猿啄城周遊
明王山−猿啄城周遊 (367m、276m、坂祝町) 2004.5.15 晴れ 2人

猿啄城登山口駐車場(6:48)→鉄塔(7:01)→鉄塔(7:09)→284m三角点(7:14)→林道合流(7:36)→明王山(7:40-7:58)→鉄塔(8:13)→猿啄城跡(8:26-8:51)→猿啄城登山口駐車場(9:10)

 今年始めに各務原の低山である金比羅山の隣の明王山に、この山の近くにお住まいの白影さんが記帳ノートを設置された。このため、ヒカゲツツジやウワミズザクラが美しい4月に、ノート記帳を目的に明王山を訪れた。この大展望地からの眺めは、この辺りの低山の中でも一級のすばらしさである。

 東に延びる尾根の先には小さく猿啄城が見える。以前にこの尾根を城まで歩いたことはあるが、この尾根と並行して、北側にも同じような尾根が走っていることに気がついた。鉄塔も見える。地図を見ると、明王山を中心に谷を挟んで「Vの字」に尾根がある。山頂でお会いした地元の方に、この尾根を歩くことができるかを確認したところ、尾根道があり、猿啄城を下り登り返せば周遊できるそうだ。各務原の低山は直線的に並び、周遊できる所は少ない。ぜひ歩いてみたいと思っていたコースである。(HP「山遊ライトトレッキングクラブ」さんにも猿啄城から明王山経由でこの尾根を下るレポートがあり、これも参考にさせていただきました。)

 5月16日の日曜日に山行を予定していたが、天気予報は雨。15日は昼に用事があり、10時までしか空き時間がない。早起きして、この猿啄城周遊コースを一周することとした。早朝6時過ぎに家を出て、国道21号線を東進。日本ラインを右に見ながら、坂祝町に入る。「西勝山」の信号交差点のすぐ東に「勝山」交差点がある。左に猿啄城登山口を示す大きな看板がある。これを左折し、JR高山線の踏切を渡る。その先数十mに再び大きな登山口の案内表示。ここを左折して道なりに進むと道路工事中通行止めの看板。休日で工事は行われていないようだったため、直進する。

 西勝山交差点から北に延びる高架をくぐり、すぐに再び建設中のコンクリートの高架をくぐる。ここが登山口となる。右手に数台駐車可能な登山者用の駐車場と、猿啄城の大きな案内板が設置されており、50mほど先には簡易トイレが見える。猿啄城へはこのトイレのすぐ先を左に折れる。今回は、北側の尾根を先に歩くことにした。

 北側の尾根への登山口は駐車場の右手奥の高架沿いにある。黄色い鉄塔管理表示板が目印。足下にコナスビの黄色い可憐な花を見ながら、ゼブラロープのある赤土の急坂を登る。登り詰めて道はなだらかになり、尾根の左の山道を歩く。左には猿啄城や鉄塔の立つ尾根が大きい。今日、一番乗りでありクモの巣を払いながら歩く。

 15分ほど歩くと、大きく開けた鉄塔の下に出る。鉄塔からの電線が南に続き、坂祝の町並みや木曽川が大展望。誕生山や天王山も見えるが、その向こうの高賀三山はモヤの中。展望を楽しんだら先に進む。すぐに登山道の右10mくらい入ったところにある18号鉄塔を通過。道の周囲の潅木の丈は比較的低く、明るい尾根歩き。ソヨゴの小さな花が道に散りばめられており、モチツツジやガンピなどが彩りを添える。新緑の里山はいい。

 18号鉄塔から5分ほど緩やかな道を歩いて284mの三角点に着く。白いプラスチック板も設置されている。展望はない。三角点から岩のある道を下る。下り切ったら、次のピークを目指して登り返す。ツクバネウツギに似た花が見られた。帰って調べたところ、ガクが2枚であり、コツクバネウツギのようだ。

 その後、登り下りを繰り返すが、標高差は少ない。この辺りから坂祝町と関市の境界線を歩いていると思われた。花は終わっているがイワカガミの群落も見られた。前方の明王山山頂の巨大アンテナがどんどん近づいてくる。右手下界からラジオ体操の音楽が聞こえてきた。チャイムも聞こえる。工場の始業時間のようだ。

 明るい岩尾根を抜けてピークに登り詰める。ベンチがあり、振り向けば今歩いてきたアップダウンの尾根がよく見える。右の猿啄城は小さく見える。木曽川を挟んで逆光の中に鳩吹山が望める。前方のアンテナが目の前であり、明王山のすぐ近くまで来ていることが伺われた。ここから5分足らずで林道に出た。コンクリート電柱と赤い防火用水があり、この尾根の案内板には「坂祝町山道」と書かれていた。実にその通りの名前である。

 左折すれば、林道左の法面に朽ちかけた丸木の階段が付けられている。これを登り切れば、明王山に着く。丸木階段の手前から左への山道は明王山を経由しないで猿啄城に至る道である。今回は、丸木階段を登る。4月にはこの辺りのイワカガミが美しい花を咲かせる。一気に急登して明王山山頂へ。早朝であり、さすが人気の山も今日は我々2人のみ。早速、白影さんのノートに記帳。なんと、昨日の最終記帳者がkuさんであったのにはびっくり。4月に登ったときも、ノンキ君、ayameさんと同日。「クーの山小屋」メンバーの行動パターンが似ているのか・・・。

 山頂からは今、歩いてきた北側の尾根と猿啄城に続く南側の尾根がすばらしくきれいに見える。1時間以内でここまで歩いてきたとは思えない距離感。ここでコーヒーを入れようかと思ったが、時間が気になるところであり、ゴールに近い猿啄城でお茶にすることとした。ご夫婦の登山者や単独男性が到着したところで我々は山頂を後にし、猿啄城への道を下る。ダイミョウセセリが道案内。

 比較的なだらかな尾根道を多少のアップダウンを繰り返しながら下っていく。北側の尾根に比べると、こちら側は樹木の背が高く展望はない。途中の鉄塔からは、先ほど歩いてきた尾根がよく見えた。たくさんのクマンバチが陣地取りをしていたので、驚かさないようにゆっくりと鉄塔の下を抜けた。以前昼食場所とした切り開きからは、このところの雨でかなり増水した木曽川が望めた。潅木の背も高くなっているようだ。

 ここから左方向に急斜面を下る。左側の崩壊が進む崖には進入禁止のロープが張られていた。猿啄城が目の前に見える。更に鞍部まで下って、足場の悪い急坂を登り返すと猿啄城の前に出る。猿啄城は鉄骨と木造で造られた展望台であり、2階からの眺めはすばらしい。眼下に流れる木曽川を一望できる点では、対岸の鳩吹山に肩を並べる。

 時間に余裕があったため、モーニングコーヒーを入れた。早朝登山はこれが一番だ。喫茶店「猿啄城」は全てセルフサービス。新聞もテレビもないが、最高の眺望がある。ここでもクマンバチがホバリングしながら、テリトリーに侵入する蝶やアブを追い払っていた。kuさん達は今日、能郷白山の予定。通じないと思ったが、らくえぬが電話。意外にも繋がった。道の駅で偶然に出会った「女性のための登山学校」の管理人さんと一緒に登っているとのこと。これにはびっくり。ブナ林の新緑と雄大な能郷白山の山容が思い浮び、もう一度登ってみたいと思った。

 駐車場へはジグザグの急斜面を一気に下る。途中には鉄塔が2つあり、ここからの眺めもいい。高山線の列車の音が聞こえてきた。花の終わったショウジョウバカマがたくさんあるヒノキの人口林を抜け、建物の前に出た。「教会」の看板がかかっており、中にいるおばさんとあいさつ。今歩いてきた尾根から集まった水が音をたてて流れる谷川を渡り、トイレの横から林道に出た。教会に向かう地元の方から「早いね」と声をかけられた。

 駐車場に戻ると、もう1台の車が止まっていた。迫間不動からの登山者に比べれば、ここからの登る人は少ない。山道だけを歩いて周遊できるすばらしいコースである。意外に知られていないかもしれない。北側の尾根道は明瞭で危険な場所もなく間違えることはない。2時間あれば一周できる。四季を通じて楽しめるファミリーコースでもある。時間があれば、金比羅山、迫間山を加えて、「8の字」に回ってみるのもいい。ぜひお試しあれ。
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