乗鞍岳の写真

乗鞍岳 (3026m 丹生川村)2002.6.22 曇り・小雨 3名

畳平駐車場(11:05)→肩の小屋(11:40-11:50)→剣ヶ峰(12:35-13:31)→肩の小屋(14:00)→富士見岳(14:25)→畳平駐車場(14:40)

 来年からマイカー規制が行なわれる乗鞍スカイラインを、マイカーで登り納めにするため、金曜日の夜8時半頃に自宅を出発し、せせらぎ街道経由で平湯をめざす。今回は、観光地のハイキングでもあり、下の娘が同行。8年前に、平湯でキャンプをした時に登って以来の乗鞍。当時、小学生であった下の娘は剣ヶ峰まで登ったが、その時にブロッケン現象を見たことを今でもよく覚えているらしい。このメンバーでの登山は水道山以来。

 昨年、焼岳に登った時に前夜泊した、安房トンネル入り口の大駐車場に夜中の11時頃に着く。夏休みには超満車になる駐車場も、今日はガラガラ。先着泊組の車は1台のみ。きれいなトイレの近くに止めて車内泊。朝5時起床。雲はあるが青空も見える。天気はいい・・・しかし、1時間後に想像を絶する天候が待ち受けているとは・・・。

 朝陽が差す旧道を平湯峠めざして車を走らせる。料金所で「山頂はガスですよ」と言われた。飛騨の天気予報は、昼までには一部で降っている雨も上がるとの予報。2200mあたりからガスの中へ。坂が緩やかになる山頂手前は濃いガスと強風で車が揺れる。視界が全くきかないので、慎重にハンドルを握る。ガスでどこに駐車場があるのか分からないほど。

 畳平のバスターミナル前の駐車場に車を止める。強風と小雨で車外に出られるような状況ではない。駐車場にはかなりの車が止まっているが、足止め状態。天気予報どおりすぐに晴れるだろうと、車内で寝なおす。車が揺れるほどの強風で、8時になっても良くなる兆しはみられない。雨も強くなるばかり。帰り始める車もある。

 時間は十分ある。ジャケットで防寒し、建物の隅で雑炊を作ってあたたかい朝食を準備する。ガソリンコンロの火が消えるほどの強風が吹く。朝食をすませる頃にはバスターミナルも開き、売店で熱いコーヒーとだんごを味わう。窓の外は真っ白で一向に晴れる気配はない。ツアーの添乗員も「10時半まで待機」と晴れるのを待っている。

 この様子では天候回復の見込みはないと判断し、悪天候の中を登ることに決める。雨と防寒対策を完璧にした。山頂での自炊は難しいので、売店でパンを購入し、簡単な昼食にメニュー変更。
 
 バスターミナル脇から花畑に下る。雨はやんだが、相変わらずガスと強風で雨具に水滴が着く。まだ、豊富な雪が残っており、花畑にはなっていないようだ。とにかくガスで周りの状況が分からない。不消ヶ池からの流れを右に、岩の道を登り未舗装の車道へ出る。左にある富士見岳を回り込んでコロナ観測所への分岐点を過ぎ、肩の小屋をめざす。

 左の深い谷には大きな雪渓が見える。右には数メートルの巨大な雪の壁が迫る。平坦な歩きで、すぐに肩の小屋。肩の小屋は営業していない。宇宙線研究所へ行く道へ入ったところにあるトイレに寄る。ハイマツの中にキバナシャクナゲが満開である。この天候でも数パーティーの登山者が登ってくる。

 ここから剣ヶ峰めざして本格的な山道の登りに入る。石のごろごろした掘り割りの道を左方向に登る。途中、巨大な雪渓を横切る。ゆるんだ雪の上を先人の足跡を踏みながら進む。まるでゲレンデの上を歩いているようだ。雪渓を過ぎ、岩場を登り詰めると、蚕玉岳に続く稜線に出る。ものすごい強風が右から吹き付ける。ガスが弧を描いて稜線を越えていく。風の当たる右の耳たぶが冷たく感覚がなくなるほど。

 すぐに蚕玉岳の山頂。少し下って剣ヶ峰の登りにかかる。左に頂上小屋があるが、ここも営業していない。前方にぼんやりと剣ヶ峰の山容が確認できる。強風の中、すぐに大きな社にたどり着いて山頂である。風をよけるために社の後ろに回り込む。

 ほとんどのパーティーが山頂に着いて数分で下山していく中、パンと熱いコーヒーを楽しむ。社の板壁を背にしているので風がほとんどない。少し頭上が明るくなるが、あいかわらずガスで展望はきかない。1時間のコーヒータイムの後、強風の山頂で記念写真を撮って下山。雪渓を下る頃には、頭上の雲が切れ青空が見えたが、ガスと強風はやむことはなかった。

 富士見岳の分岐点には、富士見岳山頂まで10分と表示があったので登ることに。ここがまた強風。所々にコケモモの花が咲く道を登り、山頂へ。記念写真を撮って、下りは更に直進して長野県方面へのスカイラインに出てから、ガスで見えない鶴ヶ池を巻く広い道路を歩いて駐車場へ戻った。

 スカイラインの下り途中でガスが切れ、料金所上の展望台はガスもなく穏やかな天候。展望台からは平湯方面の下界が望めた。穂高方面の2000m以上は線を引いたように雲が覆っている。どこの山も山頂付近は大荒れのようだ。

 不安定な気圧配置で、最悪の山歩きとなったが、こういう体験もそうできるものではない。平湯峠から再び平湯に下り、お気に入りの神の湯に浸かった。大きな広葉樹に囲まれた露天風呂は混雑もなく、山から流れ落ちる湯を浴びながら、今年の夏山の帰りにもこの湯に寄ろうと決めた。

 帰路、久しぶりに高山へ寄ってみた。頭上は青空。今、乗鞍山頂は大荒れの天候であることなどとうてい想像はできない。高山の別院近くでおいしい高山ラーメンを食べて、大勢の観光客で賑わう三之町の古い町並みを後にした。
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