トレースマップはカシミール3Dで作成
*この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用しています。(承認番号 平23情使、第517号) 

原山・松倉山 (904m・857m 高山市) 2012.1.9 曇り・雪 2人

原山市民公園駐車場(10:37)→林道横断(11:00-11:12)→原山山頂(11:36-11:47)→かなどこ岩(11:53)→松倉観音堂(12:01-12:10)→松倉シンボル広場(12:24-13:31)→松倉城跡(13:42-13:58)→松倉シンボル広場(14:04)→飛騨の里(14:20-14:28)→原山市民公園駐車場(15:07)

1月9日に高山市の原山と松倉山を周回してきました。
旧原山スキー場の駐車場をスタート。
気温マイナス2度の中、ゲレンデを左に見ながら天然林の尾根へ。
積雪は50cmほど。しっかりしたトレースがあり、軽アイゼンを付けて登りました。
雪の斜面を登り切って、原山山頂へ。雪が降り始め、展望はわずか。
かなどこ岩を経由し、急な谷を下って大岩の下に建つ松倉観音に参拝。
雪が舞う中、さらにシンボル広場まで歩き、東屋で昼食。
昼食後、城の石垣が残る松倉山へ登り、雪が止んだ山頂から、モノクロの高山市街を見下ろしました。
山頂を後に深い雪の遊歩道を下って「飛騨の里」へ。林道を歩き、駐車場まで戻りました。
サラサラの飛騨の雪を楽しむことのできた今年の初歩きでした。

 今年の初歩きは高山市の原山と松倉山。高山市街の東にある低山で、麓には「飛騨の里」や原山市民公園がある。「飛騨の里」から林道が松倉山直下の松倉シンボル広場まで通じており、雪の無い時期であれば車で簡単に松倉山山頂に立つことができる。遊歩道もしっかりしているが、冬は雪があり、本格的な雪山となる。低山とはいえ、標高は900mほど。冬山の装備を万全にして、原山市民公園を目指す。

 東海北陸自動車道を飛騨清見ICから高山清見道路に入り高山西ICで下りた。国道158号線を東進し、原山口の信号交差点を右折して、原山市民公園の広い駐車場に車を停めた。ここは以前原山スキー場がありゲレンデはそのまま残っている。今朝降った雪で駐車場の路面は真っ白。20台は駐車できそうな広い駐車場には数台の車が停まっていた。

 軽アイゼンとワカンを持ってスタート。駐車場の南にあるトイレに寄ってゲレンデの右端を歩く。積雪は20cmほど。ゲレンデでそり遊びをするファミリーを見ながら、フェンスと桜並木の間を登っていく。並木には雪の塊が残っており、気温の低いことが分かる。飛騨牛乳の工場を右に見てさらに登っていくと、「ため池・原山遊歩道」の標示があり、トレースを追って樹林帯に入る。気温は氷点下2℃。積もっている雪はサラサラで、靴は全く濡れない。
 
 アカマツ林を歩き東屋を通過。よく踏まれたトレースにはこの朝歩いたスノーシューの跡がはっきりと残っている。雪山愛好家が多いことが分かる。雪のなだらかな林を進むと、前方に小さな建物が現れた。バイオトイレであるが、冬季は閉鎖されている。現在地が記されたきれいな案内板があり、この先、同じものがいくつか設置されている。ここには原山遊歩道付近の樹木の絵が書かれた看板もある。原山山頂まで850m地点であり、右にあるため池は凍りついて、雪で覆われている。
 
 橋を渡って左方向にアカマツ林を歩く。常緑樹はソヨゴが多く、赤い実を付けている。小さな川を飛び石で渡る。初めて登る山であり、トレースが無ければ登山道は分からないと思った。トレースは凍り付いているところもあり、そろそろアイゼンを付けようと話しながら登ると、林道のような広い道に出た。原山山頂まで550mの標示。ここで6Pの軽アイゼンを付ける。

 登山道は林道を横断して上へと続いている。偽木の手すりに沿ってトレースを追う。適度な角度を保ったまま雪尾根が続く。一息つくような緩傾斜が無い。ジャケットを着ているので暑い。氷点下の世界であり、木々には雪が積もったままで美しい。岩が現れ、ようやくなだらかになると山頂まで200mの標示があった。ウサギの足跡が遊歩道を横切っている。幹に立てかけられたベンチを見ながら再び大岩の横を抜けて、左に谷を見ながら歩くと前方が開けてきた。GPSで山頂が間近なことを確認。

 樹林帯を抜けると山頂に出た。木造のトイレがあり、赤いジャケットを着た長靴の単独男性とすれ違った。雪が降り始め、視界はきわめて悪い。天気が良ければ北側180度の大展望が得られるところだが、今日は高山市の市街地が見下ろせる程度。晴れていれば白山から北アルプスまでの大展望が得えられる山頂だ。
 
 昼食の時間ではあるが、雪が降っているため東屋があるところまで歩くことにする。尾根道を歩く。松倉観音堂まで350mの標示がある。尾根から右方向に急斜面を下る。雪から飛び出したササの道を下ると大きな直方体の岩が現れた。岩の上には30cmほどの雪が積もっており、そこに1体の石仏が乗っている。手を合わせてさらに下る。

 トレースは林の中を左方向に向きを変え、谷に向かって下っていく。雪は深く、積雪50cm以上ある。コースの案内図では稜線を歩いて周回できるような絵が描いてあったことから、道が間違っているのではないかと思った。立ち止まってGPSと地図を見比べ、ルートが間違いないことを確認。谷底にまっしぐらに下っていくと、前方に建物が見えた。そして、登ってくる竹製のワカンを履いた男女2人に出会った。
 
 松倉観音堂に到着。大岩の下に造られた観音堂はいくつかの建物で構成されており、トイレは使用可能。本堂でお賽銭を投げ、手を合わせた。お堂の扉の前の雪にリスと思われる足跡があった。昨夜、リスも参拝に来たようだ。軒下に掛けられた額には馬蹄が4つはめ込まれている。舞台のような建物があり、その前には「松倉絵馬市の由来」が記されていた。
 
 松倉観音堂の本尊は、「馬頭観世音菩薩」といい、古くから「松倉観音」と呼ばれ、牛馬の守護仏として8月9・10日に遠くから牛馬を連れて参詣し、牛馬の安全と五穀豊穣を祈った。しかし、牛馬を引いて参詣するのはたいへん困難であったことから、江戸時代後期に絵馬を携えて参詣する人が増え、絵馬市ができたとのこと。馬蹄が祀られていることがよく分かった。本堂に覆いかぶさる大岩の割れ目には雪を頭に乗せた不動明王の石仏、東側には御岳神社と鳥居がある。静かな銀世界の中で、当時の賑わいがよみがえってくるような気がした。

 観音堂に10分ほど滞在して、幟の立ち並ぶ参道を東へ向かう。道は広くほぼ水平。左山で歩いてすぐに越後町の分岐を通過。松倉シンボル広場まで約700mの標示もある。なだらかな広い道が続く。雪で路面の状況は分からないが参道のようだ。ヒメコマツが多く、枯れた松葉が雪の上に落ち、その上に降った新雪に埋もれた松葉が透き通って美しい。

 本格的に雪が降り始めた。観音堂から15分ほど歩くと橋を渡って大きな東屋に着いた。ここが松倉シンボル広場である。トイレは閉鎖中。高台にも東屋があり、また林道が東屋の下を南北に通過している。正午を過ぎているので、ここでランチにする。雪が降っているので東屋の中で昼食の用意をした。テーブルの上に積もった雪はサラサラで、手で払いのけた。メニューはおでんと卵雑炊。ガソリンストーブは屋外で使用。ガスストーブは氷点下では火力が弱いので、保温用に使用。

 コーヒーを楽しんだ後、高台の東屋に登ってみた。雪は止んだが、遠望はない。晴れていれば方位版に描かれたようなすばらしい山々が望めるに違いない。東には林道を挟んでこれから向かう松倉山がある。
 
 林道を横断して、石仏のあるお堂の横から手すりのある遊歩道を登る。時計と反対周りに歩いて尾根に取り付き、緩やかな斜面を歩くと堀切を通過。目の前に石垣が現れる。石垣の北側を登り、三の丸跡に出て東に進むと二の丸跡の展望地があった。大きな案内図が設置してあり、ここからも高山の町が見下ろせる。井戸跡、大手門跡を通過して東へもトレースがあり、こちらへ下っても「飛騨の里」に行けるようだ。

 引き返して本丸の石垣を登った。本丸が松倉山山頂であり、木の井桁が組んである。三角点の木柱が半分ほど雪の上に出ており、ストックで掘り返してみたが、雪が深く、三角点を見つけられなかった。松倉城跡の解説があり、三木良頼・自網により1558年〜1573年かけて築城され、1585年に金森長近に攻められ落城したとある。ここからの展望もすばらしい。
 
 写真を撮って下山。シンボル広場に戻って、「飛騨の里 約800m」の標示に従って谷に向かって、トレースを急降下。雪は深く、木々には雪が残っており美しい。谷底に下りて緩やかに下ると林道を横断。さらに谷を歩いて再び林道を横断。この林道手前でロープが張ってある空き地があったが、雪に覆われており、何があるのか分からなかった。
 
 人工林に入り、小さな溝に沿って歩くと、前方に「飛騨の里」の合掌造りの家が見えてきた。松倉城の案内板があるところで林道に飛び出した。ここにも案内板があり、この絵の現在地点を良く見て行く方向を確認すればよかったが、そのまま右へ下ってしまった。正しいルートは左の城山林道を登る。少し下ったところで、道を誤ったことに気づき、引き返して、前方に大きなタンクを見ながら登っていく。タンクを過ぎたところで再び分岐があり、ここは右。左へ行けばシンボル広場へ向かう。雪が無ければ車で広場まで行けるようだ。
 
 左に山を見ながら、深い雪の林道を歩く。登山者の足跡やタイヤの跡がある。長靴でウオーキングをしている男性に追い抜かれた。山際から水が引かれ、水を汲めるような場所や、林道下まで住宅団地が迫っているところもある。北斜面の林道であることから雪が深く、美しい雪景色を見ながら歩く林道は退屈しない。

 松林を抜けて北に向きを変えると、広場に製材が積まれた場所を通過。この辺りで路面の雪が消えたのでアイゼンを外し、ゲレンデを左に見ながら舗装道路を下って駐車場に戻った。林道歩きは30分ほどだろうと思っていたが雪道だったこともあり40分ほどかかった。駐車場からは原山山頂の切り開きが手の届くような近さで見えるのに驚いた。

 今回歩いた原山から松倉山への周回コースは遊歩道が整備されており、雪の無い時期はハイキングコースとして楽しめるが、厳冬期には雪も豊富で本格的な雪山歩きを楽しむことができる。高山市の市街地に近いことから、雪の時期に登る人も多いので、トレースがあれば道を誤ることは無いが、トレースがないとルートを外す恐れもある。雪の無い時期に登っておくのがベスト。すばらしい展望地や松倉城跡、松倉観音など見どころも多い。雪の無い時期に登ってみたい山でもある。
★原山・松倉山からの展望

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