トレースマップはカシミール3Dで作成
*この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用しています。(承認番号 平17総使、第654号) 一部誤動作あり
道樹山・大谷山・弥勒山・西高森山
(429m・425m・437m・215m 多治見市・春日井市) 2007.12.16 晴れ 2人

都市緑化植物園駐車場(9:12)→細野キャンプ場(9:19-9:23)→縁者不動の滝(9:31)→道樹山山頂(9:58-10:06)→大谷山山頂(10:17)→弥勒山山頂(10:32-11:28)→みろく休憩所(11:42-12:22)→公園・ログハウス(12:50)→多目的広場(13:02)→築水休憩所(13:15)→西高森山(13:31-13:37)→築水休憩所(14:15)→多目的広場(14:50)→駐車場(15:05)

 12月16日の日曜日に山行を予定していたが、冬型の気圧配置で北ほど天気が悪い。できるだけ南の山を検討して、道樹山から弥勒山を歩くことにした。道樹山、弥勒山は岐阜県多治見市と愛知県春日井市の県境に連なる標高400mほどの低山である。この山の愛知県側には高蔵寺ニュータウンがあり、また山麓には都市緑化植物園や少年自然の家などが整備され、生活環境保全林となっている。また、東海自然歩道がこの山を通っており、休憩所や標識はしっかりと整備され、軽登山やウォーキングに最適の場所である。

 犬山市を抜けて入鹿池、東小牧IC付近を通過して国道19号線を横断。この辺りで少し道を間違えたが9時前に都市緑化植物園に到着。T字路信号交差点の近くにある大きな未舗装の都市緑化植物園駐車場に車を停めた。正面には鉄塔が立つ2つの山が望める。右奥が道樹山、左手前が大谷山。弥勒山は大谷山に隠れて見えない。今回は、せきすいさんのレポートを参考に、この駐車場を起点に3山を縦走して周回する計画である。

 駐車場には2・3台の車があるだけで、登山者の姿は見えない。靴を履き替えてスタート。駐車場南側のY字路を左に入り1・2分歩いてT字路を左へ折れ、住宅街の中の次の路地を「東海自然歩道・細野キャンプ場」の表示に従って右へ曲がる。再び左折して、左にお地蔵様を見ながら坂を登ると大きなトイレのある細野キャンプ場の広場に着く。この日は祭礼があるようで、地元の方の軽トラックがたくさん駐車してあった。
 
 キャンプ場から道樹山までは2つのルートがあるようだが、登山口の表示はない。かなり大雑把に書かれたコース案内図を見て、広場から先へ続く林道に入る。散ったばかりの落ち葉で覆われた林道を歩く。左の谷には大きな堰堤が見られた。杉林を抜け、広場から数分歩くと右側に二宮金次郎の石像。さらに緩やかに林道を登っていくと岩が現れ縁者不動の滝の表示。タカノツメの黄色い落ち葉は地上の星。道は右手の丸木階段へと続く。道樹山まで0.7km・45分の地面に落ちた表示板が落ち葉に埋もれていた。
 
 息を切らして階段を登りきってすぐに、東海自然歩道に突き当たった。ここにも道樹山山頂まで40分の表示。右手に鉄塔を見ながら丸木階段が続く。周囲にはササも見られ、傾斜は決してゆるくはない。道に雨水を逃がす溝が作られ、丸木や石の階段がよく整備されている。長袖Tシャツ1枚になって尾根を真っ直ぐ登って行く。やがて道は小刻みなジグザグになり、登りきると石碑や東屋のある稜線に着いた。東屋の隣には「三日月堂」と書かれた小屋があった。ヒノキ林を抜けると赤いトタン屋根のお社と案内板。道樹山山頂である。
 
 樹林帯の中で展望は無い。記念写真を撮っていると、定光寺・桧峠方向の道から若い単独男性が登ってきた。定光寺から1時間ほどで登ってきたとのことで、かなりの健脚である。桧峠までは0.9km・25分の表示。これから目指す弥勒山までは1.4km・45分、さらに先の内津峠までは3.6km・1時間50分かかる。山頂にいる10分ほどの間に数人の登山者が通過。
 
 山頂を後に、北側へ下る。立派なお社を左に見ながら、アカマツの多い落ち葉の稜線を歩き、小さなピークを越えていく。すれ違う登山者が増えてきた。道樹山から10分ほどで大谷山山頂に到着。山頂にはベンチがあり、切り開きからは入鹿池方面の展望が得られた。山頂から左右に道があり、案内に従って右に下る。すぐに22番標識があり、弥勒山まで0.6kmの表示。左へ下る道があり、都市緑化植物園まで1.7kmと書いてある。小ピークから広い道を下り、一旦なだらかになって再び急降下。正面には樹間から丸い山が見えた。弥勒山のようである。下りきると34番標識。ここからも都市緑化植物園への道が派生している。丸木階段を弥勒山に向けて一気に登り、青空の山頂に立った。
 
 山頂の中央に三角点があり、いくつかのベンチが置いてある。北東側が切り開かれ、岐阜の白い山々が望めたが雲が多く同定は困難。東に白い恵那山が雲から姿を見せ始めている。西には東屋があり、ここから西側の展望がすばらしい。眼下には築水池や西高森山、その先には尾張富士や入鹿池、名古屋のタワー群、遠くに伊吹山などが望めた。展望できる山々の名前が書かれた方位板や記帳ノートなどが設置されている。山頂から東へは多治見市廿原に下る道があり、赤い屋根のお社があった。大都市近郊の低山だけあって、大勢の登山者で賑わっている。金華山と同様に、ここでもたくさんのヤマガラが登山者の手からピーナッツをついばんでいく。日当たりのいいベンチを確保して、ランチは早すぎるので、コーヒータイムとし、いつものようにパーコレーターのコーヒーとお菓子を楽しんだ。
 
 1時間ほど山頂でのんびりして、内津峠方面に下る。5分ほど下ると左に「みろく休憩所」の矢印が現れたので、ここを左へ。細くなったササ付きの尾根道を真っ直ぐ下っていく。数分下って、未舗装の林道に出た。林道を左に下るとすぐに大きな東屋が現れる。みろく休憩所である。お昼になったので、ここでランチにする。メニューは味噌煮込みうどん。昼食の間に、ここを通過した登山者は2・3人であり、この林道コースを歩く人は少ないようだ。
 
 昼食後、縦走してきた稜線を見上げながら林道を下る。23番、20番の標識を通過。この標識から弥勒山や大谷山へ登る道が派生している。一部アスファルト舗装の道もある。道は次第に西に向きを変え、樹林帯の中に入る。ベンチの付近で大きな常緑樹の林に出会う。常緑樹はツブラジイで、金華山を思わせる雰囲気。この下で林道が分岐しており、右は「大理石」と書かれている。左の植物園方向に進む。すぐに多目的広場への分岐。ここは左へ。この時点で多目的広場がどこかなど全くわからないので、とにかく植物園を目指した。
 
 36番、37番標識が現れ、ここに「みろくの森案内図」があった。網の目のように張り巡らされた遊歩道があり、弥勒山から植物園への道が何本もある。県道を隔てて西側には、築水池や西高森山周辺にも遊歩道が整備されている。植物園に下りたら時間もあるので西高森山も踏むことにした。36番標識から林道を右折して、山道に入る。公園まで50mの案内。樹林帯の中、落ち葉の絨毯を踏みながら下って、公園のログハウスの前に出た。
 
 ログハウスのトイレに寄って、隣にあるミニ動物園でクジャクやヒツジ、ウサギなどを見ながら県道を渡って運動場や多目的広場を通過して築水池の南の遊歩道に入る。池の向こう側に見える小高い山が西高森山である。1時間もあれば周遊して駐車場に戻れると思ったのだが・・・。池を右に、樹木の名前が書かれたプレートで木の名前を覚えながら歩く。左には少年自然の家の大きな建物。池の西にある堰堤を渡る。池の向こうには手前右に大谷山、左奥に弥勒山がきれいに望めた。
 
 堰堤を渡りきったところに5番標識と大きな案内板があった。一段高い所には築水休憩所の東屋がある。案内図で西高森山へのルートを調べる。林道を歩くのか、湖畔の道を歩くのか2人の意見が対立し、現在位置をよく確認してらくえぬの主張する林道が正しいことがわかり、林道を左方向へ歩いた。林道は右回りに弧を描いて登っていく。5分ほど歩くとベンチがあり、4番の標識。西高森山0.8kmの表示に従って林道から左の山道に入る。
 
 湿地の木道を渡って西方向に歩き次第に北に向きを変えていく。落ち葉に埋もれたなだらかな谷状の地形を歩く。左の斜面にはウラジロの群生が広がって美しい。ウラジロの斜面を南に回り込んで尾根に出ると松の幼木が多い明るい尾根に出た。正面に鉄塔が見える。青空を綿雲が流れる。後方には名古屋方面の市街地が広がり、前方右手には先ほど歩いてきた弥勒山の展望台が望めた。大谷山と道樹山も見ることができ、3山が同時に見える場所である。背中に初冬の日差しを受けて気持がいい。
 
 木橋を渡ったところで3番の標識。西高森山は直進0.4km。前方の鉄塔のある山が西高森山のようだ。すぐに分岐点が現れたが表示が無い。左への道は下っていたので、薄いが直進の道を選ぶ。コシダの茂る松の林を抜けて左山でトラバースしていくと先ほどから見えていた鉄塔の下に飛び出した。折り返すように向きを変えると東屋があり、サクラの木の下に三角点があった。多くの山頂で見かける茶色の小さな山名表示板が木に掛けてある。東屋には1人の単独男性がみえた。西高森山で出会ったはじめての登山者だった。東屋から西方向の展望がすばらしく、名古屋のビル群や多度山・養老山などが望めた。
 
 三角点の前で記念写真を撮って、さらに先へ続く道を下った。3分ほどで林道に出ると、6番の標識があり、左は市民球場1km、右は築水池1kmとある。このとき、この林道は当然、先ほどの4番標識のあった林道の延長線上にあると思い込んだ。右へ行けば戻ってしまうので左を選んだ。市民球場がどこにあるのかも分からなかった。後に地図を見て、市民球場は築水池とは全く反対の山の北側にあり、また林道も山中でY字に分岐していることを知った。

 GPSで方向を確かめ、どんどん北に向ってしまうようであれば引き返そうと決めて林道を左に歩いた。5分ほど歩き、北へ北へと行ってしまうので引き返そうかと思ったところ、7番標識が現れ、右へ山道がある。表示はないが方向が県道に向かっているので右折して山道に入った。尾根道から折り返して右山で東方向へ蛇行していく。ここにもウラジロのみごとな群生地がある。右手に電線を見上げながら、平坦な落ち葉の道を歩く。湿地になりやすい登山道にはコンクリートの飛び石や木橋が設けられている。
 
 林道から10分ほど歩くと南北の道に突き当たり10番標識。ようやく都市緑化植物園の案内が現れた。すぐ左にも11番標識があり、東方向は弥勒山と書いてある。ここは植物園の表示に従って右へ。南に歩いていくと鉄塔の脇を通過して林道に出た。さて、分岐ごとに標識があるのだが、ここには標識がない。GPSを確認して県道方向の左へ行くのが正解だと思った。ちょうど若いお母さんが小さな子どもを連れて散策してみえたので、植物園への道を尋ねると、植物園は左、右は築水池へ行くと教えてもらった。植物園へは築水池経由でもそれほど時間は変わらないと言われた。迷ったが右に行けば築水池の北湖岸に下りられると思い込み、右を選んだ。まさに運命の分かれ道。
 
 御礼を言って右へ林道を歩く。前方に西高森山で出会った単独男性の姿が見えた。我々のほうが先に下山し、追い抜かれてもいないのに、なぜ? 狐に化かされたか? 謎は深まるばかり。林道を西に歩くと12番標識。林道が分岐している。林道は1本ではないことがここで初めて分かる。築水池は左。林道を下っていく。いやな予感がした。どうみても築水休憩所に戻っていく。GPSを見ながら歩くと、次第に先ほど歩いた軌跡に近づいている。北湖岸に下りられる道はなさそうだ。そして先ほどの4番標識で軌跡が合流した。やむを得ず築水休憩所まで登ってきた同じ道を下って、休憩所の案内図を見た。思わず笑った。全ての謎が解けた。西高森山全体を、遊歩道と林道が網の目のように張り巡らされている。遊歩道の書かれていない地図を持っていても分からないものである。
 
 思わぬ時間がかかったが、後は北湖畔を歩くだけ。しかしここでもう1つ問題が発生した。治山工事で北湖畔の道は通行止めと書かれた小さな紙が張ってある。南湖畔を歩いているときに北湖畔に人影が見えたので、行けるところまで歩いてみることにした。湖畔の道はよく整備されており、大きな起伏も無い。メジロの群れがさえずりながら遊歩道の脇を移動していく。

 北へ北へと進んでいくので、GPSを見て気が付いた。築水池の北には3つの谷がありカエデの葉のように入り江ができている。南湖畔と違ってこの入り江を回り込まなければならない。この距離が半端じゃない。1つ目の谷を回りこんで湖畔に出ると、休憩所はまだ目の前にある。次に最大の谷があり、これを回り込むのにかなりの時間を要した。3つ目の谷は小さい。途中、木道の設置工事が行われていたが、工事はほぼ完了して通行に問題は無かった。また、湿地帯がいくつかあり、ハルリンドウやサギソウ、シデコブシ、ハッチョウトンボなどの表示が見られ、進入防止のロープが張られて湿地が保護されている。貴重な野生動植物が残されており、大切にしたい場所である。
 
 池の東の運動場の下を通って多目的広場近くの県道に出た。県道を横断して植物園へ。クリスマスの飾りつけがたくさんある温室の中でソフトクリームを食べて駐車場に戻った。短時間で歩けると思っていたが、西高森山のルートファインディングでかなりの距離を歩き、標高差はないものの本格的な山歩きとなった。このルートファインディングが楽しかった。今日のコース以外に様々なコース設定ができるので、季節を変えて何度も訪れたい山である。
みろくの森案内図 
(我々が歩いたルート 赤点線:西高森山までのルート 黄点線:西高森山からの下山ルート
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