トレースマップ(カシミール3Dで作成)

小島山・ムネ山 (864m 906m 揖斐川町) 2005.11.20 晴れ 5人

滝谷橋・林道入り口(8:16)→県道より右折(8:23)→小島山登山口(8:28)→L80鉄塔(8:57-9:07)→L81鉄塔分岐(9:22)→L82鉄塔(9:38-9:46)→L83鉄塔(9:55)→L84鉄塔(10:06)→小島山山頂(10:16-10:28)→林道合流(10:37)→L87鉄塔(10:41)→古賀ヶ池入り口(10:59)→古賀ヶ池(11:10)→ムネ山山頂(11:20-13:15)→古賀ヶ池入り口・林道(13:19)→林道終点(13:49)→R83鉄塔(14:03)→568.8m三角点(14:09)→R81鉄塔(14:20-14:32)→林道合流(14:45)→ゲート(14:53)→熊野神社・日向滝(14:57-15:05)→滝谷橋・駐車地点(15:09)

参加者:カッペさん、弟子のKさん、Hさん、RAKU、らくえぬ

 池田山と並んで濃尾平野の最前線に横たわる小島山は、近くにありながら登っていない山の1つであった。と、言うのも、以前に池田山に登ったメンバーと、次はこの山に一緒に登る約束があったから・・・。

 この休みは、鈴鹿方面にでもと考えていたところ、カッペさんたちのベテラン組が小島山に登るという情報を得た。登っていない山だけに、登りたいと思った。池田山メンバーとの約束はもう時効。「ご一緒に!」とカッペさんにメールを入れた。

 揖斐川町で待ち合わせ。カッペさんと久しぶりの対面。今年の2月、雪の岩岳以来である。カッペさんの他、これまた久しぶりのKさん。そして初対面のHさん。3人は若い頃から山歩きをしている山男ばかり。Hさんは100名山を制覇しているというから驚き。

 駐車スペースが少ないため、Hさんの車に5人乗り込んで旧春日村へ県道32号線を西進。正面に国見岳を見ながら、池田山と小島山の間へ。雲1つない青空を背景に朝日を浴びた小島山が美しい。植林が多い山だという印象があったが、よく見ると天然林と人工林がモザイク状に入り交じっている。

 横に平たいこの山には多数の鉄塔が目につく。県道32号線側から北へも2列の鉄塔が並行して伸びる。東側はR、西側はLの記号が付けられており、この鉄塔に沿って巡視路が設けられ、それが登山道となっている。今回は、登りにL鉄塔、下りにR鉄塔の巡視路を利用する。

 Hさんの100名山の話しを聞きながら、車は小島山に近づいてきた。山が迫った辺りで、左の川の対岸に日東あられの工場を見て滝集落に入り、左にある郵便局を通過して100m程で滝谷橋を渡る。渡ったら右へ細い道があるので、滝谷に沿ってこの道に入ったところの路肩のスペースに車を停めた。通常なら小島山登山口に駐車するのであるが、今回は周遊コースなので、下山時にすぐに車に乗り込めるようにとここに停める。

 身支度して、まずは県道を西へ歩く。7〜8分歩くと、右手山側に折り返すよう車道が現れる。この道に入って左の階段を上がり茶畑を抜けてショートカットし、再び車道を東へ歩くとブロックの法面が切れた山側にL80鉄塔を示す中電の小さな黄色いプレートがある。ここが小島山の登山口である。ここから登る場合、登山口手前に数台駐車可能な空き地がある。

 階段を登って涸れた沢からすぐに竹藪の中を抜けて左の斜面のプラスチック階段を登っていく。常緑樹の多い林をぐんぐん登る。鉄塔管理路であり、道は明瞭。登山口から10分ほどで大きな岩の前を通り、すぐに右後方からの道と合流する。Hさんは以前小島山に登り、ヤマビルのため最初の鉄塔で撤退したとのこと。その頃は登山口から荒れた谷を歩いたそうだ。恐らく、この合流した道はその頃の谷から登ってきた道のようだ。

 山の形から見てもわかるように、小島山の肩まで行くためにはかなりの急斜面を登らなければならない。息が切れてきた頃、目の前に大きな鉄塔が現れる。L80鉄塔だ。約1時間歩いたので最初の休憩。10分休んで出発。急斜面は続く。ササが現れ、周囲の木々は低くなってきた。シロモジが多く、ちょうど紅葉最盛期で朝日を浴びて黄金色に輝いている。見上げれば頭上に電線。振り向けば池田山が大きい。ヤブに近いような道もあるが次々に現れるシロモジに感動。

 ヒノキ林を抜けて登山道右側にある2つ目のL81鉄塔の脇を通過。急登は終わり肩にたどり着いたようで、なだらなになったヒノキ林を歩く。暗い人工林の外にはシロモジの黄色が輝きすばらしい。L82鉄塔の下に出て2回目の休息。南のシロモジの林に踏み込んでみると、一面黄色の世界に木々の幹が黒いストライプを作ってここも見事な光景。日本の四季はなんと美しいことか。

 L82鉄塔から少し下ってヒノキ林を登り返して20分足らずで次の鉄塔L83へ。鉄塔下で西に寄れば目指す小島山の三角形の山頂が間近に望めた。ササ付きのシロモジのトンネルに歓声を上げての尾根歩き。やがて尾根を右に外して道が続く。いくらかの下りを経て天然林と人工林の境を歩くとL84鉄塔。山頂までは後わずか。

 鉄塔からすぐに東側が切り開かれた伐採地に出た。ようやく展望地といえる場所があった。立ち止まって展望を楽しむ。濃尾平野に流れ出る青い揖斐川が美しい。金華山や百々ヶ峰が遙か遠くに小さく見える。さらに遠方には恵那山が丸い。さすが、濃尾平野の前面に位置する山だけある。

 右前方に鉄塔を見ながら一息で山頂に着いた。樹林の山頂で展望はない。小島山と書かれた2枚のプレートがかけられている。狭い山頂で記念写真を撮った。今回のもう1つの目的地はこの先の古賀ヶ池。山頂でカッペさんからいただいたお菓子が美味しかった。山頂から先へは2本の道があり、右はL85鉄塔へ。左はL86へ。池へはL86方向へ行く。

 下り気味に痩せ尾根を歩く。右側の展望が良く、濃尾平野を見下ろしながら歩いた。前方には鉄塔が2本見える。天然林と人工林の境を時計回りに回り込むように尾根を歩くと、山頂から10分ほどで林道に飛び出した。未舗装の林道は落ち葉で埋まり、ススキが繁っている所もあるが、さほど荒れてはおらず車の通行は可能のようだ。この辺りの紅葉は既に終わり、落葉しているがそれでも真っ赤に色づいたカエデなどが見られた。

 蛇行する林道を北へ歩く。所々展望の良い場所があり退屈しない。眼下には鉱山も望めた。シロモジの枯葉を蹴散らしながらL86、L87鉄塔を通過。L87鉄塔から林道は一旦西に向きを変える。ここから鉄塔は更に北へ下っており、鉄塔群と別れることになる。

 陽の当たらない北斜面は寒い。歩くたびにシャリシャリと音を立て、足跡が白く残る。霜柱の上を歩いている。寒いはずである。ここから見る北の山々が美しい。手前の峰から頭を出す小津権現、その稜線は花房へと続く。花房山は、飯盛山から見たときと同じように双コブに見えるのが面白い。その向こうの白い山は能郷白山のようだ。寒い中、皆立ち止まって、山々を指さす。今にこれらの山も真っ白に塗り替えられるであろう。その直前、葉を落とした一瞬のグレーの山は空のスカイブルーに溶け込んでパステルな世界を創り出す。好きな季節、好きな光景である。ここが最高の展望地と思ったが、この先、予想もしない展望が待ち受けていた・・・

 池はもっと小島山に近い位置にあるかと思っていたが、すでに小島山から30分近くも歩いている。前方に4輪駆動車が止まっているのが見えた。車で上ってこられるようだ。車の陰に「古賀ヶ池」と書かれた看板があった。ガイドブックによるとこの池は「ふるかのいけ」と読むようだ。

 この看板から林道と別れて池を目指す。しっかりした道が尾根伝いに続いている。時計回りに歩く。左手の尾根の向こうは植林のための大規模な伐採が行われており、展望を求めて伐採地に出てみた。小島山が見える。もうこんなに歩いてきた。その右に、間近に伊吹山とそれに続く伊吹北尾根の美しい曲線。国見岳の手前には鎗ヶ先の鋭利な山頂が重なってかろうじて見えた。皆立ち止まってまた山を指さす。

 この辺りは林業用の作業道が入り組んでいるが、古賀ヶ池へは最も良く踏まれた広い道を歩く。林道から10分ほどで前方の低い位置に光る水面が見えた。道は更に先へ続いている。どこへ行くのであろうか。とりあえず池まで下りてみた。大きな窪地に半分ほど水が溜まっている。水の部分は500uほどあろうか。思ったよりも大きな池だ。色づいた落葉を浮かべた池は波1つなく神秘的である。周囲に高い山はないにもかかわらず、水が涸れることがないそうで不思議な池である。

 写真を撮って、引き返す。「ムネ山は確か古賀ヶ池入口辺りから登ったのだが。」とカッペさん。「エッ」小島山の北にムネ山があることは知っていたが、そんなところまで来ているとは知らなかった。GPSで、看板近くのピークがムネ山と確認。入口近くまで戻って、雑木林の斜面を登る。この尾根の左半分も伐採されヒノキの苗木が植えられていた。

 伐採された細長い尾根を歩いてすぐに木に巻かれた白いプレートにムネ山の文字と三角点。まさかムネ山まで来られるとは思わなかった。それにこんなに展望のある山だとは思わなかった。植林されたばかりで西側180度が大展望。北側も良く望める。何と言っても蕎麦粒山がすばらしい山容を見せる。揖斐の山々を濃尾平野最前線から眺めている。グレーの山並がすばらしい。ここでも山の同定。

 西風が強く、寒い中、プレートの前で記念写真を撮った。少し戻った伐採地の片隅の風のない場所でランチにする。まずはカッペさん持参のイワシと我々の豚トロの網焼き、Hさんの練り物を酒のつまみに、ビールと日本酒で乾杯。定番の山頂居酒屋メニューはおでん、カレーうどんと続く。アウトドアはバーボンがいい。水で割ったり、ホットにしたり・・・誰も登ってこない山頂の日溜まりで、酒を飲みながら山男の皆さんと山談義は尽きない。コーヒーにドーナツで締めくくって、いつものようにアッという間の2時間が過ぎた。来月には恒例の忘年会が開催される。今回はそのリハーサル。この調子だと今年の忘年会も盛り上がりそうだ。

 さて、帰路は途中からR鉄塔経由で下る。看板のある林道まで戻ると車は無かった。ここから歩いてきた林道を戻る。晩秋の低い太陽の日差しを正面から浴びて輝く枯葉を踏んで歩く。透き通るような紅葉や黄金色に輝くススキが美しい。5つの長い影を落としてカサカサと歩く林道は寂しを感じた。「御嶽が見える!」 行きには見えなかった御嶽山が白い頭を見せてくれた。美しい光景に見とれて、小島山山頂への分岐点も気がつかなかった。

 放置されている廃車を見てすぐに林道終点。ここから山道を下る。この辺りもシロモジの紅葉が美しい。すぐにL86鉄塔への分岐があるが、R83方向へ直進して下る。天然林の中、痩せ尾根の道をゆるやかに下って、林道終点から10分ほどで切り開きに出る。正面にR83鉄塔、左手には高賀山や船伏山など美濃の山々が連なる。

 R83鉄塔を通過し掘割や尾根を歩く。天然林やヒノキ林が入り混じる。鉄塔から5分ほど下るとR82・83のプレートがあり、道がクロスしている。左に下ってみるが怪しくなってきたので交差点まで戻って直進する。このクロスの道から外れたところに三角点があった。568.8mの三角点のようだ。

 ここから5分ほどで右手100mほど先にあるR82鉄塔への分岐を通過。あいかわらず美しいシロモジ林の落ち葉の道を下る。この辺りから急坂となる。再び切り開きから大きな池田山を前に、200mほど先のR81鉄塔を見る。R81鉄塔で10分ほどタバコ休憩。今回の喫煙者は2名。「こんな空気のおいしいところでなぜタバコを吸うの?」「空気がおいしいからタバコがうまいんですよ。」 妙に納得するKさんの回答だった。

 R81鉄塔のすぐ下で再び切り開き。下降して池田山へと向かう電線の曲線が大迫力で迫る。この切り開きでいくつかの蟻地獄を見つけた。通常、神社の境内や岩の陰ですり鉢を作るのだが、こんな露地で見たのは初めて。ここからヒノキ林に入り、痩せ尾根を歩く頃、谷川の音が聞こえてきた。

 いきなり未舗装の林道に飛び出した。樹間から下方に重機を見ながら、廃車のダンプの脇を通って赤いゲートと小屋のある広場へ。今回駐車したところからここまでは舗装道路が続いているので、R鉄塔コースを登るならここまで車を上げることはできそうだ。ここを直進して5分ほどで「不動明王本院・熊野神社・日向滝」の表示と神社への階段があったので、滝を見に行くことに。

 神社には合体した2本の木の根で作られた白蛇が祀ってある。その裏へ少し歩くと斜めに落ちる大きな滝があった。なかなかの滝であるが、こんな所に滝があることを知る人は少ないであろう。神社から滝谷に沿って5分ほど舗装道路を歩き、車を止めた滝谷橋に出た。小島山、ムネ山の周遊完了。「お疲れ様でした。」

 同行いただいた3人のおかげでムネ山も登ることができて感謝。思った以上に天然林が多く、シロモジの紅葉の時期にピッタリ当たり充実の山歩きができた。ヒルが出る前の新緑の時期もいいだろうし、雪の時期も楽しめそうだ。これからは、この山を見るたびに今回の山旅を思い出すことだろう。

 山のリストへ