トレースマップはカシミール3Dで作成
*この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用しています。(承認番号 平17総使、第654号)
間戸山・西ノ山 (443m 405m 揖斐川町) 2008.2.10 晴れ 2人

仁坂坂峠(9:06)→L100鉄塔他分岐点(9:45)→R97鉄塔(9:48)→L98鉄塔東展望地(9:54)→L98鉄塔(9:59)→林道終点(10:10)→間戸山山頂・L97鉄塔(10:13-10:20)→林道終点→R94鉄塔(10:30)→L96鉄塔(10:36)→林道終点(10:47-10:50)→L98鉄塔(10:59)→R97鉄塔(11:12)→L100鉄塔他分岐点(11:21)→R98鉄塔(11:25)→L100鉄塔(11:29-12:39)→林道合流(12:45)→377.7m三角点(12:53)→仁坂坂峠(13:12-13:21)→西ノ山山頂(13:47-13:54)→北のピーク(14:01)→仁坂坂峠(14:27)

 濃尾平野でも本格的に雪が降り、岐阜市内でも10cmほどの積雪となった。翌日の日曜日は晴れそうだ。以前から雪の降った時に登ろうと考えていた、揖斐川町の間戸山に登ることを前夜に決めた。間戸山は旧揖斐川町と旧谷汲村を結ぶ仁坂坂峠から林道を歩いて山頂直下まで行くことができる。雪が積もっていれば林道歩きは一層楽しくなるにちがいない。問題は、仁坂坂峠まで雪道を車で上がれるかどうかであった。車が通れそうになければ、峠下の集落に車を置くこととし、集落から峠までの距離が短い谷汲側からアプローチすることに。仁坂坂峠の谷汲側には有鳥集落がある。8時前に自宅を出て、凍り付いた道を慎重に北へ向かう。

 国道157号線から谷汲方面に向かい、華厳寺前を通過して西進し、道の駅「夢さんさん谷汲」のトイレに寄る。横蔵方面へのトンネルをくぐると、雪が増えてきた。左手前方にいくつかの鉄塔が並ぶ山が見える。これが間戸山である。このとき、一番上に見えるL100鉄塔がランチ場所になるとは思いもしなかった。

 トンネルを抜けて1.6kmほど走ると左へ2車線の広い道路が分岐しており、これを左折。雪に覆われた道を山沿いに南下すると、有鳥の集落に入る。道なりに集落を抜けると山に入りカーブして仁坂坂の登りにかかる。この雪で坂が登れるか心配したが、今朝、車が通過した轍があり、これをたどった。北斜面の坂であり、雪が多く、深いところでは車の腹を擦るほど。四輪駆動の威力を発揮して、登っていく。深いカーブでは雪に足を取られ、切り返して通過。標高差100mほどを一気に登り切って仁坂坂峠に着いた。

 東側にベンチのある広場があり、3台ほど駐車可能。積雪は20cmほど。思ったより雪が少ない。ツボ足で歩くことし、ワカンをザックに付けた。靴を履き替えていると、広場の北の木に赤テープがいくつかあるのに気づいた。急斜面をササが覆い、登山道があるとは思えない。地図を見ると、東側の尾根は、西ノ山、東ノ山を経由して揖斐川町市街地の裏にある城ヶ峰まで続いている。帰路、時間があればヤブこぎ覚悟で、東の尾根に踏み込んでみようと思った。

 間戸山への道は、広場から車道を西へ渡ったところにあるゲート付き林道。この林道は間戸山山頂直下まで続いている。舗装箇所は多いようだが、今日は雪に埋もれて林道のイメージはない。ゲートの横を抜けて、右山で林道を歩く。木々の間から南側に揖斐川町の田園地帯が見える。後方から朝日を浴びながら、長い影を落として白い道を歩く。青い空が映える。昨日の雪が木々に残っており、美しい雪景色が続く。雪が降った後の青空が一番きれいな青空だと思う。

 人工林を通過して尾根を越え、北側に出ると、右側に木々の間から今度は谷汲の集落が見下ろせた。その向こうに見える山は妙法ヶ岳の山塊だ。北側は日影で、一段と積雪量が多い。再び尾根の左側に出ると、ムネ山・小島山が大きい。一瞬ではあるが、この尾根の延長上に立つ鉄塔が見える。

 道は次第に北を向く。朝日が木々に積もった雪を落とし始める。林道で頭上の木は少ないとはいえ、何度か雪の直撃を受けた。路肩にコウヤボウキの綿毛を見ながら、適度な傾斜をぐんぐん登っていく。人工林あり、天然林あり、周囲の景色は変わっていくが、展望のいい場所はない。道が西を向く辺りの南側に377.7mピークがあり、寄ろうと思っていたが、すっかり忘れてしまい、帰りに寄ることになる。

 スタートして30分ほどで、いきなり左側が開けた。西から南の180度大パノラマに歓声。いくぶんモヤがかかっているものの、雪の濃尾平野が逆光に輝いて美しい。池田山から小島山・ムネ山へと駆け上がる稜線がきれいなシルエットを作っている。これら2つの山の間に見える山はどこだろう。気温が上昇し、たいした登りでもないのに、とにかく暑い。展望を楽しみながら、山シャツを脱いで、長袖Tシャツ1枚になる。

 展望地を左回りにカーブしていく。前方に2つ頭の鉄塔が見える。右側の420mピークをトラバースするように横切ると、右へ林道が分岐しており、その角に鉄塔巡視路が北へ上がっている。西部幹線とあり鉄塔番号L100・101、R98・99の表示。鉄塔へは帰りに寄ることにして、右上に高圧線を見上げながら林道を直進する。前方に2つの鉄塔が見える。「北方区・三輪区境界」の表示を右に見ながら、大きな鉄塔下を通過。この鉄塔は後にR97であることが分かる。

 南へ派生する尾根を横切って、L99・R97の標識を右に、ヒノキ林を抜けると、前方に鉄塔が現れ、「複層林造成モデル林」の看板があった。前方が開け、再び歓声。ここで林道は分岐し右へ50mほど延び、広場のようになっている。西から北には遮るものが何も無い。目の前の巨大な大立と塔ノ倉が目に飛び込んでくる。飯森山と西津汲の兄弟はその左。北には西台山、高尾山などの白い山が繋がる。鉄塔の向こうには鍋倉山が頭を見せる。小津権現の山頂が僅かに望めた。

 展望は帰路に楽しむこととして、左方向に続く道を鉄塔方向に歩く。すぐにL98鉄塔下を通過。ここから南の山腹にあるR96鉄塔への道が下っていた。再び右へ林道が分岐している地点を通過。歩いたばかりのカモシカの足跡が林道を横切って急斜面に消えている。廃車を右に展望地を通過。眼下に高圧線が走る。左にR95鉄塔への巡視路を見ながら歩くと、正面にムネ山が現れ、雪に覆われた林道終点に着く。ここでも左へL96・R94の標識。このとき、鉄塔の配置がさっぱり分からなかったが、帰って記録を整理してみると、まるでパズルを組み立てるように鉄塔の位置が浮かび上がった。

 間戸山へは、この広場から右の山道を登る。深い雪の道を登ると、すぐに鉄塔下に出た。雪の斜面を横切ってヤブに踏み入ると、ササの中の小さな空き地に三角点が雪の中から頭を出していた。小さな山名表示板もある。展望は無い。工事用の印と思われる赤テープが点々と一直線に南東の方向に下っていた。

 記念写真を撮って、林道終点まで戻り、南にあるL96・R94鉄塔まで下ってみることにする。滑らないようにススキのある雪の細道を下ると伐採地に出た。目の前に一段とムネ山が大きく見える。間戸山山頂からの高圧線がこれから行く鉄塔を経由してムネ山に向かっている。そういえば、小島山・ムネ山を歩いたときも、LとRの2系列の鉄塔があったことを思い出した。その鉄塔の延長がこの山を通過しているようだ。

 人工林を抜けるとL96・R94の分岐点があり、どちらへの鉄塔も50mほど先に頭が見えた。まず直進してR94に行ってみる。広い伐採地に立っており、ムネ山を望むことができる。戻って西に急斜面をジグザグ下ると急傾斜に立つL94鉄塔下に出た。こんな急斜面によく建設したものだ。滑り落ちないように注意して、目の前の西津汲や飯盛山、大立の写真を撮った。天狗山や小津権現山が顔を見せる。

 再び林道終点に戻る。まだ11時前であり、林道を戻って展望のいいところで昼食をとることとした。L98鉄塔に寄ってみるが展望は無い。L98鉄塔東の展望地で、分岐した林道を北へ歩いて、高台に上ってみると間戸山山頂が望めた。この場所は展望がいいが、北風が当たるのでランチはさらに先にする。R97鉄塔にも寄り道するが、展望は無い。鉄塔から落ちてきた水滴が雪面に無数の穴を開けており、美しい模様ができていた。

 420mピーク西の三叉路からL100・101、R98・99方向ヘ行ってみることとし、北側のプラスチック階段を登り、420mピーク脇を歩く。人工林を抜け、R98鉄塔下を通過。さらに歩くとL101、R99への巡視路が右へ下っている。直進し、天然林と人工林の境のヤセ尾根を歩くとすぐにL100鉄塔下に出た。

 ここでも歓声。今度は妙法ヶ岳の大展望地。妙法ヶ岳を縦走したときのことが思い出された。北には魚金山や西台山が望める。高圧線が眼下に吸い込まれ、妙法ヶ岳へ続く。車で走ってきたトンネル付近の雪の田園が見下ろせる。有鳥集落は手前の尾根に遮られているが、その向こうには西ノ山から北に伸びる稜線がパッチワークの山肌を見せる。ダイナミックなパノラマにザックを下ろすのも忘れて立ち尽くす。後方にも塔ノ倉や大立、飯盛山などが望めた。

 時折、鉄塔から水滴が落下してくるが、風もないので、ここでランチにする。卵入り鮭雑炊と缶詰、ソーセージ。コーヒーにクッキーのフルコースを楽しむ。こんなにすばらしい展望地で昼飯が食べられるとは思ってもみなかった。眼下の集落からお昼を告げるチャイムが聞こえてきた。この鉄塔から北へも尾根が続いているが、登山道はなかった。

 1時間ほどのランチの後、引き返して林道に合流し、行きに寄れなかった377.7m三角点に寄る。林道から南へ薄い道があり、30mほど歩いて東へ潅木を分けると四等三角点があった。雪降りの翌日とは思えない温かさに、林道の雪は急速に溶け、路面が川状態になっているところもあり、シャーベット状態の雪を踏んで、峠の車に戻った。

 1時半前であり、時間は十分にあるので、東にある西ノ山まで歩いてみることに。入り口の状況から、どう見てもヤブと思われたので、ザックのピッケルやワカンを外し、ヤブ山体勢に。木々の雪はすっかり落ちて、雪のシャワーは無さそうだ。北のササの斜面に取り付く。雪で滑りやすい急斜面を、周囲の潅木やらササやらを掴んで登ると、すぐに尾根に出た。

 尾根にははっきりした道が東へ続いている。ちょっと拍子抜けではあるが、ありがたい。人工林と天然林の境を歩く。左前方の樹間に妙法ヶ岳を見ながら、なだらかな雪道を歩く。古いテープが続く。次第に西ノ山から北へ続く稜線が近づいてくる。2、3の小ピークをトラバースしてやり過ごし、ヤセ尾根を歩く。多少小枝がうるさいが道は明瞭。北には、樹間に真っ白な花房山が見え隠れする。美しい山だ。カモシカの足跡を追っていると、我々に驚いたカモシカが北斜面を駆け下りていった。

 道が左へトラバースしていくので、GPSを見ると西ノ山は直進。主道を外れて、薄い踏み跡をピーク目指して登っていく。この細道は次第に右へトラバースし、雪に覆われて滑落しそうな斜面にさしかかった。慎重に横切って、西ノ山山頂の南の稜線に出た。東ノ山方面にも道が続いていた。北に向きを変えて稜線をひと登りすると西ノ山に着いた。新しいベニヤ板の表示板が西ノ山であることを示す。布切れが結んである。雪をよけて三角点を探すと、表示板より3mほど南に三等三角点が現れた。皮を剥がされたヒノキがあり、クマの被害と思われた。

 帰路、さきほどのトラバースが危険なため、北に下って分岐した主道を探すことにした。予想通り、鞍部で主道と合流。こちらから折り返すように登ったほうが安全だった。次のピークまで200mほど歩いてみた。アカマツの混じる樹林帯で展望地はないが、樹間から花房山が望めた。東には西ノ山から東ノ山方面への稜線が続いていた。道とテープはこの先、北へ下って稜線伝いに続いていると思われたが、キリが無いのでここで引き返す。西ノ山山頂の北斜面の広い道をトラバースして、歩いてきた道を引き返し、仁坂坂峠まで戻った。ササヤブでズボンが白く汚れた。

 間戸山は思わぬ拾い物の山であった。L100鉄塔など予想以上に展望地があることには驚いた。この位置から見る周囲の山も迫力がある。鉄塔パズルも楽しめる。雪の無いときには、面白味も減るだろうが、西ノ山まで足を伸ばしたり、鉄塔巡視路で周回も可能と思われる。城ヶ峰までのルートもチェックしてみたいと思った。

 帰路、トンネルの西にある農産物直売所からこの山を振り返った。眩しい太陽を掌で隠すと、昼食会場のL100鉄塔が午後の日差しの中にシルエットとなって小さく見えた。


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