トレースマップはカシミール3Dで作成
*この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用しています。(承認番号 平23情使、第517号)
*トレースに誤動作あり 

日野山 (795m 福井県) 2012.9.16 晴れ 2人

登山者用駐車場(9:00)→日野神社(9:09)→古道分岐点(9:24)→室堂(10:05-10:10)→比丘尼ころばし入口(10:30)→長命水(10:50)→日野山山頂(11:02-12:33)→古道分岐点(13:21)→弁慶の三枚切り(13:26)→石の唐戸(13:30)→日野神社(14:01-14:07)→駐車場(14:12)

9月16日に福井県の日野山に登って来ました。
日野神社の登山口から山道へ。
登りは谷を外れて古道に入りました。
今回も暑さにバテながらの登り。
何度か林道を横切って、「比丘尼ころがし」の岩斜面に取り付き、滑りやすい急斜面を登り切って神社の建つ山頂へ。
広い山頂からは360度の大展望。白山から冠山までの山並みを、いつもとは反対の位置から眺望。
帰路は谷沿いの新道を下りました。
大勢の登山者でにぎわう福井県のすばらしい名山を楽しんできました。

 今年は9月になっても真夏のような暑さが続いている。天気予報を見ながら、今年登った野坂岳に続いて、福井県の日野山を選んだ。日野山は今庄市にある独立峰で、越前富士とも呼ばれ、古くから信仰の山として尊崇されている。また、日帰り登山の山として人気がある。高速を使えばそれほど遠い山ではない。

 北陸道を北上して今庄ICから国道365号線に入り、さらに北上。右手に見える格好のいい独立峰が日野山である。日野山を通り過ぎてしまうのではないかと思うほど国道を北上し、王子保駅入口の信号交差点を右折。日野川を渡って右折し、500mほど南下すると、日野神社の石碑が左側に、そして登山者用駐車場と書かれた看板が右側に現れる。集会所のような建物の前にある広い駐車場にはすでに10台ほどの車が停まっており、この山の人気度合いがわかる。
 
 看板の矢印に従って石碑のある道を歩いて中平吹町集落に入る。坂を登っていくと日野神社の鳥居が現れた。大きな神社だ。トイレに寄って、本殿で安全祈願。登山口は本殿左の舗装道路を登る。「日野山登山口」と書かれた石柱を右に見て登っていくと、フェンスが現れた。フェンスには登山者への注意事項として、山頂の休息所内では火を使ったり宴会をしないようにと記されていた。
 
 フェンスの扉を開けて未舗装となった道路を歩く。ハグロソウの花が足元に見られる。砂利道を抜けると、児童が描いたと思われる絵とともに「山頂まで2600m」の標示があった。この後、このようなプレートがいくつか現れる。比較的広い道を蛇行しながら登っていき、小さな橋を渡る。この辺りにはヤマホトトギスがいくつか花を咲かせている。
 
 古道と書かれた道が右に派生している。ここで大きな思い違いをした。古道は山道であり、直進は林道を歩くものと思い込んでいたため、何のためらいも無く古道を選んだ。この思い違いに気づいたのは下山時である。細い道の脇に見たことのない植物を見つけた。花はこれからのようだが、花序や茎の形からシソ科と思われる。
 
 草の茂る林道を横断して鉄梯子を上る。「古道2」の標示がある。ツリフネソウやセキヤノアキチョウジの花を、そして赤い布をまとった小さなお地蔵様を見ながら結構急な斜面を登っていく。9月半ばではあるが、夏のような暑さで汗が落ちる。コンクリートの林道に出てすぐに赤土の山道に入る。石仏を見て、再び林道へ。古道は林道で何度も寸断されている。この時点でも、古道に入らなければこの林道を歩くものと思っていた。
 
 山道に入ってまたまたお地蔵様に手を合わせる。くもの巣が登山道を塞いでいる。先行者がたくさんいるのになぜくもの巣があるのだろう? 誰もが林道を歩いているのだろうか・・・。GPSを見ると、持って来た地図のコースから外れていることに気がついた。それでも、踏み跡はしっかりしているし、お地蔵様もある。古道の標示もある。このまま進むことにする。
 
 暑さでなかなかピッチがつかめず、座り込んで水を飲み、パンを食べる。傍らにクルマバハクマの質素な花がひっそりと咲いている。腰を上げて歩き出すと、また林道を横断。階段で山道に入ると、次第に道はなだらかになってきた。ススキの揺れる明るい道を抜けると二つの建物が立つ広場に飛び出した。室堂・五合目である。男性登山者1名が休息中。下ってくる登山者もある。ツリフネソウの群落が美しい。釣鐘や石仏があり、また「御嶽の滝」と書かれたプレートのところに水が引かれていた。冷たい水で、手や首筋を冷やして生き返る。
 
 室堂を後に広い道に出ると、先ほど見つけたシソ科の花が咲いている。紫色のサルビアそっくりの花だ。帰って調べてみるとアキギリであることがわかった。長いめしべが特徴で、咲いた花はすぐに落ちてしまうようだ。アキギリの群落の隣にはツルニンジンの蕾。広い道から左の山道に取り付き、杉林を登る。2体の石仏を見て、下山者に挨拶。ツルニンジンの花を発見。この花に出会うとちょっと感動。

 林道を二度横断して頂上まで600mの表示を通過。そしていよいよこの山の名物「比丘尼ころばし」に取り付く。「比丘尼ころばし」と書かれた石柱を左に、急斜面に付けられた谷状の狭い道を登る。すぐに岩の急斜面となり、低い位置にロープが設置してある。岩は苔むして緑色をしており、滑りやすい。なるべく苔のない良く踏まれた岩を選んで歩く。低いロープを掴んで登っていると、どこかでこんな格好で岩を登ったことを思い出した。そう、エアーズロックのクサリ場に似ている。

 ピッチをつかんでぐんぐん登っていく。数分登ったところで「比丘尼ころばし」の解説案内がある。女人禁制のこの山に登った尼僧が神の怒りにふれて転げ落ちたことからこの名前がついたとのこと。岩の斜面は途切れることなく続いている。10分ほど登って山頂まで350mを過ぎ、緩やかになると後方が開けたところに出た。西側の下界が見下ろせる。
 
 再び岩のロープ場を登る。これほど長い岩場登りが続くとは・・・。この山は岩でできているのではないかと思った。右に「長命水池」の標示板があったので寄ってみることに。ロープ場を離れて、時計回りに谷をトラバースしていくとすぐに長命水池に着いた。池と言えるものではなく、小さな水溜りで、石仏が草に隠れている。写真を撮って引き返し、分岐した道を右に向かい、比丘尼ころばしに戻った。
 
 再び岩の斜面を滑らないように登っていく。ブナの木が多くなった。登りきって林道を横断し、ロープの設置してある岩肌を登って、さらに岩場を真っ直ぐに登る。この急斜面に、足が悲鳴をあげている。山頂まで50mの標示を見て、元気を出す。ササの道を抜けると、前方が開け、石造りの鳥居が現れた。瓦葺の休息所があり、一段高いところには立派なお社がある。山頂到着。
 
 休息所の建物の影で登山者が休息中。岩を左から登って山頂に到着。まずは神社に参拝して、東側の展望地へ。目の前にはすばらしい山並みが広がっている。手作りの山名標示板を見ながら山の同定。
 
 北から白山釈迦、白山、別山、三・二・一ノ峰、銚子ヶ峰、野伏ヶ岳、荒島岳、部子山、銀杏峰、平家岳、能郷白山、冠山、金草岳といつも見る山々を裏側から見ている。岐阜県の山の多くは登ったことのある山々であり、その時のことが懐かしく思い出された。岐阜県側からはなかなか見ることのできない冠山がとんがって見えるのに感動。そしたまだ登っていない福井県の山々にいつかは登りたい。大パノラマにカメラを向けて、写真を撮りまくった。

 展望を十分に楽しんで、昼食にする。僅かな木陰では多くの登山者が昼食中。空いているスペースでザックを下ろしてシートを敷いた。昼食のメニューは冷やし中華。食べていると一匹の犬が我々の前でお座りをした。きれいに手入れされた犬で、どうやらランチのおすそ分けがほしいようだ。卵焼きを少しあげると美味しそうに食べて動く気配なし。近くの登山者から昨日もこの犬がいたと聞いた。
 
 隣の女性と山談義。地元の方で、日野山にはよく登るとのこと。古道を登ってきたことを話すと、古道は女性一人では心配なので一度も登ったことがないと言われた。古道はしっかりした登山道であり問題は無いのだが・・・。犬はいつの間にかいなくなった。反対側から登ってきた登山者があり、逆側からも登ってこられるようだ。この先に三角点があると聞いたので、昼食後、三角点まで行ってみた。
 
 三角点はすぐ先の広場の一角にあり、その広場には行者碑や研修記念碑などがあった。南側の展望がすばらしく、山間を縫う北陸道や日野川が見下ろせる。引き返して、山頂を後に下って休息所に入ってみた。思ったより広い室内で、水などが置いてある。落書きが多くちょっと残念。
 
 さらに北に道があったので行ってみると神社のような建物があり、その前からは北側の展望がすばらしく、越前市街が広がっている。帰路は鳥居からではなく林道を下ろうとしたが、ササに覆われた道には苔が生えて滑りやすく、引き返して登ってきた道を下ることにした。
 
 比丘尼ころばしを慎重に下る。長命水分岐点を過ぎたところで20名以上の団体とすれ違った。室堂まで下って、冷たい水で手を洗って、ノンストップで下る。林道に出たところで、行きと同じ道ではなく林道を下った。途中から右へ分岐している山道があったのでこの道に入る。登ってきた道に合流すると思ったが、どうも様子がおかしい。「左 石の唐戸ニ至ル」の石柱を見て、道は右に曲がり谷方向に向かっている。GPSを見ると、登ってきたルートは目の前にあるが、しだいに離れていく。持ってきた地図のコースは谷コースだったので、このまま下ることにした。

 3枚の板状の石が重なった「弁慶の三枚切り」を通過し、左山で下っていくと、大岩に突き当たる。これが石の唐戸であり、大岩の下の祠には水がパイプで引かれている。この冷たい水を飲んで、ペットボトルにも詰めた。石の唐戸を巻くように下ると、今度は焼餅岩を通過。石の多い谷状の道を歩く。この辺りにもアキギリが咲いている。
 
 ロープ場を下りて谷沿いに下る。堰堤を見てさらに下ると古道の分岐点に出た。ここでようやく理解できた。正式な道は下りの道であり、新道すなわち参道は林道ではないことが分かった。下調べは十分にすべきである。日野神社まで下って、無事下山を報告。集落を抜けて駐車場に戻った。
 
 日野山はうわさ通りの、実に楽しい人気の山だ。変化に富んだコースで、特に比丘尼ころばしは他の山では体験できない。山頂からの展望はすばらしく、アキギリなどの花も楽しめる。季節を変えてまた登りたい山である。

 帰路、花はす温泉で汗を流した。この温泉の周囲には多くの品種のハスが栽培されており、花はほぼ終わっていたが、広大なハス園は見事である。また温泉の裏には杣山がある。短時間で登れそうなので、他の山と組み合わせて登ってみたいと思った。
★日野山からの展望




★日野山の植物

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