トレースマップはカシミール3Dで作成
*この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用しています。(承認番号 平17総使、第654号) 一部誤動作あり  
高社山 (417m 多治見市) 2008.6.1 晴れ 2人

鳥居・駐車場(9:23)→高社神社分岐点(9:37)→愛宕神社分岐点(9:41)→高社神社(9:43-9:48)→北峰(9:51)→御社(9:54)→高社神社(10:03)→愛宕神社分岐点(10:04)→高社山ルート合流(10:06)→愛宕神社(10:12)→展望台・反射板(10:14-10:20)→高社山山頂(10:28-10:38)→展望台・反射板(10:46-11:55)→秋葉神社(12:14)→車道・携帯電話アンテナ(12:24)→鳥居・駐車場(12:29)

 午後から多治見市内に行く用事ができたので、これにあわせて午前中に付近の山に登ることにした。多治見市内には高い山が無く、昨年の12月に登った標高400mほどの弥勒山・道樹山が多治見市の最高峰らしい。この弥勒山から内津峠を挟んで北に高社山がある。高社山は弥勒山より20mほど低い標高417mの山である。これなら午前中に歩けそうだ。ネットで検索するとノンキ君のサイトがヒット。一般には麓の鳥居から反射板を経て高社山山頂に至るが、高社神社を経て北峰を回るコースもある。今回は、北峰と高社山を踏んで、帰路は秋葉神社経由で周回することとした。

 岐阜市内から美濃加茂市を通過して国道248号線バイパスを南下。丘陵地帯を抜けるバイパスは単調な景色が続き、高社山登山口へ至る信号交差点を見落とさないように走った。その交差点には「大針町南」の表示がある。ちょうど信号で停車して標示を確認することができた。この交差点を右折して、山の中の起伏のある2斜線の道を走る。2kmほど南に走ると道の左手に携帯電話のアンテナが現れる。登山口はこのアンテナから100mほど北にある急坂の狭い舗装道路を上った先にある。入り口を通り過ぎたのでアンテナ前で方向転換して、この急坂に入る。入り口右側に木の杭に打ち付けられた「高社山標高416.6米 登山口」の表示がある。スイカズラの花がひっそりと咲いていた。急坂を登って、薄暗い道を走ると、鳥居と2つの灯篭が立つ広場で行き止った。広場にはUターンするスペースをみて3台くらいの駐車が可能。灯篭の下には高社山の標示。花の終わったスミレが見られた。

 靴を履き替えて鳥居を潜る。雨水でえぐられた樹林帯の中の道を登る。昨日の雨で、地面が濡れており、滑らないように登っていく。周囲はすぐに緑の潅木地帯に入り、折り返しながら歩く。小さな蛾が人の気配を感じて、チラチラと飛び回る。近くに止まらないので同定ができないが、ナミシャクの一種と思われた。ネジキの花は純白のミニ提灯。地面には小さな花型のビーズを散らしたようにソヨゴの花が落ちている。道の頭上には電線が続き、所々に電柱が立つ。

 歩き始めて10分弱でサクラの木がある広場のようなところに出た。一部、展望が得られ多治見市街や北側が望めた。モチツツジの花は終わりに近い。ここから1分も歩かないところで分岐に出会う。右が高社神社、左が愛宕神社の標示。右は「北周りルート」とマジックインキで小さく書いてある。まずは、北峰を目指すことにして、右に入る。掘り割りの道を抜けて分岐から5分ほど歩くと、左に小さな池が現れた。落ち葉に埋め尽くされた地面にできた小さな池には四隅の木に結ばれた縄が囲いのように張られている。神秘的な池で、何かの謂れがあるに違いないと思った。
 
 池のすぐ先に再び分岐が現れた。左に愛宕神社、秋葉神社とある。高社山、展望台の標示もある。先ほどの分岐まで戻らなくても、ここからショートカットして高社山方面に行くことができるようだ。目の前には石の階段が一直線に上っている。針葉樹に囲まれた石段を登りつめると、大理石で作られた御社のある広場に出た。これが高社神社である。お賽銭を投げて、手を合わせた。神社の横には、改築記念の碑が建てられている。
 
 北峰まで足を延ばすことにして、神社の左から再び山道に入る。アカマツの多いヤセ尾根をゆるやかに登っていくと3分ほどでピークの広場に到着。緑色のポールが1本あるだけで、表示は無い。ここが北峰。この先に御社があるので、そこまで行ってみることにした。緩やかに下っていくと、数本の太い幹を広げたカシの大木が現れた。まるで、この山の主のような堂々たる風格を持つ。この木の左に赤いペンキが塗られた石があり、その道をたどるとヒノキの大木の横に小さな赤い屋根の御社が現れた。御社の前には枯れた松の枝が供えてある。ここでも手を合わせる。道はさらに下っていたが、今来た道を引き返す。
 
 北峰から高社神社へ。神社の階段を下りたところの分岐点から高社山方面に向う。このショートカットコースの道も明瞭。すぐに電柱のある本コースに合流した、合流地点に「小泉ササユリ保存会」の看板があった。看板の周辺をさがしてみたが、ササユリは見つけることができなかった。背の高いホオノキの下を通過。見上げると大きな葉が重なり合い、逆光に透けて、美しい緑色のドームを作り出している。
 
 急斜面を登って緩やかになると道の真ん中に再び御社が現れた。これは愛宕神社。神社を後に、木の根が張る明るい道を歩いていくと、アンテナ施設を囲むフェンスとその向こうに大きな反射板。展望台と呼ばれる場所で、反射板周辺は広場になっており、南側の展望がいい。ベンチのある反射板の下から、多治見市街地を見下ろす。モヤで遠望はきかないが、内津峠の向こうの弥勒山から道樹山への山塊がなだらかな稜線を見せる。
 
 展望の写真を撮ったら、広場を直進。ここにもササユリ保存会の標識。草むらに大きな蕾をつけたいくつかのササユリが見られた。広場にも小さな株があり、踏まれそうだったので石や木で囲いを作った。ランチはここに戻ってとることにし、山頂を目指す。高社山山頂方面は小高いピークとなって見え、登りはわずか。山道に入り、秋葉神社への道を左に見ながら、潅木の樹林帯の中を緩やかに登っていく。この辺りも蛾が飛び回っている。今度はやや大きな蛾で、羽を休めたところを観察すると、キシタエダシャクだった。下羽が黄色のヒョウ柄で美しい蛾である。足元にはカンアオイの葉がいくつか見られる。
 
 小ピークを越えて、もう一度登り返すと明るい空間の山頂に出た。石で囲まれた三角点と高社山と書かれた白い木柱。よく見かける茶色に緑字で書かれた彫刻の標示もあった。木立の中で展望は無い。ここにも緑色のポールが1本だけ木に結び付けてある。さらに先へも踏み跡が見られた。写真を撮って引き返し、展望台まで戻って、反射板の下のベンチでランチに。ところが、クマバチがテリトリーを守っていたので、場所を松の木陰に移してランチにする。今回は、簡単にラーメンと缶詰。ランチの間に3人の登山者が展望台にやってきた。一人の男性は、秋葉神社方面から登ってみえたようだった。弥勒山を目の前に、熱いコーヒーを入れた。さわやかな風が展望台を吹き抜ける。梅雨の前、山の緑が目にしみる。
 
 1時間ほどのランチの後、再び山頂方向に戻り、すぐに秋葉神社経由の道に左折。古いビニールテープが木々に巻きついている。5分ほどゆるやかに下っていくと秋葉神社は左の標示。鉄条網が張られて、直進は関係者以外立入り禁止となっている。ここは、案内に従って左へ。小さな谷を渡って少し登り返し、尾根を乗り換える。広葉常緑樹の斜面を登ってピークから左へ向きを変える。マッタケ山であろうか、青や白のテープが道脇に張られている。緩やかに下っていくと、再び鉄条網が現れ、南に分岐した道がある。鉄条網の内側にも道があるようだ。
 
 明るい尾根になり下っていくと秋葉神社の看板があり、右へ50mほど踏み込むと秋葉神社があった。火の神で、御社には注連縄が下がっていた。ツクバネウツギなどを見ながら、どんどん下っていくと、間伐の行われていない未整備人工林に入り、ガードレールの切れ目から車道に出た。すぐ前に携帯電話のアンテナ。ここから左へ車の通行が多い車道を歩いて、標示から左折。サクライソウの大きな案内板がある。この山はサクライソウの自生地のようで、一度見てみたい花である。車に戻って3時間の山旅を終えた。
 
 山の名前のごとく、この山にはいくつかの神社があり、古くから多くの人々が山に入り手を合わせたことであろう。歴史を感じながら歩くことができ、また思わぬ生き物たちにも出会う。反射板からは展望も良い。低山であり、短時間で周回できる。多治見方面に出かけたときに、手軽に登れる一山である。
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