トレースマップはカシミール3Dで作成
*この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用しています。(承認番号 平25情使、第146号) 
*今回のトレースは赤線

貝月山 (1234m 揖斐川町) 2019.11.23 晴れ 2人

長者の里駐車場(8:37)→水タンク(8:43)→猿後家渡瀬(8:52)→山犬の岩穴(9:00)→少将淵の滝(9:23)→三段の滝(9:58)→ヒフミ新道合流(11:07-11:15)→小貝月直下(11:21)→江美の池(11:33)→貝月山山頂(11:42-12:51)→ヒフミ新道離脱(13:15)→三段の滝(14:11)→猿後家渡瀬(15:05)→水タンク(15:12)→長者の里駐車場(15:21)

11月23日にまだ歩いていなかった長者の里コースを登って貝月山に行ってきました。
長者の里キャンプ場の奥から谷に沿った紅葉の登山道に入り、猿後家渡瀬や少将淵などを通過。
谷川を何度も渡りましたが、水量が多く、また濡れた岩が滑りやすいため、渡河しやすい場所を選定。それでも川にはまり込むこと多数。
踏み跡は比較的しっかりしており、たくさんの紐が道案内してくれました。
三段の滝を経て源流まで登り詰め、稜線に向かって急斜面を登りました。
コースタイムをかなりオーバーして貝月スキー場からのルートに合流。
すっかり葉を落とした稜線を歩き、小貝月を通過してたくさんの登山者で賑わう貝月山山頂に到着。
快晴の空の下で360度の展望を楽しみました。
山頂で昼食の後、登ってきた道を下りました。
急斜面を慎重に下り、渡河に苦戦しながらキャンプ場に戻りました。
晩秋の美しい谷を遡行し、久しぶりにワイルドな登山を楽しむことができました

 貝月山は何度も登っているが、3つある登山ルート(長者平ルート、ヒフミ新道、ふれあいの森ルート)のうち、まだ登っていなかった長者平ルートを登ることにした。登山口となる長者平にはキャンプ場が整備されており、子供が小さい頃、谷沿いのテントサイトで何度もキャンプをした思い出の場所である。当時、数多くのキャンプ場に出かけたが、最も雰囲気のいいテントサイトはこの長者平キャンプ場ではないだろうか。

 キャンプ場入り口の広い駐車場に車を停めた。ここは鍋倉山登山のときにも利用する駐車場である。靴を履き替え、谷歩きであることからスパッツを装着して、キャンプ場への舗装道路を上がっていく。センターハウス手前にあるトイレに寄ったが、ここに登山届箱があることを下山時に気がついた。

 センターハウスの裏を通ってテントサイトの最奥から人工林に入ると水タンクらしきものがある。この横を通って谷川に出る。対岸の木に黄色い紐が結んであり、ここで乾いた石を踏んで川を渡る。

 川を右に見ながら人工林を抜けると看板が現れた。看板には「猿後家渡瀬」とあり、語り継がれた伝説が書いてある。看板の横には大岩が重なってできた隙間に小さな猿後家地蔵が静かに佇んでいる。

 お地蔵様に手を合わせて先に進む。色とりどりの紐が木に巻き付けてあり、踏み跡も確認できる。最近付けられたと思われる新しい黄色い紐もある。再び渡河。この先、何度も川を渡ることになる。

 山犬の岩穴の標示を見て谷を詰める。谷川の水量が多く、適当な踏み石がなく、渡る場所を探しながら渡河。苔が生えた岩や濡れた岩は滑りやすく、滑って川にはまり込むハプニングも。このハプニングで余計に慎重になって川を渡り、想定外の時間がかかる。

 この辺りの紅葉は終盤にさしかかっているが素晴らしい。木漏れ日の下にコアジサイの黄色い葉が美しく輝いている。最近付けられた黄色い紐が道に沿って張られているので、迷うことなく安心して歩ける。

 歩き始めて50分ほどで、右下に滝が現れた。少将淵の滝である。ずいぶん昔の春、この滝まで歩いたことがあった。道中、オオバキスミレがたくさん咲いていたことを記憶している。滝を後にコアジサイの道を左山で歩き、渡河。ステップの付けられた大岩を、ロープをつかんで登り、谷を渡り返す。急な岩場にはロープが設置されていている。

 渡河を繰り返しながら谷を詰めていくと、次第に周囲の木々の葉が少なくなり、道は落ち葉で覆われている。炭焼き跡と思われる石垣を通過。その先で再び石垣が現れる。炭焼き跡から10分ほど歩いたところで左の谷に滝が現れた。3つの滝があり、三段の滝と呼ばれている。

 草付きの道をトラバースして滝の横で小休止。パンを食べて元気を付ける。ここまでそれほど標高を稼いでいないことから、登りはこれからが本番である。道の両脇にササが現れ、次第に細くなった谷に沿っての登りが続く。やがて広い谷となり、すっかり葉を落とした木々の銀色の幹が空に向かって背を伸ばす。

 岩場を超え、緑の草の道を歩き、ロープ場を通過。谷を左にトラバース道を慎重に歩いて、急傾斜になった涸れ谷の石を踏んでいく。歩き始めて2時間が経過。渡河に苦戦したことでかなりコースタイムをオーバーしている。枯れ谷を源流まで登り詰め、谷を離れて尾根への登りにかかる。

 急斜面を登るとイワカガミの群落がある灌木の尾根に出た。急斜面の痩せ尾根をロープに捕まって登り、背丈ほどあるササを分けるとヒフミ新道に合流。分岐にある案内標示が倒れている。岩に座って小休止。ここまでちょうど2時間半かかった。小津権現山や鍋倉山などの大パノラマが目の前に広がっている。

 山頂に向かってしっかりした道を歩く。小貝月の左を巻いて下り始めると前方に貝月山が姿を現す。雨水で掘り取られた道を下り切って、江美の池を左に見ながら登りにかかる。石の転がる広い道を登り、ブナの回廊を抜けると展望台のある貝月山山頂に到着。

 久しぶりの貝月山はいつものように大勢の登山者で賑わっている。展望台に上がってみると、雲1つ無い青空の下、360度の大展望。山の同定を終えて、山頂の一角で伊吹山を見ながら昼食にする。

 メニューはカレーうどん。昼食を終えた登山者が下山していく方向を見ていると、ヒフミ新道に向かう人が多い。長者平コースは我々だけのようだ。下山もかなり時間がかかりそうなので早めに昼食をとって、登ってきた道を引き返す。

 ヒフミ新道を離脱し、急斜面の尾根を下って谷の源流へ。谷に沿って下り慎重に渡河を繰り返すうちに、渡河のコツを学ぶ。@渡る場所は転倒してもケガをしない平らな場所を選ぶ。A手を石につくくらいの低い姿勢で渡る。B靴が濡れても気にしない。それでも、帰路、足を滑らせて川に転倒した。紅葉の美しい谷の写真を撮りながら、無事にキャンプ場に戻った。

 久しぶりにワイルドな面白い山歩きができた。昔、登山道がない山は谷を源流まで詰め、急登し尾根に出るという登山方法だったそうだ。まさにそんな古典的なルートだと思った。

 長者平コースを歩く人は少ないと思われるが、テープが無数に付けられており、踏み跡も読み取れる。ただし、谷を渡る場所がたくさんあり、滑りやすい。増水時は渡河が難しい。また谷沿いのトラバースやロープ場もある。時間に余裕を持って、慎重な行動が必要なコースである。新緑の時期に登ってみたいコースでもある。
★貝月山からの展望

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