トレースマップはカシミール3Dで作成
*トレースの一部に誤動作あり。
*この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用しています。(承認番号 平23情使、第517号) 


大船山 (1159m 恵那市) 2012.3.25 雪 2人

プール下駐車場(9:05)→JA・登山口(9:10)→石仏(9:41)→発電施設・展望地(10:13)→林道から山道へ(10:20)→林道通過(10:24)→蝮岩(10:47)→林道横断(10:58)→大船神社(11:07-11:14)→大船山山頂(11:39-11:49)→大船神社(12:07-13:22)→発電施設・展望地(13:52)→登山口(14:42)→駐車場(14:47)

★3月25日に恵那市の大船山に登ってきました。
★上矢作町の中心街から松並木の遊歩道に入り、なだらかな尾根を東へ。
★歩き始めから想定外の雪。粉雪やあられが本格的に降る中、傘を差して登りました。
★見る見るうちに周囲は白銀の世界となり、マツやサクラの大木が雪化粧。その美しさに感動。
★林道を横断して、大船神社を通過。深まる雪を踏んで、大船山山頂へ。
★雪の天然林の静かな山頂で三角点を確認。
★引き返して、大船神社で弁慶杉を見学後、氷点下2度の吹雪の中、神社の社務所の軒下で温かいランチ。
★ときどき日が差すものの、下山するまで雪降りでした。
★この時期にこの山で、雪山を体験できるとは・・・。思い出に残る山歩きとなりました。
★下山後、「福寿の里」で福寿草を楽しんできました。

 3月半ば、午後の僅かな空き時間を見つけて、二人で久しぶりに近くの洞山にお茶を飲みに出かけた。洞山山頂で金華山を眺めながらコーヒーを楽しんでいると、登山者が通過していく。マイナーな山であるが、登ってくる人はある。2名の男性が金華山方向から洞山山頂へ到着。どこから登ってみえたのか訪ねると、尾崎三峰山から舟伏山、金華山を経て洞山に来たとのこと。そのコースなら金華山サークルトレイルと題して、我々も登っていると答えると、男性は「もしかして、ホームページの・・・」と、ウチのHPのコピーを出された。我々もびっくりしたが、男性二人もレポートの作者に偶然出会ったことに驚かれた。各務原の方で、我々のHPも参考にしながら、かなりの頻度で山行に出かけているとのこと。しばし山談義。二人を見送って、次の休みに登る山は、しっかり歩ける山にしようと決めた。できれば雪山を歩こう。

 ところが、休日は春の寒波で冬型の気圧配置。北は雪。雪山はあきらめ、できるだけ南の山を探して、恵那市南部の県境に近い大船山を選んだ。ここなら雪が降る心配は無い・・・と思ったのだが・・・。

 中央自動車道を東進。瑞浪市を通過するところで南に見える屏風山の山頂付近が白く見える。昨夜、山では雪が降ったようだ。この状況だと標高1000mを越える大船山は雪が積もっているにちがいない。恵那ICで下りて、国道257号線を南下。岩村を通過し、新木の実トンネルにさしかかる頃、周囲は一面銀世界となった。雪の降ることは少ないこの地域であるが、この雪はちょっと想定外。トイレは道の駅「上矢作ラ・フォーレ福寿の里」を利用するといい。

 道の駅を通過し、左の国道416号線へ入る。橋を渡って上矢作の町並みに入るとすぐに左側にJAの建物がある。ここが登山口となるが、駐車場はさらに200mほど東に走って郵便局を過ぎたところから右折。小学校手前の室内プールの南側に大きな駐車場があるのでここに駐車。2台ほど車が停まっていた。

 靴を履き替えていると、灰色の空から雪が落ちてきた。このとき、時々雪がチラつくくらいだろうと思っていたが、この後、予想は大きく外れることになる。雪が降っていることから、長袖Tシャツの上にジャケットを着て、傘をストックに、駐車場を出て町並みを戻るようにJAを目指す。JAの建物の横からコンクリートの階段を登って、稲荷神社の鳥居を潜る。鳥居の前には「大船神社参道の松並木登り口 神社まで約4.5km」の標示がある。

 「熊が出ます!」の標示板を横目で見て、神社の赤いのぼりが立つ杉林を歩き、折り返してすぐに城山稲荷の分岐点を通過。ここは右の大船神社方向に歩く。今度は「頭上注意!!松の枯れ枝が落ちる恐れがあります」の標示を見て左山で歩く。雪は降っているが、頭上に木があり傘なしでも気にはならない。
 
 竹薮を通過。タケノコの皮が散乱している。まだタケノコが出る時期ではない。イノシシが土の中から掘り起こしたようだ。杉林を抜け、大木の桜並木を通過。左に鉄塔、その先の人工林の中で右に下る鉄塔巡視路を見る。さらに歩くと松の大木が現れる。この辺りから松並木が始まる。倒木した松もいくつか見られ、マツクイムシによる仕業のようだ。松の幹にはマツクイムシ防除のために打ち込まれた薬剤の本数が記入されている。
 
 粉雪がサクラや松の木々の上部を白く染めていく。地面に雪はなく、上半分が白い不思議な空間が出来上がっている。粉砂糖を振りかけたように、木の枝の上部が白いのも面白い。道は参道であり、よく踏まれ掘り割れのところもある。すばらしい松並木が続く。登山口から30分ほど歩くと、左手の高い位置に石仏が現れ、大船神社まで約2.5km地点の「ほうでん辻」を通過。

 粉雪が本格的に降り始め、地面や参道周囲のササが白くなり始めた。傘を差す。並木が途切れるところでは、雪が激しく参道に降り注ぎ、前方は白く霞んでいる。粉雪は時折あられに変わり、音を立てて傘に当たる。蛇行する道は、見る見るうちに雪が積もり、雪が靴の裏にへばり付いて歩きにくい。気温は0度。傘やザックの上に積もった雪は溶けて濡れることはないが、あまりも激しい降りなので、木の下で雪を避けながらザックカバーを付けた。菓子パンを食べ、喉を潤す。

 登山口からちょうど1時間歩いたところで、階段が現れ、階段を登ると広場に出た。発電施設のある場所で、広場からは南側が展望地となっているが、この雪で展望は全く無い。水路の石垣に沿って、林道を歩く。今度は左側が開けているが、ここもホワイトアウト。猛烈な風で雪が下から林道に向かって吹き上がってくる。右側のフェンスの中は水路となっていた。

 発電施設を後に林道を時計回りに歩くと左に山道が分岐しており、標示は何も無いが明瞭な踏み跡があったのでこの道を登る。道はすぐ平らになり、右に30体ほどの雪をかぶった石仏が並んでいた。倒れているものもある。笠地蔵の話を思い出しながら、手を合わせて先に歩くと、眼下に林道があり、再び林道に下りた。先ほどの林道を歩けばよかったようだ。
 
 右に歩くと林道が三叉路となっており、さらに参道が左に延びている。入口には「松並木→」の標示。真っ白な路面を踏んで、降り続く雪の中、再び松並木を歩く。地面に落ちた松葉に雪が薄く積もって不思議な幾何学模様を作っている。靴裏にへばりつく雪が団子になり二・三歩ではがれる。実に歩きにくい。美しい雪景色を見ながら緩やかな傾斜の道を歩く。根が浮き上がった松の大木や片側だけに枝を伸ばした松など、歴史を感じさせる松並木は雪に彩られて実に美しい。この美しい景色を作り出してくれた雪に感謝。
 
 左山となり、うねった道を歩くと「蝮岩」の標示があり、直方体の岩が横たわっている。ここから折り返すように登って広い水平の道となり、この先で舗装道路に出た。車で大船神社直下まで登ってこられるようだ。道路の脇に並ぶ石仏の右から階段を登って人工林に入る。階段を登り真っ白なササ付きの人工林を10分ほど歩くと、階段が現れ大船神社の石柱があった。
 
 人の話し声が聞こえてきた。雪の積もった階段を登り、木製の鳥居を潜ると、灯篭やいくつかの大きな建物、軽トラなどがあり、びっくり。簡易トイレもある。正面にある建物が神社本殿であり、鳥居の近くにある二つの建物は社務所と思われた。社務所の近くで焚き火を囲んで何人かの男性が話をしてみえた。挨拶して本殿に向かう。

 本殿でお賽銭を投げ、参拝していると、礼服の男性がみえたので挨拶。今日はお祭りがあり、今終わったところだと言われた。確かに、本殿前の注連縄が新しいものになっている。男性から本殿の後ろにある建物の中を見ていくように言われた。すばらしい彫刻があるとのこと。男性は神社総代の代表者の方で、いろいろと教えてもらった。奥の建物の前で、電気をつけて、格子の間から中を覗くと天井付近の柱には狛犬や龍など見事な彫刻があり、彫刻の解説板も設置されている。お礼を言って、本殿の裏から再び山道に入り、大船山山頂を目指す。本殿の左には弁慶杉があるが、後で見学することにする。

 スギの大木の間を縫い、小さな神社の脇を通過。すぐに左山となり、狭いトラバース道となる。神社までの道よりかなり細い道となった。滑り落ちないようにトラバースして、折り返しながら登る。ますます雪は深くなった。右に人工林、左に天然林の一直線の道を登っていくと、足元に山頂まで100mの木札があった。靴裏に雪のダンゴを作りながら登りきって山頂に到着。

 数センチの雪が積もった山頂は木々に囲まれ、北側が僅かに開いて手前の山が見えた。雪を傘の先で除けて三角点を確認。小さな山名標示板の前で写真を撮った。山頂の隅には壊れた建物の残骸が雪に埋もれている。静かな雪の山頂を歩き回って写真を撮った。雪が降るので、昼食は神社でとることにして、登ってきた道を戻った。

 神社に戻ると地元の人は帰られた後で、誰もいない。昼食の前に弁慶杉を見に行く。大きな案内看板が本堂の左にあり、前方にはごつごつした幹の弁慶杉が見える。雪の道を緩やかに下って木道を渡り弁慶杉の前に立った。クサリの柵に囲まれた巨大な幹の根元には新しい注連縄が巻かれており、粉雪が大木を化粧して、それは見事な風格をした古木である。案内版によると、樹高40m、樹齢約2500年、目通り周囲は13.6mある。

 弁慶杉は、良弁の弟子の弁慶が植えたという説の他に、文治の頃、源義経主従が大船山に登山し本尊に祈願した時に、弁慶は一文の願書を納め、杉の小枝を折って地にさし、この枝が繁茂して今の弁慶杉となった、という説があるそうだ。水場があり、その屋根が倒れていた。
 
 境内に戻って昼食の場所を探す。雪が激しく降り始め、強い北風に乗って横殴りの吹雪となった。社務所の南の軒下の壁に張り付いて昼食の準備。粉雪は渦巻く風で軒下まで飛んでくるが、この建物がなければ昼食どころではない。メニューはおでんと卵雑炊と缶詰。こんな状況で昼食をとるのもたまには面白い。熱いコーヒーを飲んでいると、男女のカップルが階段を登って境内にやって来た。登山者ではなく、車で来た参拝者だった。車道には雪がなく、この天気でも車で上がってこられるようだ。
 
 1時間ほど昼食を楽しんで、登ってきた道を引き返した。発電施設手前は石仏群のある山道を歩かず林道を歩き、途中から山道に入って林道と平行して発電施設に向かった。水路のフェンスに突き当たって林道に合流。雪は小康状態となり、北の山が見えるようになっていた。展望地からも流れるガスの切れ間から上矢作の田園や上村川が見下ろせた。
 
 発電施設を後に、地面の雪がかなり消えた松並木を下る。途中、いくつもツチグリを見つけた。昨年の秋に発生した地上に落ちた星で、風に飛ばされて壊れかけている。登山口に戻るころ日が差し始めたが、駐車場から見上げる大船山は雪雲に埋もれていた。

 大船山は古くからの参道を歩くことから、道はしっかりしており、急傾斜の場所は少ない。展望地や大船神社、弁慶杉など見所も多い。神社近くまで車で行けるが、登山口から歩けばすばらしい松並木が体験できる。今回は、終始雪降りの山歩きであったが、美しい雪景色を楽しむことができた。四季を通じて登りたい山である。

 帰路、大平地区の福寿草を見に行く。大平地区はちょうど大船山山頂の南辺りにある集落で、田園に福寿草が自生している。訪れる人も多く、見学するには協力費一人300円。「ふくちゃん」のマスコットとチラシをもらって駐車場に車を停め、田園の畦に咲く福寿草を見学。花の最盛期ではあったが、雪がチラつく天気で、開いている花は僅か。それでも久しぶりに出会う福寿草の写真を撮った。天気のいい日にまた訪れたい名勝地である。

 山のリストへ