トレースマップはカシミール3Dで作成
*この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用しています。(承認番号 平21業使、第478号) 

富士見台・神坂山 (1739m・1684m 中津川市) 2010.11.6 晴れ 2人

強清水(11:14)→神坂峠(12:20)→神坂小屋(12:52)→富士見台(13:03-14:12)→神坂山山頂(14:33-14:38)→萬岳荘(14:46)→神坂峠(14:56)→強清水(15:38)

 東濃地域で用事を済ませて神坂峠への道に入ったのは11時近かった。前にも後ろにも神坂峠へ向う車があった。この状況では神坂峠付近は車でいっぱいになっているに違いない。いつもよりかなり遅い時間ではあるがは、今回は強清水から登ることで意見一致。けやき平キャンプ場のトイレに寄って、さらに車を進め強清水の東屋に駐車。2台駐車できるスペースに1台の乗用車が停まっており、その横に停めた。(神坂峠への行き方は恵那山のレポートを参照されたい)

 強清水から富士見台へ登るのは初めてである。身支度をして東屋の横から人工林へ入る。よく踏まれた道を歩くと5分もしないうちに車道に出た。登山道はこの先、何度も車道に接しながら峠に向っている。登山道の入口を探しながら車道を歩く。すぐに登山道入口が現れないので心配になったが、カーブを曲がった辺りに登山道の標示があり一安心。強清水から神坂峠までのコースは、全部で9回車道に接するが、どこも車道を上方に少し歩いた左側にある。

 きれいにササが刈られた道を歩き、人工林に入る。人工林と車道歩きを交互に繰り返しながら歩く。3回目の車道に出たところで、登山口の標識はないが山側に明瞭な道があったが、正式な登山道はこの先にある。標識のない道は登山道ではない。6回目の車道を越えた人工林で、左側が開け稜線を見上げる。紅葉はすっかり終わっている。
 
 7回目の車道よりも上になると随所で稜線を見ることができ、青空を背景に立つ白い枯れ木が美しい。前方には斜面に張り付くガードレールが見え、天然林を通過するところも多くなった。登山道はコハウチワカエデの落ち葉で埋まっており、カサカサと音を立てて歩く。日陰の草は朝の霜で真っ白になり、ササの葉の上の水滴は氷の玉になっている。今朝はかなり冷え込んだようだ。
 
 8回目の車道を通過して登山道に入ったところで、勢いよく流れる水を見て、9回目の車道を横断。小さな小屋の脇を通って、御坂峠へのジグザグの登りとなる。ササはよく刈られており、急斜面の九十九折れを登る。この辺りは天然林で、斜面には苔むした石も多く見られる。
 
 ササの中、落ち葉を踏んで斜面を登り切ると神坂峠の案内板が現れた。峠は標高1585mあり、案内板には、東山道の要衝で古墳時代から中世にかけて祭礼のための剣や鏡などが多く発掘されたとある。峠から富士見台に至る道は3つあり、一般には萬岳荘から富士見台に向かうが、今回は富士見台南のピークの西を巻く道を登る。以前、下りに使った道である。
 
 神坂峠遺跡の碑の横を歩いて右山のトラバース道に入る。ササがよく刈られた道から、左にはどでかいシルエットの恵那山が台形の稜線を見せる。かつて歩いた神坂峠から恵那山への尾根が鋸状に繋がり、青いシルエットへと吸い込まれている。僅かな樹林帯を抜けてピークの西側へ出ると眼下に中津川市街地が広がった。さらに回り込んでいくと、富士見台方向のササ山が見え始めた。ピークの北側の日陰には路面に落ちている刈り取られたササが霜で真っ白になっており、霜柱も見られた。
 
 前方からやってきた家族連れと挨拶を交わして萬岳荘からの道と合流。前にも後ろにも大勢の登山者・・・というよりも観光客。最初は神坂峠に車を置いて登ってきた人だと思ったが、大半はヘブンス園原のロープウェイとシャトルバスを乗り継いで富士見台を目指す人のようだ。
 
 周囲はササに覆われ美しい曲線の丘陵地。東に冠雪した3000m峰が続く。山の同定は後にして、富士見台を目指す。2つの神坂小屋を左に見る。今回もトイレは閉鎖されていた。右に神坂山への道を見ながら左方向に向きを変えてロープの張られた広いガラガラ道を軽装の観光客に交じって登る。登り切って声が出る。頭の白い御嶽山が目に飛び込んできた。その向こうには白い乗鞍。見渡す限り雲一つない真っ青な空の中、緑色の富士見台は目の前。山頂まで人の列が続く。ユーミンの「飛行機雲」の曲を口ずさみながら、山頂に到着。
 
 お弁当を食べる人、記念写真を撮る人、周囲の山を指差す人など、広い山頂は実に賑やか。記念写真の順番を待ってセルフタイマーを切った。方位盤の前で、穂高や中央・南アルプスの山々を1つ1つ確認。この9月に登った横川山や南沢山はもちろん、南木曽岳や風越山なども近くに見える。風があり、寒いのでジャケットを着て広場の一角で遅いランチにする。メニューはおでんとカレーうどん。気温が低く、1リットルの水がなかなか沸かなかった。これからはガソリンストーブが活躍する時期だ。
 
 2時を回ったところ下山開始。萬岳荘経由で下ろうと思ったが、まだ登ったことがない神坂山に寄ることにした。日の短くなったこの時期、3時までに戻りたいところだが3時半に強清水到着を目標に神坂山に向う。富士見台を後に、まだまだ大勢の人が登ってくる道を下り、神坂山分岐点から東へ向う。この道に入る人は少なく、分岐点から2分ほど東にある遭難碑手前で一組のカップルに出会ったのみ。

 落雷遭難碑を通過しフェンス跡を見ながら下ると、なだらかな山容の神坂山が見えた。山頂へ続く道がササの中をうねっている。気持のいい丘陵歩き。鞍部まで下って登り返す。萬岳荘への分岐点を通過して、山頂を目指す。山頂まではたいした登りではない。なだらかになり大きな岩が現れると山頂に到着。岩のある山頂には金属ポールが立ち、三角点があった。さらに先へ僅かな踏み跡があったが、深いササに遮られた。木々が立ち、展望は360度とまではいかないがまずまず。山頂の西側からは富士見台が望め、山腹に広がるカラマツ林が美しい。

 時間がないので、山頂で写真を撮ってすぐに下山。神坂山からの下りもすばらしい展望が得られ、静かで富士見台とは一味違う山歩きが楽しめる。鞍部手前の分岐点から萬岳荘目指して南へ下る。道はよく踏まれて全く問題ない。ササの道からすぐにヒノキ林の中へ。小屋の脇を抜けて鉄階段を下り、萬岳荘の裏に出た。
 
 山荘の表側に回ると大勢のバスを待つ観光客が並んでいた。車道を歩いて神坂峠に向っていると、萬岳荘に向うマイクロバスに出会った。まだたくさんの車が停まっている神坂峠を後に、登ってきた道に合流して強清水に戻った。3時半を回っていたが、ほぼ予定通りの時間で山歩きを終えた。
 
 帰路、クアリゾート中津川の温泉に寄って汗を流す。ネットのクーポン券を利用すれば600円で日帰り入浴が楽しめる。この温泉の道路を挟んだところにある小さな五平餅屋さんの五平餅が美味しいので大量に買い込んで中津川を後にした。
 
 富士見台は何度登ってもすばらしい山だ。ササの稜線歩きは実に気持がよく、360度の展望も文句なし。強清水から神坂峠までは人工林が多いが、古代からの道を体験できるという意味では一度は歩いてみる価値はあると思った。次は神坂神社からのルートで登りたい。
★富士見台からの展望



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