことになる。鞍部への尾根からは右手に眉山が大きく見える。

 鞍部から西峰北斜面に近づくにつれて、次第に雪が深くなった。倒れこむネズミサシやソヨゴも多くなり、迂回できないような場所も現れた。やむを得ず倒れこんだ木々の下を潜り込んで障害物を突破。全身雪まみれ。四つん這いで潜り込む場面も。斜面に取り付くと、こんどは深い雪の急傾斜が行く手を阻む。女性2人が先頭に立って急傾斜をラッセル。雪がなければ鉄塔から西峰までは難なくたどり着けるが、この雪では倍以上の時間がかかる。奥山へ入ったような錯覚を覚える。標高400mの百々ヶ峰とはとても思えない。こんな里山でこの雪を体験できるのは十年に1度であろう。

 急斜面を登りきると、山頂と西峰をつなぐ雪の遊歩道に出た。この遊歩道にもトレースはない。ひと登りで展望の無い西峰に到着。西峰のプレートがあった。写真撮影は後回しで、昼食場所の反射板へ雪の木々を潜りながら一旦下る。前方に巨大な反射板が見えてきた。反射板を時計回りに巻いて登る。反射板裏手も1mほどの雪が積もっている。フェンスに取り付き、フェンス沿いに南側へ回り込む。かつての山火事でまだ林とはなっておらず、雪の覆われた岐阜市外と、長良川、そしてシルエットで黒く浮かび上がる金華山がすばらしくきれいだ。まさに濃尾平野大展望地。正面に冬の低い太陽がまぶしく輝いていた。

 この大展望地の雪原で昼食とする。雪を踏み固めて平らにして、円陣を作る。今日のメインディシュはkatakuriさんの常夜鍋。ホウレンソウと豚肉のしゃぶしゃぶ風の鍋である。珍しい鍋でこれが美味しかった。その後、蟹を入れて蟹鍋。BOGGYさんは、最近調達した小型のアルコールコンロでラーメンを作る実験。ガスコンロほど早く湯は沸かないが、雪の上でも十分に使えることを実証。かさばらないので、1人の山旅では活躍しそうなアイテムである。デザートは雪の日恒例のパンプディングを作った。プリンの素にスキムミルクを溶かして、今回は鈴カステラにかける。雪の市街地を見下ろしながら食べる、鈴カステラプディングとコーヒーが美味しかった。

 昼食の途中に単独女性が登って来た。この雪の中をここまで登って見えたので、かなりのベテラン。トレースの無い稜線を本峰から西峰まで縦走してみえたようで、「雪の日に登るんですよ」と言われた。昨日も登られたようで、昨日は胸まで雪があったそうだ。

 いつものように食べ過ぎ状態。帰路は遊歩道を下って途中から下山する予定であったが、ここまで来たら山頂を踏もうとの意見に山頂まで歩くことに。フェンス前で片足上げて記念写真を撮り、来た道を戻る。西峰で写真をとって、鉄塔への分岐を遊歩道に沿って直進する。展望のいい遊歩道をジグザグに下って行く。ここも深い雪だ。前方には白い百々ヶ峰が雄大に横たわる。その右には岩田山が美しい三角形を作っている。雪が積もってから落ちたコナラの葉が雪の上に散らばり、太陽の光を受けて葉が雪の中に沈んでいるのがおもしろい。先ほどの単独女性のトレースがうれしい。遊歩道と尾根道のトレースを追う。

 目の前に本峰が大きく迫ってくる。赤く色づいた山柿の実を見ながら山頂への斜面に取り付く。標高差は50m程か。深い雪の中を登りきって多少の登り返しを経て展望台のある百々ヶ峰山頂に到着。2時を回っていることから、山頂に人影はない。東の白山展望地の遊歩道を下っていく登山者が見えた。後に、我々を追っかけてヤブさん、ayameさんが登ってみえたのだが、下山した後だったので出会えなかったのが残念。展望台で雪景色を楽しんでいると2人のご夫妻が到着。松尾池から登って見えたそうで、雪で2時間弱かかったとのこと。

 ここでも記念写真を撮って、帰路は三田洞への通常コースを下ることにした。北にある遊歩道のトイレを目指してジグザグ道を下る。この北斜面も1mほどの雪が積もっている。最初のラッセルは相当きつかったであろう。女性2名、シグザグ道をシリセードでショートカットを試みるが、滑るどころか深い雪に埋まるばかり。しっかり踏まれたトレースを東方面の美濃の山々を眺めながらトイレまで下った。

 通常ならここから鉄塔のあるピークに登り返すが、「ショートカットできる道がある」とsizukaさんから教えてもらった。その道はトイレのすぐ西側にあった。1人の足跡が残っており、それを辿った。山頂でスノーシューを外した3人は後方で、ワカン2人が先頭。かなり緩んだ雪を踏んで右山で歩き、しばらくしてトレースのある本コースに合流。このショートカットルートの入り口には黄色のテープが木に巻かれていた。

 雪のジグザグを時折ショートカットしながら下り、地面が見え始めた辺りでワカンを外す。左前方から冬の陽射しが差し込み、まだ葉を落としきっていないコナラが赤く染まって美しい。尾根から南斜面をジグザグと下って広い道に出た。駐車場への近道はこの広い道を横切って堰堤を見ながら橋を渡って下る。再び道に合流してすぐにゲートである。駐車場の雪はすでに凍り始めていた。

 何台かの車が停まっており、ちょうど下にある市の施設でしめ縄作りが行なわれたらしく、しめ縄を持った家族が帰るところであった。行きに経由した鉄塔が夕日に染まって輝いていた。今年、最後の山歩きはこんな近場で深い雪を楽しむ思い出に残るものとなった。「楽しかった」と一同笑顔。このコースは、雪のない時期に登ってみたい周遊コースでもある。
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