トレースマップはカシミール3Dで作成
*この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用しています。(承認番号 平25情使、第146号) 

火燈山・富士写ヶ岳 (803m・942m 石川県) 2019.5.3 晴れ 2人

富士写ヶ岳駐車場(6:55)→白山神社(6:59)→鉄塔(7:25)→火燈山(8:40-8:46)→小倉谷山(9:12-9:18)→ピーク1(9:25)→ピーク2(9:35)→鞍部(10:12)→富士写ヶ岳(11:08-12:42)→林道(14:10)→駐車場(14:14)

★5月3日に石川県の火燈山と富士写ヶ岳に登ってきました。
★白山神社近くの駐車場をスタート。
★大内峠から火燈山に向かって尾根道を登り、鉄塔を通過。
★天然林の新緑が美しい登山道でチゴユリやシュンランなどいろいろな花を見ながら歩き、やがてシャクナゲの道に。
★シャクナゲの花は終わりかけていましたが、標高を上げるにつれて満開の花が見られるようになりました。
★ギフチョウが舞う火燈山山頂からは、春霞で展望は今一つ。
★かなり遠くに見える富士写ヶ岳に向かって東に向かい、小倉谷山山頂を通過。
★シャクナゲの咲く稜線をアップダウンしながら歩き、急斜面を急降下して鞍部へ。
★鞍部から標高差約200mを登り返して富士写ヶ岳山頂を踏みました。
★大勢の登山者で大賑わいの山頂の一角で昼食。
★帰路は白山神社に向かって展望いい灌木帯を、大パノラマを楽しみながら下り、急斜面が続く滑りやすい樹林帯を一気に下って駐車場に戻りました。
★花と展望が素晴らしく、変化に富んだロングコースを歩き切って、大満足の山旅となりました。

 鯉のぼり登山2日目は、福井と石川県境にある「火燈山」から石川県の名山「富士写ヶ岳」を縦走する。このコースはシャクナゲが多く、この時期に登ってみたいと思っていた山でもある。

 火燈山から富士写ヶ岳への稜線は、小倉谷山などいくつかのピークを越えるが、富士写ヶ岳手前では標高差150mほどを下って200mほど登り返さなければならないことから、標高1000mを切る山とはいえ、累積標高はかなりある。
 
 福井県永平寺町から山中温泉に向かう国道364号線に入り県境にある丸岡・山中温泉トンネルを抜けて100mほど先で右折して戻るように旧道に入る。500mほど走ったところで左に富士写ヶ岳の登山口が現れ、その先の右側に未舗装の大きな駐車場がある。

 7時前であるが、既に先行者の車があった。鯉のぼりをザックに付けてスタート。車道を南に上がっていくと、富士写ヶ岳を目指す登山者とすれ違った。300mほど歩いたところに白山神社があり、ここにも駐車場がある。簡易トイレも設置してある。
 
 白山神社の前のスペースにも駐車可能であるが、この日は祭礼が行われることから神社の前には駐車しないようにと張り紙があった。白山神社に参拝して、ここから山道に入る。
 
 ラショウモンカズラやオドリコソウなどたくさんの花に歓迎されながら、山道を登り詰めるとすぐに大内峠に着く。登山口は峠のすぐ先にあり、左の急な尾根に取り付く。右側にある車道の法面上部をロープに沿って登って行くと、左前方に稜線が望める。これから歩く稜線であろうか・・・。
 
 人工林の境を通過し、木の根が張った尾根や急なロープ場を通過。トウゴクミツバツツジの花を見ながら新緑の美しい天然林を登って行く。疎林のところからは前方のピークが見え隠れする。
 
 383mピークを越えて少し下ったところで鉄塔に出た。左右が開けており、左側の谷を挟んで見える小さな513mピークの向こうに富士写ヶ岳が望めた。遠い。
 
 道が分岐しているが、ここは尾根道に進む。前を歩く単独男性が写真を撮ってみえたので、聞けばシュンランの花が咲いているとのこと。我々も写真を撮った。チゴユリの花も見られる。
 
 急な斜面にはロープが設置してあり、急緩繰り返しながらの登りが続く。前を歩く男性と山談義をしながら歩く。石川県の方で、岐阜の山にもよく登られるそうだ。今回は花を見ながら火燈山までの行程とのこと。今年はシャクナゲの花が少ないそうだ。

 そんな話しをしながら登っていくと、シャクナゲの群落が現れたが、花は既に終わりかけている。シャクナゲの山といわれるだけあって、登山道の両脇にはシャクナゲが続く。標高を上げるにつれて、花が見られるようになった。花が少ない年とはいえ、朝日に輝くピンク色の大輪は見事である。何枚も写真を撮りながら歩く。
 
 ササが現れ、明るい潅木帯を登り切るとピークの上に出た。板切れに「ここは739m 山頂まで20分」と書いてある。火燈山山頂手前の739mピークである。ピークから少し下って、ブナの林を緩やかに登って行く。「火燈古道 熊の平」の標示があるあたりのブナ林は美しい。
 
 ロープのある急斜面となった辺りで咲き遅れたイワウチワの花が見られた。シャクナゲの花に癒されながらササの通路を抜けると火燈山山頂に到着。山名標示板の下には「ふわく新道 小倉谷山を経て富士写ヶ岳へ」と書いてある。
 
 山頂からの展望は素晴らしく、これから向かう小倉谷山とそれに続くコブのある稜線、その左には富士写ヶ岳がなだらかな山容を見せる。まだ遠い。北西には石川県の田園が望めた。
 
 ここで男性と別れて、次のピークである小倉谷山に向かう。小倉谷山を正面に見ながら、気持ちのいい尾根を下っていく。鞍部までの下りはわずかで、緩やかに登り返す。

 終わりかけたタムシバの花を見ながら歩くと、ロープつきの道となり、登り詰めて展望の尾根を進んだところで小倉谷山山頂に到着。火燈山からは約30分の道のりである。山頂からは360度の展望が得られ、富士写ヶ岳の全容が見られるようになる。その手前にはこれから越えなければならない2つのピークが潅木を透して見えた。

 ピークの上を蝶が飛び回っている。春型のアゲハチョウかと思ったが、ギフチョウのようにも見える。途中、カンアオイがたくさんあったことからギフチョウでもおかしくない。なかなかとまらないので少し粘ってようやくギフチョウであることを確認した。ここで出会えるとは思ってもみなかった。この先のピークでもいくつかのギフチョウに出会えた。
 
 富士写ヶ岳まで2時間の標示を確認して、山頂から北方向に向かう。タムシバの花の純白が美しい。次のピークはすぐ先に見える。稜線の右側を慎重に下ってシャクナゲの道を登るとピーク頂上に到着。ここも大展望地である。
 
 次のピークの向こうに富士写ヶ岳が見える。だいぶ近づいてきたが、まだ遠い。タムシバの道を少し下ってロープ場を登ると10分ほどでピークの上に出た。さらに稜線を進むと、いよいよ富士写ヶ岳が正面に堂々とした姿を見せる。鞍部まではかなり下りそうだし、登り返しもきつそうだ。
 
 明るい潅木帯を急緩繰り返して下っていくと、ササが道を覆うようになる。しかし、道は明瞭。軽装でランニング姿の何人かとすれ違うようになった。富士写ヶ岳を経由して、我々と逆コースで走るトレイルランの人たちのようだ。
 
 ヤブの道を抜けると鞍部に向かって急降下が始まる。ロープが設置された一直線の垂直に近い道を後ろ向きで下りる。標高が下がるにつれて、前方の富士写ヶ岳山頂が手前のピークに隠されていく。これでもかと下りが続く。
 
 団体のパーティが登って見えたので、道脇で待機。小学生を引き連れた10名ほどのパーティで、子供たちは元気に急斜面を登ってくる。10時にここまで来られるのだからかなりの健脚である。
 
 さらにロープ場が続き、登ってくる人と道を譲り合いながら下った。この急斜面を10分ほどかけて下り、ブナ林の美しい緑の中を水平に歩く。この辺りにもシャクナゲがたくさん咲いている。
 
 鞍部から登りにかかる。銀色に輝くブナの回廊は気持ちがいい。傾斜が増してくるが、最後の登りとがんばる。標高を稼ぐにつれて芽吹いたばかり潅木となり、どれも雪で傾いている。
 
 スミレサイシンやタムシバを見ながら青空に向かって登って行くと、人の声が聞こえるようになり、山頂に到着。まず人の多いことに驚いた。かなり広い山頂の周囲は登山者で埋まっており、人気の山であることがわかる。

 方位盤があり、山の同定ができるが、平たい山頂の周囲は潅木が茂って、眼下まで見下ろせる展望地とはなっていない。中央には一等三角点がある。3つのコースが山頂で合流しており、ダムから登ってくる人が多いようだ。我々が登って来た新道を利用する人は少なく、4時間かけて登ってきたことに驚かれた。
 
 人の輪の隙間を確保して昼食にする。メニューは缶詰とスナップエンドウ入り卵チャーハン。木陰がなく、直射日光の下は少し暑い。いつものようにパーコレーターのコーヒーで閉めて、昼食を終えた。昼食の間、登山者は絶え間なく登ってみえる。1時間半ほど山頂に滞在して、白山神社方向のコース入り口を確認してスタート。
 
 ササ付きの潅木帯を緩やかに下る。イワウチワの群落があり、ちょうど花の最盛期。やがて展望のいい道となり、今日、歩いてきた火燈山や小倉谷山などの稜線が見渡せる。遠くから歩いてきたことがわかる。

 爽やかな風の中、気持ちのいい道を歩く。傾斜が急になり、ロープ場を通過。下に見える馬の背のような尾根に向かって下り、ブナ林を抜けると再び展望地を通過。シャクナゲやトキワイカリソウの花を見ながら樹林帯に入り、溝状になった道を下る。
 
 急なところやかなり掘れた場所もあり、慎重に歩いた。単調な道が続くが、新緑が美しく癒される。急斜面が続き、ここの登りもきついに違いない。前方を歩く2名の男女を追ってひたすら下る。木の根をつかんで後ろ向きに下るようなところもある。
 
 ベンチや標識など目印になるものは何もない。次第に谷が近づき人工林に入ると林道に合流して右折。合流点に富士写ヶ岳山頂まで約2時間の標示がある。左に墓地を見ながら、人工林の中を歩き、車道に出ると駐車場は目の前。まだ駐車場にはたくさんの車が停まっており、入りきらなかった車は車道の路肩に列をつくって停まっていた。
 
 稜線縦走の変化に富んだロングコースを歩き終えて、かなりの達成感があった。火燈山を経て富士写ヶ岳に至るコースは、展望や花、ブナ林など魅力的な尾根歩きで、最高に素晴らしい。お勧めのコースである。
★火燈山・富士写ヶ岳からの展望


★火燈山・富士写ヶ岳の花

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