トレースマップはカシミール3Dで作成
*この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用しています。(承認番号 平17総使、第654号) ※一部誤動作・トレース未記録あり 白点線は登りの推定トレース
経ヶ峰〜嘉嶺山 (819m 789m) 2008.12.23 晴れ 5人

平尾大谷林道終点駐車場(8:43)→舗装道路終点(9:00)→平尾天神分岐点(9:05)→反射板(9:36)→山小屋への分岐点(9:41)→経ヶ峰山頂(9:51-10:03)→大洞の峰(10:23-10:35)→経ヶ峰山頂(10:52)→山小屋(10:59-11:06)→笹子山(11:13)→嘉嶺山山頂(11:40-11:46)→山小屋(12:19-13:40)→高座原・平尾方面分岐点(13:54)→林道・駐車地点(14:24)

 2008年の登り納めを23日に決め、登る山を探していると、makotoさんから「今年の最後の山はいつですか?」と、メールが届いた。「23日に!」と返信。話はとんとん拍子に進み、makotoさん、sumireさん、そしてマダラさんの参加も得て、今年最後の山歩きの計画を立てた。当初は鞍掛峠から三国岳を計画したが、雪で峠道が通行止めになる可能性もあったことから、行き先をmakotoさんにお任せし、三重県の経ヶ峰に決定。早速、経ヶ峰を調べてみると、低山で展望のいい人気の山であることが分かった。三重県の山では鈴鹿山系の一部しか登っていない我々にとって、この地域は未知の領域である。

 桑名東ICから東名阪自動車道に入り、待ち合わせの亀山市内へ向う。3人にお会いするのは昨年の忘年登山以来。今年の忘年登山に参加できなかったことから、このオフ会が我々の忘年登山となる。亀山市内で合流してmakotoさんの先導で登山口に向う。芸濃IC西の交差点からグリーンロードに入り南下。草生小学校を左に見ながら次の信号交差点を左折するとすぐに仲之郷の集落に入り三叉路に経ヶ峰の案内看板がある。どちらへ行っても経ヶ峰の登山口があるが、今回は左折して山頂まで最も近い平尾谷林道に向う。
 
 比佐豆知菅原神社が現れ、多くの登山者が見られた。ここから山頂までは4.5kmあるが、さらに車を進める。神社の先に経ヶ峰の標示に従って右折し、平尾の集落を抜けて林道に入る。林道を上り詰めると、小広場があり数台の車が停まっていたが、まだスペースがあり、駐車できた。うまく停めれば10台ほどのスペースがある。トイレはないが、経ヶ峰山頂や山小屋にトイレがある。
 
 駐車場の左にも山道が続いており、下山時、まさかここに出てくるとは思いもしなかった。歩き始めてすぐに「頂上まで約2.2km」の標示がある。左に谷を見ながら暗い人工林の中のコンクリート簡易舗装の道を10分ほど歩くと舗装道路終点に到着。マダラさんから美味しい干し柿(市田柿)をいただき一息。ここから右の山道に入る。掘り割れの道で、周囲はササ付きの人工林。密生するヒノキの幹に朝日が差し込んで美しい光の模様ができている。

 右から道が上がってきており、この道を登ってきた単独男性に追い抜かれた。この道が神社からの道のようだ。少し歩くと、地図の描かれた看板が現れ、経ヶ峰まで1.5kmの標示がある。山出集落方向への分岐点でもある。やがて道はなだらかになり、左に向きを変える。前方には小高い山が見え、右手には天然林も見られるようになる。一定の高さまで皮が剥がされている潅木が多く、下草のササも刈り取られたように葉がなくなっている。シカの仕業だと思われた。皮が剥がされた位置はどの木も人の背丈ほどの高さであり、これがディアラインと呼ばれている。

 崩れかけた丸木階段を上って、左に直角に曲がり、なだらかな道が続く。左山となり、左は天然林、右は人工林。右手に背丈の高いササの垣根があるほぼ水平な広い道を歩いていくと、左の山道から登ってきた空荷の高齢男性に出会った。登ってきた道の出発点を尋ねると、何と我々と同じ駐車場であることが分かった。帰路はこの道を下ることにする。男性は今年この山に登るのが92回目と聞いてびっくり。気軽に登れることから、地元の人に親しまれている山のようだ。シカの被害の話をすると、年に数回はシカに出会うそうだ。ただしこの山にヒルはいないとのこと。途中で見かけた石が花崗岩であったことから、ヤマビルは少ないかもしれないと思った。

 落ち葉の積もった道を歩くと、前方に反射板が現れた。その向こうには経ヶ峰と思われるピークが見える。再び人工林に入ると、大きな案内板に行き当たった。ここが小屋への分岐点になる。単独男性から小屋の状況や過去に焼失した話などを聞いた。直進して山頂までは一登り。丸木階段や木の根の張った広い道を登っていく。結構な急斜面である。makotoさんとマダラさんが軽快なピッチでぐんぐん登っていく。樹林帯を抜け、青空が広がった。前方に案内板やトイレ、展望台が見えてきた。モグラが盛り上げた黒土を踏みながら青空を目指す。

 山頂に着くと大パノラマが待っていた。360度、遮るものは何もない。まず、最初に目に飛び込んできたのは伊勢湾である。岐阜県の山歩きで海が目の前に見えることは無い。実に新鮮な光景だった。と、同時に我々が踏み込んだことの無い地域の山に登っていることを実感した。北には鈴鹿山系が望めるが、山の名前はさっぱり分からない。大きな方位盤で山の名前を確認。御在所岳や雨乞岳、綿向山などが並んでいる。手前にはこの付近の山である嘉嶺山、北笠岳、錫杖ヶ岳が見える。西にはなだらかな青山高原が、南には掘坂山や白猪山など聞いたこともない山々が見えた。何人もの登山者でにぎわう山頂で記念写真を撮った。冷たい風が吹き抜ける。

 まだ10時であることから、西に見えるピークまで行くことにした。西側には植えられたばかりの苗木にシカの被害を防ぐためのネットがかけられている。その横を下っていく。アセビの巨木が多く、すでに花芽を付けていた。赤と白の2種類の色の蕾が混在している。 道は右方向に下っていく。下りかけたところで、道が違うのではないかとの意見が。地図を見ながら議論して、尾根伝いに次のピークまで行けることを確認してさらに下る。この辺りのアセビは古木で幹が波打つようにうねって伸びる様は見事である。こんなアセビの林はなかなか見られないと思った。
 
 アセビ林を抜け人工林との境を歩く。よく踏まれた道で、こちらへの登山者も多いようだ。再びアセビ林を抜けてススキの茂る丘を左回りに登るとなだらかなピークに着いた。「大洞の峰」と書いてある。東には経ヶ峰山頂が望め、歩いてきた人工林の境が下っている。陽だまりの広場で、マダラさんに写真を撮ってもらい、sumireさんから大きな美味しいおはぎをいただく。居合わせた登山者から嘉嶺山の情報を聞くと、経ヶ峰から30分ほどで行けるとのこと。山小屋の左側が登山口であることも教えてもらった。時間は十分にあるので、経ヶ峰山頂まで戻って嘉嶺山を目指すことにした。来た道を引き返し、経ヶ峰山頂から嘉嶺山を確認。北に見える三角形の山で、山頂から左右半分づつ人工林と天然林に分けられているのが面白い。今、登ってきた大洞の峰の倍ほどの距離があるように思われた。
 
 東屋の下の分岐点から左に入り、少し下ると立派な山小屋(休養施設)が現れた。小屋の前には大きな広場があり、焚き火をした跡や水場(飲み水不可)がある。小屋の中は広く、2室あり、板の間で宿泊も可能のようだ。トイレに寄って出発。小屋の前から左への道があったがロープで止められている。広場の左にも人工林の中に続く道があり、GPSで確認するとこれが嘉嶺山へ続く尾根道のようだ。この道に入る。すぐに左に下る道があるが直進して、人工林の中をゆるやかに登っていく。
 
 小屋から5分ほどでネットの張られた切り開きに出る。ネットの向こうはススキが茂る草原で、おそらくシカから苗木を保護するためにネットが設けられたようだ。ネットの被害防止効果は高く、ネットを境に草の量が明らかに違っている。ネット沿いに歩くと「笹子山770m」の標示がある。通過点のようなところであるが、本日の3山目をゲット。人工林を抜けて天然林を下る。小さな柱にマジックで書かれた「嘉嶺山」の文字を見つけて道が正しいことを確認。上下しながら人工林・天然林を抜けていくと、急斜面が現れた。遥か上までロープが続いている。斜面は落ち葉の積もった土であり、滑らないようにロープと潅木につかまりながら登っていく。ロープの結びが木に食い込んでおり、かなり過去に設置されたものであることが分かる。痛んでいる部分もありロープに力をかけないように登った。
 
 先に登った3人を追いかけて登りきり、天然林の尾根を歩いて一登りで山頂に立った。山頂は草のない黒土で東から人工林が上がってきている。小さな木にたくさんの山名標示板が取り付けてあった。いつの間にか雲が増え、冷たい強風が吹く。北の鈴鹿の山は雲に隠れ始めていた。目の前に錫杖ヶ岳が見えた。南には経ヶ峰も見える。風が強くここでランチは無理なのでやや遅くなるが山小屋でお昼にすることとし、写真を撮って山頂を後に、急斜面を下った。
 
 山小屋に戻ると、大勢の登山者が昼食中。板の間の隅を確保して、5人でミニ忘年会の開始。マダラさんのサイコロステーキに始まり、sumireさんの餃子鍋。餃子鍋は我々のメニューと同じだったため、こちらの餃子はマダラさんのフライパンで焼き餃子にして、メニューを雑炊に変更。いろいろな話題で話は尽きない。コーヒーにお菓子で、約1時間半の忘年会を終えた。食事を終える頃には、他の登山者はほとんど下山し、一宮から見えたパーティだけになっていた。小屋前で写真を撮ってもらい下山開始。
 
 ササつきの人工林を下って、看板のあるところで登ってきた道に合流。反射板を過ぎたところから、「高座原・平尾方面」の案内板に従って右折し、山道を下る。この山の表示板には経度緯度が標示されている。ササの道から掘割の道、尾根道を経て、高座原方面の分岐を直進せず左にとって平尾方面に下る。人工林の中をどんどん下っていく。この下りが意外と長く感じた。右の谷を挟んだ向こう側が登りに歩いた尾根のようだ。谷を渡るとすぐに駐車場に出た。
 
 案内をしていただき、またミニ忘年会を開催していただいた3人の皆さんに感謝。経ヶ峰は短時間で大展望が得られる低山で、大洞の峰や嘉嶺山、さらに北に歩けば、北笠岳の縦走も可能であり、登山道もいくつか整備されている。岐阜からでも自動車道を使えばそれほど時間もかからない。季節を変え、コースを変えて何度でも登りたい山である。
 
 Makotoさんから、関宿が近くにあるから散策できるとの情報をいただき、帰路、関宿を散策。東海道の宿場町の雰囲気が残る町並みを観光気分でのんびりと歩いた。


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