トレースマップはカシミール3Dで作成
*この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用しています。(承認番号 平17総使、第654号) 

金華山サークルトレイル 【尾崎三峰山(245m)→岩田山(270m)→舟伏山(262m)→西山(176m)→金華山(323m)→232mP(鷹巣山)(232m)→洞山(206m)→権現山(190m)】(岐阜市) 2009.12.23 晴れ・曇り・雨

軍人墓地(7:45)→尾崎三峰山山頂(8:23-8:29)→尾崎三峰山北登山口(8:49)→岩田山登山口(8:58)→稜線(9:25)→岩田山山頂(9:31-9:39)→蛇首塚(10:02)→舟伏山山頂(10:04-10:09)→舟伏山登山口(10:29)→西山登山口(10:33)→西山山頂(11:03-11:06)→金華山山頂(11:51-12:05)→232mP登山口(12:25)→232mP〔鷹巣山〕(12:44-13:57)→洞山山頂〔道誤り〕(14:33-14:46)→権現山山頂(15:07-15:11)→秋葉神社・権現山東登山口(15:31)→軍人墓地(15:46)

 今年は暖冬の予想であったが、12月に思わぬ大雪となった。23日に予定していた山の行き先を雪のない近場に変更し、以前から挑戦してみたいと思っていた金華山サークルトレイルを歩くこととした。金華山サークルトレイルは、勝手に付けた名前であり、金華山山頂を最高点に近くの8低山をループ状につなぐルートである。岐阜市近郊里山エイトマウンテン縦走コースと言ってもいい。

 今年、3月に尾崎三峰山の西と北に登山口があることを知り、このルートを思いついた。ずいぶん前に金華山を中心に北と南の稜線を繋ぐコースをレポートしたが、登山口と下山口が離れすぎていて、車2台を使った。しかし、今回のサークルトレイルは登山口と下山口が比較的近く、下山後、駐車地点まで歩いても苦になるほどの距離ではない。しかし、全コースの距離は半端ではなく、標高差の総合計は1000mを超える。果たしてどこまで歩けるか? 2009年の登り納めの山歩きは里山耐久トライアルとなった。
 
 天皇誕生日の休日は、強烈な寒波がやや緩み、穏やかな天候になる予想。しかし、午後は50%の降水確率。最も日の短い時期であり、早めに家を出た。起点は尾崎三峰山の西登山口となる軍人墓地。自宅から10分かからずに登山口に着けるのがうれしい。軍人墓地の並木の間に駐車して靴を履きかえた。朝の冷え込みに震えながら、フリースやダウンを羽織ってスタート。舗装道路を上がり、すぐに左手の林の中の山道に入る。ストックを忘れたので、枯れ木を拾ってストックの代わりにした。

 路面を覆うたくさんの落葉を踏みながら展望コースではなく山頂への最短コースに入る。石組みの堰堤を渡って、丸木の階段を登る。いきなりの急斜面に息が切れる。右手に金華山を見ながら、左山でトラバースして尾根に出て岩場を歩く。朝陽が薄雲を通して東の空をオレンジ色に染め、尾崎権現山が美しいシルエットを作る。20分ほどでケルンの積まれた最初のピークに出る。展望コースとの合流点でもある。僅かに雪の残る道を下って登り返し2つ目のピークを通過。前方に2つの山が迫ってくる。
 
 やや右方向に下って登り返し、アンテナケーブルにつかまって岩壁を登り、岩の展望地へ。朝もやの中、遠くの山々が墨絵のように浮かび上がる。ここは今日歩く8山全てが見渡せる場所でもある。これから、ぐるりと見渡す山々を縦走するのかと思うと、気が遠くなる。右手に赤い東屋のあるピークを見ながら岩尾根を登り切って稜線上を直進。帰路の下山ルートとなるケルンの積まれた分岐を左に見ながら、まっすぐ歩いて尾崎三峰山山頂に着いた。いつもなら、登山者に出会う山頂であるが、今日は早朝で誰もいない。相変わらずの360度の展望を楽しむ。雲の間から差し込む日光が光のストライプを作って雲海の市街地を照らす。静けさの中でゆっくりとモーニングコーヒーを楽しみたいところだが、ここはまだ1つ目。記念写真を撮って、山頂を後にする。
 
 3分ほど水平に下って分岐点から右折。正面にはこれから歩く2番目、3番目の岩田山・舟伏山がなだらかな山容を見せる。2つの山の鞍部から百々ヶ峰が頭を出す。急斜面を急降下する。北斜面であり、まだ雪が残っている。眼下には岩田坂の住宅街が見える。滑らないように慎重に下り、つるつる岩を過ぎるとなだらかになるが、すぐに再び急斜面となる。正面に岩田山が大きい。
 
 岩田山へはちょうど10年前に舟伏山経由で登っており、岩田山山頂の西から急斜面を下って、堰堤のある谷に下りたことを記憶している。正面の岩田山を見ながら登山口の位置を確認する。山頂から斜め左に落ちる谷は住宅街が最も山に入り込んだ洞へ下っている。この後分かるが、登山ルートは、この洞から左へ上がる小さいほうの谷を登り、山頂左の小ピークへ続く尾根に合流して稜線に向う。国道に架かる緑色の歩道橋を渡って直進すれば登山口のある洞へ着くことを確認して、急斜面を下る。クチナシの黄色い実やサルトリイバラの赤い実がいくつか見られた。
 
 日野方面への分岐を左に見ながら右方向へ行く。右手には尾崎三峰山の北斜面が屏風のように立ちはだかっている。痩せたアカマツ林を抜け、落ち葉の道を下っていくと民家の前に出た。正面に岩田山を見て住宅街を北に進み、歩道橋を渡って山裾まで歩く。山沿いに歩くとコンクリートにフェンスのある防火用水(水道施設か?)があり、この左側に山への踏み後があった。ここに間違いないと確信して山道に入るが、すぐに踏み跡は不明瞭になる。治山堰堤があり、確かにこの付近に登山道があったはずだが・・・。左の斜面は疎林で自由に歩けるので、30m四方を歩き回ってみたが道は見つからない。やむを得ず斜面を谷に沿って歩くとはっきりした山道に飛び出した。色あせたテープもある。堰堤の奥から谷に沿って道があるようだ。
 
 落ち葉に埋もれた谷道を登っていく。5分ほどで尾根に出て右に曲がる。小枝がうるさいが、道は明瞭で折られた枝も見られる。時折登る人がいるようだ。左手の開けたところから、鉄塔の立つ舟伏山や金華山から権現山への稜線が見える。荒れた斜面を20分ほど登ると稜線に出た。「舟伏へ」と書かれた古いプレートと木の幹に「岩田坂駅」のマジック文字を発見。岩田山は右へ。10年前は踏み跡が薄かった気がするが、今は明瞭な道が稜線を上っている。
 
 雪の残る稜線を5分ほど歩くと岩田山山頂に着いた。古びた小さなプレートの前で写真を撮る。コンクリートの土台や側溝が残っており、昔、人工物があったようだ。展望のない山頂を後に、緩やかに下り分岐点を通過して小ピークから50mほど下る。前方に舟伏山が見える。鞍部まで下ると鉄塔巡視路が右へ下っており、ここは直進。すぐに27番鉄塔の下を通過。ホオノキの落ち葉を踏んで歩き、28番鉄塔の横を通過。ジグザグと舟伏山への登りが始まる。落葉をカサカサ踏んで、頭上の29番鉄塔を目指して登る。数分で鉄塔到着。10年前はこの辺りで展望がよかった記憶があるが、今では樹木が大きくなり、展望はない。
 
 ここから舟底の水平な道が続く。すぐに蛇首塚を通過。ここももっと広いところに石碑があったような気がするのだが・・・。塚から2分ほどで舟伏山山頂。どう見ても通過点である。3山目の山頂で記念写真を取って西に向かう。

 鉄塔やアンテナを通過。右には樹間から長良川や百々ヶ峰が見える。ウスタビガの蛹であるヤマカマスを久しぶりに見つけた。下りとなり、NHKのアンテナを右に見て32番鉄塔の下に飛び出す。この山の貴重な展望地。ここから見る180度の展望は、長良川と金華山が見事。これから歩く西山から金華山への蛇行するルートがよく分かる。足元に紅葉したママコナの花を見ながら、ジグザグと歩き、一気に標高を下げていく。水道タンクのフェンスが現れ、さらに竹やぶを左に見ながら下り、尾根を右に外し崖の脇を抜けると車道に出た。

 次の目的地である西山への登山口は目の前にある。コンビニのある交差点を西に渡ってすぐに南への道に左折。山側に5軒ほど家があり、一番奥の家の前にある電柱から細い道が山に向かっておりここに入る。庭に入り込んでしまうのではと思いながら、小さな橋を渡ると山道となる。舟伏山から続く鉄塔の標示を見て、落葉に埋もれた小さな神社で拍手を打つ。ヒトツバの大群落を見て、岩の尾根に取り付き、上方の鉄塔を目指す。後方には今下ってきた舟伏山が富士山のような左右対称の美しい山容を見せる。

 右から回り込んで34番鉄塔に出る。この先でピークに立った。ここが西山だと思い込んでいたが、どうも様子が違う。地図を見ると西山はこの先の鉄塔のある場所だった。不動院へ下る道が西にある。ここで一息ついてミカンを食べる。鼻高コースの尾根がうねって金華山に続く尾根をこれから歩くことになる。展望の写真を撮っていると、西山方向から単独女性が下ってきた。パトロールの方だった。登ってきたコースなど話をした。金華山までは1時間かかると教えてもらった。先はまだまだ長い。女性と別れて西山に向けて南の道に入る。

 展望のないなだらかな道を右回りに10分ほど歩くと35番鉄塔を通過して西山に着いた。久しぶりの西山は以前と同じ雰囲気の山頂だったが、大きな山名表示板が設置してある。ここからは、何度も歩いたルート。前方にこれから歩く尾根を見ながら、2回ほど大きく下って、達目洞への分岐を通過。境界見出票の続く尾根を登る。時折、右手が開け、百々ヶ峰が望めた。なだらかになったところで、「山火事防止」ののぼりと防火用水が現れ、左へ下れば東坂コースの登山口へ繋がる。登山道マップで現在地点を確認。これからがこのコースのハイライト。ピーク越えが連続する。

 最初の211mピークを越え、下りきると「崖危険」の標示がある岩場を通過。しっかりした丸木階段を登り、ヒトツバの岩尾根を登る。ところどころに現れる展望地で長良川を見下ろしながら、標高を稼ぐ。後方には、今歩いてきた山々が連なる。尾崎三峰山はかなり小さく見えるようになった。出会う登山者も増えてきた。4人の男女のパーティとすれ違う。後に、再び出会うことに。前方に、岐阜城が近づき、急登が始まる。互いに口数が減り、無言でひたすら登ると「瞑想の小道」に合流。石の階段を登って、岐阜城直下の展望地に着いた。

 いつものように大勢の登山者や観光客に交じって、水を飲む。誰かが柵の上に置いていったピーナッツを食べにくるヤマガラはここの名物だ。トイレに寄って、金華山の三角点を踏むために、岐阜城からロープウェイ乗り場方向に下って「天狗岩」の赤い標識から右へ急な階段を登り、落葉の道を北へ向かう。岐阜地方気象台金華山分室の建物の裏庭に二等三角点があり、ここで5山目の写真を撮った。残りは3山。半分は歩いたが、まだ距離はある。
 
 次の目的地である232mピーク、別名「鷹巣山」に向かうため、東坂コースを下る。このコースは年に2・3回は歩くコースであり、「目をつぶっていても歩ける」と言いながら下っていると、岩に足を滑らせて転倒。油断は禁物。岩尾根の展望地からは、尾崎三峰山、舟伏山、西山がトライアングルを形成している。南には、これから向かう232mピークと左へ洞山、権現山の頂が連なる。広い道を軽快に下り、達目洞と岩戸公園への分岐点から右折し、山沿いにトラバースする道に入る。山沿いに歩き、山が切れて左方向に向きを変える手前で左の斜面に赤いテープがあり、ここが232mピークへの登山口。踏み後は薄く、初めてだと分からない場所である。

 急斜面をほぼ直線に登っていく。ここにも境界見出票が続く。12時30分を過ぎており、シャリバテ状態で急登が辛い。10分ほど登ると明るい岩場に出て、左に向きを変える。水道山や濃尾平野の大展望が目に飛び込んできた。小ピークを越えると目的地の232mピークに到着。ここからの展望にはいつも感激する。濃尾平野の展望はもちろん、水道山から駆け上がる尾根の先端には岐阜城が輝く。見慣れた光景ではあるが、しばし展望を楽しむ。

 ここでいつもより遅いランチにする。メニューはキムチ鍋と雑炊。眼下に岩戸公園を見ながら、のんびりとランチを楽しんだ。コーヒを飲み終わる頃、南から4人パーティが到着。挨拶を交わすと、鼻高コースで出会った愛知県の方々だった。聞けば、鼻高コース途中から達目洞に下り、トンネル付近からここへ登り返したとのこと。いろいろな山を登って見え、鈴鹿の山などを話題に、パッキングをしながらしばらく山談義。互いに記念写真を撮りあって、次の目的地である洞山を目指す。

 左へ回り込むように歩き、ケルンのあるところの「洞山 野一色」の標識に従って急斜面を下り、大展望の岩場に寄り道してこれから歩くコースを確認。落葉に埋もれた峠道を横切っていよいよ終盤の裏銀座に入る。ここは3年前に公民館主催の行事で地域の子どもたちを連れて歩いたコースであり、お気に入りのふるさとの里山。しかし、逆コースで歩くのは初めて。北斜面のトラバースを繰り返し、ピークをショートカットしていく。前方に洞山が近づき、尾根歩きとなる。木の葉が落ちたとしたこの時期、尾根は明るく、北の232mピークなどが望める。

 小さなピークを越えて洞山山頂に到着。三角点前で写真を撮って先に向かう。いつもとは違う逆コースで歩いている事から、ここで思わぬ落とし穴が・・・。洞山山頂から下り始めるが、どうも様子が違う。傾斜もなだらかで、見慣れたアカマツも見当たらない。おかしいと思いながらも、洞山からの道はこれしかないと確信して下る。次第に踏み後が薄くなり、鞍部付近まで下って、道が誤っていることに気づいた。地図を見ると、洞山からは四方に尾根が下っており、直進して北西へ下ったため、日野の射撃場方向へのルートに迷い込んだことが分かった。再び洞山山頂まで戻って確認。木の葉がないこの時期には北西方向への尾根に登山道が出現していた。しっかりした踏み跡の南東方向へ向かう。急斜面の下りから前方に権現山の三角形が望めた。
 
 小さなピークを越えて歩く。今年の台風で倒れた木々が道を塞いでいる。倒木はほとんどが枯れたアカマツで、マツクイムシの被害程度は高い。最後の登りだと言い聞かせて登りつめると、ふるさとの山「権現山」の山頂に到着。ここは真っ赤な鳥居のある白山神社奥ノ院でもある。近年、周囲の木々が伐採され、展望は抜群。今まで見えなかった北方向の岩田山や舟伏山も見渡せるようになった。金華山も見える。雲が厚くなり、雨が降りそうな気配。最後の記念写真を撮って目的達成。後は駐車地点まで戻るだけである。権現山を下るころから膝が痛み出した。さすがにこれだけ歩くと、膝にこたえる。

 白山神社へのコースを右に見ながら尾根を直進していく。この分岐点には「琴塚秋葉神社へ 25分」の表示がある。道はしっかりしており、秋葉神社から登ってくる人もあるようだ。目の前に近づいてきた尾崎三峰山を前に尾根を歩いてピークを越え、コシダの群落を抜け落ち葉の急斜面を下る。国道156号線が近づいてきた。山麓付近まで下ると道は左右に分かれているが、左へ行くと家庭菜園のようなところに出てしまうので、ここは右へ。
 
 墓石を見ながら秋葉神社に着いた。今日の山歩きが無事終了した事に感謝の手を合わせ、階段を下りると名鉄美濃町線の線路が撤去された防草シートの上に下り立った。国道のすぐ脇であり、国道に沿って歩く。国道から東海学院大学の前の田園の中を歩く。小雨が降り出したので傘をさした。犬を散歩させていた男性から、どこへ行ってきたのか聞かれ、周囲の山々を指差しながら、歩いたコース説明。「近くに尾崎三峰山があるが登ったこともない」とびっくりされた様子。秋葉神社から15分歩いて車まで戻った。GPSの歩行距離を見ると、ちょうど15kmだった。

 念願の金華山サークルトレイルを制覇し、大満足の山歩きができた。山歩きの原点は里山。目まぐるしく変わる展望を楽しみながら、賑やかな金華山や、静かな岩田山、洞山など、変化に富んだ山歩きが楽しめる。8つの里山を踏んで周回できるお気に入りのコースである。ロングコースであり、時間に余裕をもって歩きたい。時間切れになれば、たくさんあるエスケープルートを下り、バスを利用して車まで戻ることもできる。途中にはコンビニがあり、また金華山には自動販売機やトイレもある。お試しいただきたい里山トレイルです。
★金華山サークルトレイルの展望

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