トレースマップはカシミール3Dで作成
*この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用しています。(承認番号 平25情使、第146号) 
*誤動作あり


尾城山 (1133m 白川町) 2013.5.26 晴れ 2人

白川町登山口(10:06)→休息所・ベンチ(10:28-10:34)→佐見川源流(10:52)→尾城山山頂(11:02-11:08)→加子母登山口(11:28-11:31)→尾城山山頂(11:50-12:48)→東白川登山口(13:07)→尾城山山頂(13:30)→白川町登山口(14:09)

★5月26日に白川町、東白川村、中津川市の接点にある尾城山に登ってきました。
★各市町村から山頂に至るコースがあり、まずは白川町有本の林道奥にある登山口をスタート。
★佐見川の流れに沿って人工林を登り、源流を通過。
★素晴らしい新緑のトンネルを抜けて、1時間ほどの登りで広い尾城山山頂に到着。
★山頂から美しいササの道を下り、中津川市の加子母登山口を確認しました。
★再び山頂に戻って、御嶽山や高時山などを眺めながら木陰でゆっくりと昼食。
★昼食後、今度は東白川村の登山口まで下ってピストンし、3コース全てを歩きました。
★可憐なタニギキョウやチゴユリの花を見ながら、新緑の春山を楽しんできました。
★東白川小学校全校登山の6山のうち、今回で3つ目の山を登頂しました。


 世界的に有名なヴァイオリニストの故田中千香士氏の遺志を継いで、毎年春に中津川市加子母にある県指定重要有形民俗文化財である歌舞伎小屋「かしも明治座」において明治座クラシックコンサートが開催される。第16回目となる今年も、このコンサートを聴きに出かけた。コンサートマスターはヴァイオリニスト・白井圭氏。築120年の木造の芝居小屋で聴くモーツァルトやメンデルスゾーンなどのクラシックは一味違った魅力がある。

 コンサートの余韻に浸って芝居小屋を出ると、まだ明るい。マジックアワーの田園の坂を下りながら、ふと目を上げると、正面に美しい三角形の山がモノトーンの世界にゆったりと佇んでいる。いい山だ。尾城山である。そう、次の山行はこの山にしよう・・・。

 尾城山の山頂は白川町、東白川村、中津川市の3市町村が接する地点にある。登山口は、それぞれの市町村にあり、東白川小学校が全校登山を行う6山のうちの1つでもある。一番長い白川町のコースでも登山口から山頂まで1時間ほどで登れる。今回はこの白川コースで登ることにした。

 コンサートの1週間後、再び白川町を目指す。国道41号線の白川口で右折して白川街道を東進。東白川村に入り、白川茶屋で定番のヨモギ蒸しパンを購入。東白川村役場を通過してすぐに県道256号線に入り山道を登って桜峠を越える。下っていくと上佐見の集落で突き当たりとなり、ここを右に折れる。有本集落を過ぎて山に入ると道は未舗装の林道となる。未舗装ではあるが普通車でも問題はない。別荘群を抜けて左回りのヘアピンカーブのところに登山口の看板があった。路肩に駐車スペースがあり、2・3台駐車可能。

 靴を履き替えて、案内図をチェック。尾城山の由来が書いてある。尾城山は加子母と付知の間にある塞の神峠を見下ろす位置にあって、飛騨を領した三木勢の隠し砦として、この塞の神峠を越えて攻め入る苗木の軍勢の行動をこの山頂でのろしを上げて舞台峠にあった威徳寺城へ知らせたとのこと。尾城とは尾根にあった城という意味らしい。

 看板を後に人工林の山道に入る。ササ付きの杉林の中、よく踏まれた窪んだ道を歩く。チゴユリの咲き遅れた花が1つ2つ見られる。右に小さな谷川が現れ、谷に沿って歩く。落葉した杉の枯れ葉の上に小さなタニギキョウの花が咲いている。この先、タニギキョウが随所に見られた。苦しい樹林帯歩きで元気付けてくれる、大好きな花だ。
 
 10分ほど歩いたところで谷に架かった木道を渡る。左山で歩き、大岩も見られる。再び谷を渡り、石のごろごろした道を登ると、石畳のようなところで小さな流れを跨ぐ。休息所と書かれた標示があり、朽ちた丸木ベンチが2つある。ここで小休止して、パンを食べて喉を潤す。
 
 ベンチを後に登っていくと、源流に近づき、石が多くなる。「やまももの木」の標示を通過し、左に谷を見ながら登ると、前方が明るくなりシダの群落地に出た。獣害防護ネットと思われる古い網を右に見る。チャルメラソウやササユリも見られる。ササユリの花の時期に歩きたい道である。再び杉林に入り、結構急な落ち葉の斜面を一直線に登る。再び天然林となり、「うりの木」の標示を通過。石畳のような道を登り詰めると、左の谷は窪地のようになり、「佐見川源流」の標示があった。
 
 緑の美しいササの中の天然林に踏み込む。この天然林の緑が最高に美しい。これほど美しい新緑の空間はなかなか出会えない。折り返しながら緑の空間を登っていく。この辺りはシラカバの林であり、この柔らかい緑はシラカバが作り出しているようだ。5分ほどで緑のトンネルを抜けると尾根に出た。右には尾城山まで5分の標示。反対側に下る道もあり、見下ろすとすぐ下に林道が見えた。
  
 右折して人工林と天然林の境を上っていくと、思わず足が止まった。目の前にヘビがどくろを巻いている。マムシである。気がつかなければ踏んでいたかもしれないと思うとゾッとした。驚かせないようにゆっくりと道の端を歩き、帰りに踏まないように枯れ木を立てて目印にした。人工林を抜けると、ササ原の丘陵地となり、前方に東屋が望めた。

 すぐに山頂に到着。広い山頂にはたくさんの木のベンチや山名標示板、三角点、展望写真、記念樹などが賑やかで、中でも山名の書かれた立派な大理石が設置されており、裏には平成16年当時の3町村がこの山頂で尾城山サミットを開催すると書いてある。さらに、東白川村・白川町は美濃加茂市と合併予定とあるが、まだ実現していない。石碑の周りには東白川小学校の全校登山で小学生が持ってきた名前の書かれた石がたくさん置いてあった。とんでもなく大きな石もあり、よくここまで持ってきたものだと関心。登山年月日は平成25年4月27日となっており、ちょうど今年の全校登山の山が尾城山であり、1ヶ月前に子どもたちが登ってきたようだ。登ってきたコースは東白川登山口からである。

 山頂は東西が開けており、東側には小秀山の向こうに御嶽山の山頂が見え、雪が輝いている。小秀山の手前は唐塩山、その南には高時山が美しいピラミッドを作っている。西には佐見の集落や高天良山が望めたが、写真にある伊吹山は霞みで見えなかった。

 東屋の前から南へ道があったので、これが東白川登山口に下る道だと思い、下ってみることにした。人工林に入るところで右に林道が上がってきており、ここまで軽トラックでも登ってこれそうだ。左には御嶽展望地とあったが、ヒノキが大きくなっており、かろうじて御嶽山が見えた。しかし、ここよりも山頂からのほうがよく見える。
 
 人工林の中、ササ尾根の道を下っていく。気持ちのいい道であり、右下には林道が見える。ササはよく刈り取られていた。ゆるやかな左回りで下っていくと20分ほどで広い林道に飛び出した。東白川村のHPから入手した全校登山用の絵地図を見ながら下ってきたが、どうも様子がおかしい。途中にシダの群落があると書いてあるが、見当たらなかった。地図を見ながら引き返したが、やはり東白川の道ではない・・・GPSで確認すると加子母への道であることがわかった。
 
 山頂まで戻って、よく見回すと西側の看板の横から立派な道が下っていた。この西側への道が東白川登山口への道に間違いないようだ。すでに正午を過ぎているので、東白川コースは昼食の後に歩くことにして、東屋の南の木陰で御嶽山を見ながら昼食にした。メニューは冷やしそば。白川茶屋で調達したヨモギ蒸しパンをコーヒーといっしょに食べた。いつ食べても美味しい蒸しパンである。
 
 昼食の後、東白川コースを下った。加子母コースとは異なり、ブルドーザーで造成した軽トラックが通れるほどの作業道であり、法面からの落石も見られる。右回りで下っていくと、左手の人工林の中にオシダの群落があった。これが絵地図に書かれたシダ群生地のようだ。タニギキョウもたくさん見られた。
 
 オシダの写真を撮ってさらに下っていくと分岐点に出た。下りてきた方向に青い矢印がある。全校登山のための標識である。右折して折り返すように下っていく。まだ登山口の林道が見えない。山頂からかなりの標高差を下ったことから、この後の登りがきつそうだ。一直線に下っていくとようやく林道が見えてきた。そして広い未舗装の林道に出た。登山口には広い駐車スペースがあり、全校登山のときの駐車場になるようだ。これで東白川登山口を確認できた。
 
 すぐに登ってきた道を引き返した。登るのに30分以上かかると思ったが、意外とあっけなく20分ちょっとで登れた。山頂で、御嶽山に別れを告げて、白川登山口を目指して登ってきた道を下った。マムシはもういなかった。40分ほどで駐車地点に戻った。
 
 一番長い白川コースでも1時間で登れる山で人工林がほとんどであるが、山頂は広いササ原で、一角には美しいシラカバの天然林もある。そして東西の展望もすばらしい。御嶽山の見え方も面白い。この山だけでは物足りないので、2山組み合わせて登るのがいいかも。
★尾城山からの展望・植物

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