国見岳
国見岳  (1124m 春日村) 2003.7.26 晴れ 2人

国見岳スキー場駐車場(9:27)→鉈ヶ岩屋入り口(9:38)→鉈ヶ岩屋(10:06-10:16)→国見峠分岐点(10:25)→アンテナ施設(10:53)→国見岳山頂(11:03)→大禿山(11:51-12:58)→国見岳山頂(13:33)→アンテナ施設(13:40)→国見峠分岐点(14:03)→鉈ヶ岩屋入り口(14:23-28)→国見岳スキー場駐車場(14:35)

 待ちに待った梅雨明け宣言。青い空がまぶしい。この休みは山に行く予定をしていなかったが、この天気に誘われて、夏の花が楽しめる伊吹北尾根に行くことにした。昨年の春、2日に分けて北尾根を歩いた。北半分は国見峠を起点に歩いたが、今回は、国見峠への登り口から鉈ヶ岩屋を経由して国見峠からの北尾根コースに合流する道を歩くこととした。

 春日村へ車を走らせる。伊吹山は山頂が雲で覆われているが、大きなアンテナが目印の国見岳はよく見える。国見岳スキー場の峠登り口に最も近い駐車場に車を止める。登山口までは10分ほどの車道歩きとなるため、車道を歩きたくない人はさらに車を進め登山口手前の路肩に駐車することも可能。トイレは駐車場前にある。シーズンオフのスキー場は静かで、駐車場には我々の車1台。ここから登る人は少ないようだ。

 アスファルトの車道の両脇にタケニグサやネジバナの花などを見ながら歩く。今年の冬、虎子山へラッセルした道とは思えないほど緑に包まれている。10分ほど歩いて、左手に鉈ヶ岩屋の案内板と略図。入り口には冷たい水が引かれ、コップが置かれている。キンミズヒキがひっそりと咲いていた。

 電柱とアンテナポール横の草を分けて湿っぽい斜面を登る。かなり朽ち果てた丸太の階段が続く。急斜面を折り返しながら歩き、10分ほどで尾根に出る。尾根道を西に真っ直ぐ登っていく。これほど直線の尾根道も珍しい。ここも朽ちた木の階段が続き、土壌流出を防ぐために歩道の脇にはプラスチックの網が埋め込まれている。

 急傾斜の単調な登りが続くが、天然林からの木漏れ日が美しく軽快に足が前に出る。シロモジが緑色の丸い実をつけている。右手には樹間から虎子山や国見峠への道が望める。そろそろ岩屋があるのではと思った頃に、春日村文化財の白い木柱と案内板が現れる。

 左の道に入るとすぐに大きな岩が山側にある。大岩の下はかがんで入れるほどの隙間があり、その奥に小さな社。社の中には青い小さな像が祀られていた。岩屋の左には大きな看板があり、ここに岩屋の歴史がつづられている。石田三成に追われた教如上人が、村人に守られてこの岩屋にたどり着きここで身を隠した場所である。詳細に書かれた文字を目で追いながら、当時の状況を想像してみた。読み終えて、後ろを振り返り、思わず息を呑んだ。すばらしい展望が広がっている。貝月山や鍋倉山などを背景に春日村の集落が望めた。教如上人はここでこの光景を眺めたのだろうか。岩屋の近くには高い金属ポールの先に白い布が掛けられていた。岩屋から先へ薄い踏み跡が続いていたが、その先は定かでない。

 再び直線の尾根を登る。右手に岩屋くらい大きな岩が現れ、その横を抜ける。やがて、ササが現れ、ピークに出る。ピークからはアンテナの立つ国見岳が見上げられる。一旦下って登り返せば国見峠からの道に合流する。ここからは、昨年歩いた道である。ヒノキの人工林の境を歩き、いよいよアンテナ目指して急坂に取り付く。春にはヒトリシズカやチゴユリが満開だったが、今はキツリフネやヒメフウロがちらほら見られる。葉の上に丸い実をつけたハナイカダを見つけた。まだ緑色の実であり、中には2つ、3つと葉についているものもある。なんとも面白い植物である。

 なるべくロープに頼らないように崖を登り切りアンテナ施設の西に出る。施設の北側からはすばらしい展望が広がる。ただ、能郷白山以北は雲で見えなかった。建物の裏手に回り、かなり夏草の茂った道を歩く。オカトラノオがきれいだ。ウバユリやシシウドの蕾を見ながら国見岳へ。

 たくさんの赤とんぼが飛び交う山頂からは東側が大展望。ここまで誰にも会わないのが不思議だった。大人気の北尾根とはいえこの時期の登山者は少ない。花を求めて大禿山まで歩く。靴底についた泥で石灰岩の上に乗ると滑りやすく、慎重に歩いた。西に回り込んで下り、再び尾根に出てすばらしい展望を楽しみながら歩いた。西には琵琶湖がきれいだ。前方の大禿山の向こうの伊吹山は頭を雲に隠している。

 尾根には次々と夏の花が咲き、春ほどのにぎやかさはないがさすが北尾根。花の尾根である。シモツケソウ、オオバギボウシ、クガイソウ、ハクサンフウロ、シュロソウ、カワラナデシコ、キヌタソウ、ヒメフウロ、オトギリソウ、カワラマツバ、クルマバナ、・・・・数えたらキリがない。クサボタン、コオニユリ、キリンソウなどはまだ蕾であった。サルナシやマタタビも花が終わり小さな実を付けはじめていた。

 国見岳から大禿山まで、花を見ながらあっという間に着いてしまった。大禿山で今日初めて4人パーティーに出会った。豪華昼食中。笹又に車1台を置き、国見峠からの縦走だそうだ。ここも車が2台あると便利なコース。1日かけてゆっくり歩ける。

 細長い山頂の南側で我々も昼食にした。頭上を低く雲が流れさわやかな風が吹く。この風ではまだ本格的な夏とは言えない。伊吹山は雲に隠れたままだ。この後、伊吹山の駐車場から国見岳を目指す2人のパーティーと国見岳方面からの単独男性に出会った。御座峰まで歩けると思ったが、今日はここまでとし、静かな北尾根を後にした。

 国見岳へは、一般に国見峠が起点となるが、時間に余裕があればスキー場から天然林の登山道を歩くのもいい。岩屋など見所もある。冬、雪のあるときに登ってみたいコースでもある。
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