トレースマップはカシミール3Dで作成
*この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用しています。(承認番号 平25情使、第146号) 

松葉洞 (815m 関市) 2014.4.5 曇り・晴れ・一時雪 2人

大道神社(8:55)→お社(9:13)→石仏(9:55-10:02)→峠(10:22)→松葉洞山頂(10:37-10:49)→東尾根(10:51)→松葉洞山頂(11:00)→峠(11:14)→北西ピーク(11:29)→峠(11:44-12:48)→石仏(13:03)→お社(13:33)→大道神社(13:46)

★4月5日に関市板取の松葉洞に登ってきました。
★門出集落の大道神社をスタート。
★粉雪が降る中、踏み跡の薄い道をルートファインディングしながら、古道に合流。
★小さなお社で安全祈願をし、歴史を感じる掘れた道を、タムシバの白い花びらを踏みながら登りました。
★道はいくつも分岐・合流しており、倒木もたくさん。
★石仏の前で一休みしてさらに登り、人工林をトラバースして峠に出ました。
★峠から折り返すようにササの道を東へ歩き、天然林の静かな山頂へ。
★山頂東の尾根からは、木々の間に蕪山や滝波山が見えました。
★さらに峠から北のピークを踏み、峠に戻って暖かい陽だまりの中でランチ。
★展望地はわずかでしたが、昔を偲びながら、静かでワイルドな山歩きを楽しんできました。


 近場でまだ登っていない山を探していると、関市の松葉洞が浮かんだ。松葉洞は高賀山の北、蕪山の南にある標高815mのマイナーな山である。国土地理院の地図には、この山から南西に流れる谷に松葉洞と書かれていることから、この名前が付いたと思われる。夏にはヤマビルがいることから、この時期に登るのがベスト。

 寺尾の千本桜の花のトンネルを抜けて、板取川を渡り、国道256号線を北上。洞戸から板取に入り、タガラトンネルを右に見て、郵便局を通過。すぐに右折して、門出の集落に入り、大道神社に向かう。大道神社は廃校となっている板取第一中学校の裏にあり、廃校の北側にある広い空き地に車を停めた。
 
 苔の生えた階段を登り、鳥居を潜って、神社で今日の山歩きの安全を祈願。賽銭箱は本殿の中にあり、ガラス戸の小さな穴から投げ入れるが、これが賽銭箱になかなかうまく入らない。登山口の標示は無いが、神社の左側の石垣の上の道が入口となる。道はすぐに腰ほどの丈があるササに覆われた。ササの中の踏み跡を探しながら、登っていくと、すぐにササヤブを抜けて、右の谷に堰堤が現れる。足元にはスミレサイシンが可憐な花を咲かせている。
 
 道は倒木が散乱する、涸れた小さな谷となり、石を踏みながら登っていくと、右上に給水用のドラム缶があった。このドラム缶の上の道を登り、折り返しながら窪んだ道を歩くと、右下から上がってきた広い道に合流した。下山時に直進しないように、この合流点に赤布を付けた。
 
 スギやマツの枯葉を踏みながら、合流点から3分ほど歩くと、左の高台に小さなお社が見えた。高台に上がって、お社に参拝。歴史を感じる社である。窪地の道に戻って、先に進む。窪地には倒木が多く、窪地から外に出て歩くところもある。ちらちらと白いものが落ちてきた。雪が舞っている。昨日の冬型の気圧配置が朝まで残っているようだ。今シーズン最後の雪になるだろう。
 
 後方から道が合流しており、帰路、迷い込まないように、ここにも赤布を付けておく。昔からの道であり、古くから多くの人々が歩いたに違いない。道は雨に削られて、このような窪地になったと思われる。背丈以上の深いところもある。雨が降ると川になるようだ。地面に落ちている白い花びらはタムシバだ。この針葉樹林の中で・・・見上げると針葉樹よりも高い位置で白い花が咲いている。いつの間にか青空が広がっていた。
 
 道が分岐しているところがあり、左右に分かれて歩いてみたが、少し先で合流した。人の行き来がいくつかの掘れた道を作ったと思われる。地面に落ちているツバキの花も見られる。針葉樹林帯の単調な道であるが、地面の上の落し物を見ていると退屈しない。
 
 後方から道が合流しているところに赤布を付けながら登り、人工林のササ付き痩せ尾根を通過。掘れた道となり左右に分岐したところは、右の濃い道を選ぶ。急傾斜を登ると、左に岩場が現れ、その下を通過。道はこの先で合流し、すぐに石仏のある平らな場所に出た。
 
 コウヤマキの下で手を合わせる石仏には、明治5年の文字が読み取れた。石仏の前には錆びた鋸が置いてある。森林作業の忘れ物のようだ。周囲には石仏の台座のような石がある。古くからここが休息地点となっているようだ。この石仏は峠を越える多くの旅人を見てきたに違いない。昔を想いながらパンを食べて一息つく。
 
 石仏を後に、痩せ尾根を通過し、左山で窪地を歩き、左に向きを変えて展望のいい場所に出る。谷を挟んで北側の尾根や西方向の山が望めた。右山でササのうるさい道を歩いて人工林に入る。トラバースの道幅がしだいに狭くなり、路面が傾斜していることから、滑らないように歩いた。人工林は幼木の林となり、すぐに明るい稜線に出た。ここが峠であり、更に先へ掘れた道が下っていたが、廃道のような状態である。
 
 松葉洞山頂へはここを折り返すように右に向かう。道はしっかりしており、ヒノキの幼木を右に、痩せた尾根を歩く。幼木の隙間から西側の展望が得られ、板取の集落やサンノーの高などの山々が望めた。また、その手前の山の向こうに、日永岳の頭がわずかに見える。昨夜降った雪が薄く残るなだらかな道は、ササ付きの急傾斜の道となり、登り切ると整然と並ぶ人工林に出た。黄色いペンキが幹に塗ってある。
 
 人工林をゆるやかに登っていくと天然林となる。人工林を歩いてきただけに、天然林は気持ちがいい。落ち葉を踏んでいくと、背丈の低いササの中に三角点が現れた。松葉洞山頂である。山名標示はなく、木に布切れがぶら下がっている。山頂は二次林の潅木に囲まれているが、葉が出る前であり、北側の山々が望めた。
 
 山頂からさらに東に踏み後が緩やかに下っていたので歩いてみる。コウヤマキの大木の下を通過し下りが急になる辺りまで行ってみた。北側には葉を落とした木々の間から蕪山の丸い頭と、その向こうにはしっかりと雪の残った滝波山が見える。気持ちのいい場所である。まだ11時前なので引き返して峠辺りで昼食をとることにした。
 
 山頂まで戻ってそのまま登ってきた道を下る。峠まで戻り、さらに道が北に続いていたので行ってみる。ササ付きの痩せ尾根を通過し、斜面を登っていくと、背の低いササの中に製紙会社の名前が書かれた石があった。蕪山がより大きく見える。薄い踏み跡があり、左にあるピークまで登ってみる。ピークは人工林の中で全く展望はない。最近、森林作業が行われた跡が見られた。この辺りはシャクナゲの木がたくさん自生している。花の時期に登ってみたい場所である。
 
 引き返して、次は東の尾根に行ってみる。こちらはコウヤマキやヒメコマツなどの天然林だった。峠に戻って、道の真ん中で昼食にする。メニューは卵雑炊。シロモジの大きく膨らんだ花芽の下の陽だまりで、食事を楽しむ。下界から正午を告げる音楽が聞こえてきた。西側の山肌にはタムシバと想われる白い木が点々と見える。峠に登ってくる人は誰もいない。
 
 1時間の昼食の後、登ってきた道を下った。途中、往路とは違う道を下ってみたが、途中で往路に合流。赤布を回収しながら、神社まで戻った。神社で、祭りの準備が行われていた。のぼりを建てている地元の方から、声を掛けられた。峠から東にある山に登ってきたことを話すと、昔は峠からさらに奥の山に炭焼きのための木を集めに行き、重い木を背負って峠を越えたそうだ。今、歩いてきた道はこうした古人により作られたようだ。
 
 松葉洞は人工林が多くを占め、登る人も少なく、標識なども無い。また、峠まではいくつかの道が交差しているが、尾根を外さなければ迷わないと思われる。山頂付近は雰囲気の良い二次林であり、こういう静かな山が好きだ。
★松葉洞からの展望

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