トレースマップはカシミール3Dで作成
*この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用しています。(承認番号 平22業使、第490号) 

小佐波御前山 (754m 富山県) 2011.5.5 曇り 2人

猿倉山スキー場上部駐車場(8:33)→猿倉山山頂・風の城(8:49)→東屋(8:52-8:57)→鉄塔(9:08)→55番鉄塔(9:35)→御前山分岐点(9:38)→御前山山頂(9:41-9:54)→車道終点(10:10)→獅子ヶ鼻(10:15-10:22)→小佐波御前山山頂・周辺散策(10:55-12:17)→御前山分岐点(12:50)→55番鉄塔(12:53)→鉄塔(13:15)→猿倉山迂回路入口(13:25)→猿倉山スキー場上部駐車場(13:35)

 連休の中日、富山での私用を済ませ、帰路、小佐波御前山に登ることにした。国道41号線を岐阜県から富山県に入り富山平野に向かって下っていくと、神通川の東側に連なる山が見える。この山の稜線は猿倉山スキー場の猿倉山から南に御前山、小佐波御前山と連なっており、中部北陸自然歩道が整備されている。この自然歩道は大沢野町笹津から大山町東福沢までの「小佐波御前山と風の城を訪ねる道」13.5kmのロングコースである。また、小佐波御前山山頂付近まで舗装された車道が整備されており、車を利用すれば簡単に山頂に立つことができる。なお、この響きのいい小佐波(おざなみ)という名前は、立山に比べて幼い子供の如き山の意味から「幼み山」が「小佐波山」に転じたといわれている。

 早朝、富山市街地から猿倉山スキー場を目指す。JR高山本線笹津駅付近の国道41号線から東に曲がり、猿倉山スキー場の案内に従って車を進める。猿倉山スキー場のゲレンデを右に見ながら急な坂を上り、最上部の駐車場に車を停めた。猿倉山森林公園の駐車場であり、周囲には芝生広場やレストラン、バーベキューハウス、トイレなどがある。車が1台停まっていた。

 靴を履き替え、まずは芝生広場を横断して山へ続く階段を登る。すぐに「ふるさと歩道入口」の標示があり、山道が右へ分岐している。小佐波御前山まで3.8kmの標示がある。ネット情報では階段を上がることになっているが、標示に従ってこの道に入ってみた。タチツボスミレやヒメオドリコソウ、セントウソウ、コウライテンナンショウなど草花が道を飾る。少し歩くと下り始めたので、道が間違っているのではと思い、引き返して階段を登ることにした。しかし、この後、この道が猿倉山山頂を迂回する遊歩道であることが分かる。
 
 いきなりの長い階段に息が切れる。振り向けば駐車場の向こうに神通川第三ダムの水面が輝いている。曇り空で富山市街地は白く霞んで遠望はきかないが、水の張られた水田に浮かぶ散居村が美しい。階段の左側にはカタククリの葉がたくさん見られた。花は終わっていたが、一輪だけ咲いている花を見つけた。ここでカタクリの花に出会えるとは思ってもいなかったのでうれしい。
 
 階段を登りきると猿倉山山頂であり、銀色の未来的な建物「風の城」に突き当たった。近くには猿倉城跡の石碑と三角点がある。ここから西側にはまだ雪が残る山々が望めた。「風の城」の裏のトイレの前から舗装道路を下っていく。満開のヤマザクラと東屋があり、その手前に右へ山道が分岐している。先ほど間違えたと思った歩道はここにつながっており、猿倉山の迂回路となる。東屋の先に展望ベンチがあり、踏み込んでみるとチゴユリと日本海側で見られるキバナイカリソウの出迎えを受けた。そしてベンチからは神通川から駆け上がる萌黄色の山が南へと連なる。これから歩く美しい稜線だ。

 東屋から左に折れて舗装道路を下り、案内に従って山道に入る。よく踏まれた広い遊歩道は小ピークを越え、左方向へ向きを変える。カタクリやキブシ、フッキソウなどの花が見られた。さらにスミレサイシンの大きな花が路肩を埋める。この山にある植物についてテーマ別に紹介された案内板が設置されており、多様な植物が自生していることが分かる。ツバキの花もたくさん見られ、日本海側に見られるユキツバキのようだ。

 後方からやってきた3人の若者に道を譲り、新緑の美しい遊歩道を歩く。道の両脇にはカタクリの葉がたくさんあり、花の時期には美しい道となるに違いない。満開のクロモジの花を見ながら歩くと鉄塔の下を通過。鉄塔巡視路の標示がなく、鉄塔番号が分からない。急緩繰り返しながら登っていく。この辺りにもキバナイカリソウが多い。ミツバツツジに出会ったがユキグニミツバツツジのようだ。

 左側がスギの人工林となり、林床にはミヤマカタバミがたくさんの花をつけているが、曇り空の下でほとんどが花を閉じている。右に分岐する鉄塔巡視路を見て、階段のある急登をこなす。丸木階段にはたくさんのスミレが咲いている。まるで蝶が止まっているような尾の長いナガハシスミレという日本海側に見られるスミレである。左の谷には残雪が白く光っている。

 明るい場所に出ると、左に鉄塔があった。鉄塔先端に55番の表示がある。道は左に弧を描くように上がって舗装道路に出た。コンクリート造りのトイレがあり、形のいいアカマツも見られる。右へ登っていくと鉄塔の立つ大きな広場に出た。落書きだらけの休息所と朽ちた遊具もある。ここが御前山である。西から北への展望がすばらしい。眼下の神通川沿いには温泉施設の楽今日館や第二ダムが見下ろせた。ここまで車でやってくる人もある。地図で小佐波御前山へのルートを確認すると、トイレのあるところから車道を行くようだ。

 登ってきた道を戻って車道を下る。マンサクが満開で、この山の春は遅い。車道はすぐに突き当たり三叉路となる。ここは右へ。雪の残る道を時計と反対周りで歩いていくと顕彰碑のある交差点に出る。ここを右へ登っていくと車道の終点で駐車場となっている。折り返すようにササに囲まれた山道を歩くとすぐに獅子ヶ鼻岩への分岐が右に現れるので寄ってみる。細くなった道を歩くと切り立った岩壁の上部に出た。萌黄色の山に突き出した礫を含む大岩が獅子の顔に見えることからこの名前が付いたようだ。滑り落ちないように右方向に下りてみると獅子の鼻が姿を現す。神通川の赤い橋が美しく、また川沿いに走る国道41号線もよく見える。国道からもこの大岩が見えるに違いない。
 
 展望を楽しんだら引き返して途中の分岐を曲がってショートカットして本道に合流し遊歩道を歩く。この辺りは美しい天然林で、まだ木の葉が出ていない。マンサクの花も見られた。なだらかな気持ちのいい道を歩くとベンチを通過。その先で右に道があったので踏み込んでみると大岩の展望地に出た。大岩へ登る道もある。こうした展望地はこの先にもあった。

 クロモジの花を見ながら雪の残る道を登っていくと、潅木地滞となり、前方に小高い山が現れた。小佐波御前山山頂があるピークのようだ。イワカガミの葉が見られたが、花芽はまだ硬い。急斜面に付けられた階段に取り付く。山頂への最後の急登に息が切れる。登り切ってよく踏まれた道をゆるやかに歩くと三角点が現れた。小佐波御前山山頂である。

 三角点の前にはねじれた木があり、ここにカメラを置いて記念写真を撮った。北の明るい草付きの広場には石造りのお社があった。ここから北側の展望がすばらしいが、霞んで日本海を見ることはできない。お社の裏にはヤマザクラとマンサクの若木がともに満開で、美しさを競っている。一気に春が来た山頂である。
 
 広場の一角で昼食にする。時折差す日差しが暖かい。メニューはラーメンと富山名産のかまぼこ。昼食の間に次々と登山者がやってきた。人気の山だ。それにしてもここで昼食をする登山者は少なく、山頂を通過していく人が多い。ネット情報によると、山頂付近に避難小屋があることを思い出した。昼食の後、山頂からさらに東へ続く道を進んでみる。
 
 美しい天然林を歩くとすぐに展望のいい記念碑のある広場に出た。ベンチが置いてありここで昼食をとる人が多い。広場から南と東へ道が伸びており、南は芦生へ下る道のようだ。ササの道を歩いていくとトイレがあった。さらに進むと展望地があり南から東の山々が望めたが、雲が多く遠望はない。
 
 広場まで戻って東の道へ入ってみるとすぐに立派な避難小屋が現れた。内部を覗いてみるとたいへんきれいな室内でトイレもある。さらに東へ歩くと林道終点となっていた。山頂まで引き返し、登ってきた道を下った。帰路、55番鉄塔に寄り、花の写真を撮りながら東屋まで下り、分岐点から左折して猿倉山をショートカットする道へ。この道には草花が多く、カキドオシやキジムシロなどがたくさん見られた。往路で道を誤ったと思った歩道を歩いて、駐車場上部に出た。駐車場は満車で大勢の家族連れがバーベキューを楽しんでみえた。靴を履き替えて、レストランの裏の展望地から登ってきた山や神通川を見ながら食べた夏みかんが美味しかった。
 
 小佐波御前山は遊歩道がよく整備され、展望地や花が多く、予想以上にいい山だった。日本海側特有の植物が多く、希少種も見られる。途中、車道を歩くところがありちょっと残念であるが、それでも天然林が多く、四季を通じて美しい自然を楽しむことができる。

 帰路、御前山から見えた日帰り温泉の楽今日館に寄った。露天風呂から今歩いてきた稜線が目の前に見える。歩いてきた山を見ながら湯につかることのできる温泉は数少なく、これもこの山の楽しみの1つである。今度はこの遊歩道を反対側から歩いてみたいと思った。
★小佐波御前山からの展望



★小佐波御前山の花


キバナイカリソウ
小佐波御前山でたくさんのキバナイカリソウに出会いました。
キバナイカリソウは薄黄色のイカリソウで、日本海側に多くみられる植物です。
落葉樹林の林床や林縁に自生する多年草。
イカリソウと同様に花は下向きで、花弁は4つ。
イカリソウの名は花の形が錨に似ているところから付けられたようです。
紫色のイカリソウにはよく出会いますが、クリーム色のこの花はまるで山の妖精が舞い降りたような美しい容姿で、出会った時には感動でした。

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