トレースマップはカシミール3Dで作成
*この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用しています。(承認番号 平25情使、第146号) 

鶴形山〜湯之洞山 (348m 504m 美濃市) 2016.2.7 晴れ 2人

洲原神社(8:50)→登山口・水路(8:57)→岩門(8:58)→今清水神社跡(9:12)→不動の滝(9:18)→大御前神社跡(9:29)→奥御前神社跡(9:35-9:38)→鶴形山山頂(9:56-10:01)→10番鉄塔(10:05)→大きな穴(10:28)→母野洞分岐(11:20)→六角堂分岐(11:26)→湯之洞山山頂(11:35-13:02)→母野洞・六角堂分岐(13:05)→母野洞・鶴形山分岐(13:19)→10番鉄塔(14:07)→鶴形山山頂(14:11)→奥御前神社跡(14:23)→今清水神社跡(14:35)→登山口・水路(14:49)→洲原神社(14:56)

2月7日に美濃市の鶴形山・湯之洞山に登ってきました。
湯之洞山は昨年12月に六角堂から登りましたが、今回は鶴形山を経由して湯之洞山に向かいました。
洲原神社をスタートし、巨大な岩門を潜り、巨石から落ちる不動の滝を見て奥御前神社跡で長良川を展望。
ここから急登して人工林の中の鶴形山山頂を踏みました。
展望のいい鉄塔から踏み跡の薄い尾根を西へ。
道を間違えたり倒木を迂回したりしながら、ルートファインディングしてアップダウンの尾根を歩きました。
南からの尾根と出合い、前回歩いた道に合流して、1ヶ月ぶりに湯之洞山山頂に立ちました。
噴煙を上げる真っ白な御嶽山を見ながら昼食をとっていると、ベッカムさん(HP「ベッカムと山に登ろう」管理人)ご夫妻が登ってみえ、偶然の出会いにびっくり。
帰路も道を誤りながら、登ってきたルートを引き返しました。
偶然の出会いもあり、思い出に残る冬の低山歩きとなりました。

 昨年の12月、鶴形山を東に見ながら六角堂から湯之洞山に登った。鶴形山と湯之洞山は東西の稜線でつながっており、アップダウンはあるものの、1日で2山をピストンできる位置にある。ネット情報でも2山縦走の記録があり、また先月、登山口となる洲原神社の下見も済ませてある。ヤマビルのいないこの時期に、鶴形山経由で湯之洞山に登ることにした。

 起点となる洲原神社には公衆トイレがないので、美濃市にある道の駅「美濃にわか茶屋」のトイレに寄って、洲原神社へ。神社の南側に駐車場があり、車を停めた。駐車場には鶴形山登山道の大きな案内看板があり、ルートの絵も描いてある。社務所の前には看板と同じ登山道の案内チラシが置いてあり、遺跡などがどこにあるのかがよく分かる。

 鶴形山は、古来洲原神社の御山として大切にされ、多くの神祠があり、今でも石積みなどが残っている。また、暖地性植物の北限として学術的にも貴重な自然林で、県の天然記念物に指定されている。
 
 「国道を渡って右へ」の看板の案内に従って、猛スピードで走る車の切れ間を渡り、北へ歩く。3分ほど歩くと空き地があり、民家の横に登山道の標示があった。標示に従って空き地を横断して長良川鉄道の小さな踏切を渡った。

 お寺とは思えない慈光寺に突き当たる。ここから戻るように線路に沿って南に歩くと、すぐに長良川発電所用水路の大きな看板があり、勢いよく流れる水路を渡る。先月、見学した長良川発電所の用水路であり、全長約8kmある水路を明治初期によく建設したものだと思った。看板には当時の建設現場の写真が載せてある。
 
 山道に入り、すぐに左折すると目の前に穴の空いた大きな岩が現れた。岩門である。この巨大な岩に圧倒される。穴の上の岩には裂け目があり、どのようにしてこの穴が出来たのだろうかと思いながら岩の下を潜った。竹で引かれた水場を通過し、地面に落ちているムクロジの実を見ながら、忠魂碑を通過。ジグザグと登って標高を稼ぐ。ギンリョウソウ群生地まで50mの分岐を左に見て、更に登ると今清水神社跡の下で不動の滝への分岐が現れる。滝経由で登ることにして左の道に入る。

 大岩壁に沿って歩き、涸れた谷にかかった橋を渡ると巨大な岩に真っ暗な穴が空いている。近づいてみると、穴の一番奥の天井からわずかに水がこぼれ落ちていた。これが不動の滝。ここの巨岩もなかなかのもので、洞窟のようなところにある滝は珍しい。それにしてもこの辺りは、じめじめしていて夏にはたくさんのヤマビルがいるに違いない。
 
 滝を後に、岩壁につけられた狭い道を歩き、本ルートに合流。更にジグザグ登っていくと左に大御前神社跡・別山神社跡がある。踏み込んでみると建物が建っていた跡には、大量の河原にある丸石が置いてあった。これは、神社前の長良川の川石を持ってお参りすると霊験な力がいただけると言い伝えがあり、奉納された石が積まれている。南側の展望が得られ、長良川を見下ろせる。

 コースに戻って、不動の滝に続く谷を左に見ながら、右山で歩き、黄色い橋を渡って谷を越え、緩やかに登っていくと、明るい尾根に突き当たった。鶴形山山頂は右であり、左には鶴形山の最上部の史跡となる奥御前神社跡がある。神社跡からも長良川の展望が素晴らしい。

 ここで整備された登山道は終わり、この先未整備のルートとなる。頂上の標示に従って尾根を北西に歩く。踏み跡はしっかりしており、テープが木に巻いてある。急な斜面を登り、ウラジロの群落を抜けてピークに立った。山頂のように見えるが、頂上はさらに先の標示。

 ヒノキやコウヤマキの林を下って登り返すと、人工林の尾根に出た。たき火の跡があり、人工林はつい最近間伐が行われたようで、緑の葉を付けたままのヒノキの枝が散乱している。右に標示板があったので行ってみると、ここが鶴形山の山頂であり、標高357.1mと書いてある。樹林の中で展望はない。
 
 記念写真を撮って、さらに西に向かう。ここから先はバリエーションルートであり、この時点で湯之洞山までの道の状況が全く分からず、湯之洞山まで行けないかもしれないと思った。11時30分まで歩いたら昼食をとって引き返すと決め、行けるところまで行くことにした。残り1時間半である。

 踏まれた尾根道を歩くと、5分ほどで鉄塔の下に出た。10番鉄塔である。ここからは左右が開けており、南には古城山など近くの山々が望めた。また北には、母野洞が堂々たる三角形を見せる。
 
 明るい尾根を歩いて行くとすぐに南へ9番鉄塔の分岐、さらにその先で北へ11番鉄塔の分岐を通過。この先で下りとなり、踏み跡は怪しいが、テープがある。灌木や倒木を避けながら30mほど下ると、崖に突き当たった。GPSを見ると、ルートの稜線から左に外れて南の尾根に迷い込んでいる。テープの過信は禁物。

 引き返してルートファインディング。右に間伐直後の人工林があり、天然林との境にテープを結んだ枝が下方に続いている。このテープは間伐のために付けられたようだが、こちらの尾根が正しいことを確認。急斜面を一気に下って尾根を歩く。ここからしばらくなだらかな尾根歩きが続く。
 
 大きな3つの穴があるところを通過し、北側に人工林を見ながら歩く。時折、強い北風が吹き、2枚着ているだけでは寒いと感じたが、ジャケットを着るほど寒くはない。稜線上にはそれなりに踏み跡が確認でき、多少小枝がうるさいところもあるが疎林であり、またテープや枝が払われた痕跡も多い。
 
 少しずつ登っていくが、樹林帯で周囲はよく見えない。それでも左前方の六角堂からの尾根が次第に近づいてくるのが分かった。岩のある尾根を通過してピークに向かって登る。休息を取っていなかったので、少し開けた日当たりのいい場所で休息し、パンを食べた。時間は11時前で、残された時間は少ない。この時点で、おそらく湯之洞山山頂には付けないだろうと思った。
 
 休息もほどほどに、先を急ぐ。ピークを登り詰めると、ヒノキ林の向こうに母野洞が見え、かなり近づいてきた。ピークを下り、再び登りとなる。ピーク手前で、左に明瞭なトラバース道があった。ピークを進むのが確実ではあるが、トラバース道の先に空が見えたので、このピークを巻く道だと確信して、倒木を避けながらトラバースしていく。

 すぐに倒木の丸太がいくつもころがる尾根に出た。鳥獣保護区の赤い看板がある。帰路も、このトラバース道に入れるよう、この看板を目印としたが、後にここが母野洞への重要な分岐点になることが分かった。この辺りから尾根は南に向きを変えており、間違わないようにGPSを確認しながら登った。
 
 次のピーク手前で左山のトラバース道に入り、ピークを回り込み、尾根に出た。突然現れた標示板に驚いた。高山(湯之洞山)と六角堂と母野洞の分岐点の標示板がある。どこの尾根に合流したのかさっぱり分からない。引き返すように、今巻いたピークの六角堂方向の道を登って、ピーク頂上から東を見下ろすと、真新しいロープが設置してある急坂が目に飛び込んできた。これは先月歩いた湯之洞山手前のピークではないか。
 
 ここで2つの疑問が浮上。まず1つは、なぜ前回この標示板を2人が行き帰りに見落としたのか? この謎は簡単に解けた。往路で湯之洞山に向かってピークを下っていくと手前の松の木2本がちょうどこの標示板を隠す位置に立っていること。また、下山時に気がつかなかったのは、六角堂への道から少し離れた母野洞への道に標示板が設置してあり、ピークの道を見ながら歩くと見落としやすい。現に、帰路、標示板を見落としてピークへの道を進みかけた。
 
 もう1つの謎は、なぜピーク東側で六角堂からの道に合流しなかったのか? これはこのピークから北と東に尾根が分岐しており、母野洞は北尾根のトラバース道、六角堂の道は東尾根にあったからである。と、なると湯之洞山山頂は目の前である。ちょうどタイムリミットとした11時30分間近。ロープの設置してある急斜面を登って誰もいない湯之洞山山頂に1ヶ月ぶりに立った。
 
 前回よりも展望がよく、青空を背景に噴煙を上げる真っ白な御嶽山や、中央アルプス、南アルプスなどが望めた。清流長良川も青く輝いている。展望のいい場所で昼食にする。いつものようにおでんと雑炊と缶詰。
 
 昼食をとっていると女性1名が登って見えた。「一人ですか?」と尋ねると、「いえ・・・」と。「ベッカムさんの奥さんでは?」とRAKU-N。聞けばその通りだった。遅れてベッカムさんが登って見えた。久しぶりの再会。以前、よくオフ会のグループで一緒に登ったことがある。HP「ベッカムと山に登ろう」の管理者で、毎週のように山に出かけてみえる。
 
 奥様と出かけられることも多く、後ろ姿がHPの写真と同じだったことから分かったとRAKU-N。この湯之洞山もベッカムさんのHPを参考に先月登ったものであり、その山で出会えるとは全くの偶然である。ベッカムさんお薦めの山であり、奥さんを連れて、湯之洞温泉から登ってきたとのこと。食事の後、4人で記念写真を撮って、我々は一足先に下山。またどこかの山で会えることを楽しみに、山頂を後にした。

 往路と同じ道を戻る。下山とはいえアップダウンの尾根歩きは、時間がかかる。六角堂と母野洞の分岐を母野洞方面の道に入り、鳥獣保護区の看板があるところで、尾根の左側にトラバースする道を発見。分岐点が灌木に覆われて、注意していないと見落としそうな分岐である。

 往路、この看板のところで南にあるトラバース道が尾根に合流したことをすっかり忘れて左(北)のトラバース道に入った。少し歩いてGPSを見ると、北の尾根に入り込んでいる。この道は母野洞への道であることに気がつき、看板まで引き返して、丸太の倒木を見て南側をトラバースしてきたことを思い出した。
 
 南の道は北に比べて踏み跡はかなり薄い。往路に戻ったことを確認して、東に向かい、アップダウンしながら10番鉄塔、神社跡を通過。不動の滝には寄らず、今清水神社跡を見て登山口に戻った。高速で走る車に注意しながら、国道沿いに歩いて洲原神社に参拝し駐車場に戻った。
 
 鶴形山から湯之洞山まではアップダウンの稜線でつながっているが、正式な登山道ではなく、薄い踏み跡がある程度。主尾根を忠実に歩けば問題は無いが、ピークから尾根が二股に派生しているところがあり、ピーク頂上で進む方向を確認する必要がある。特に、ピークを巻くトラバース道は違う尾根に入り込む可能性が高いので、確実にピークを巻く道かどうかを見極めることが重要。今回もGPSに救われた場面がいくつかあった。ルートファインディングを楽しむにはおもしろいコース。なお、鶴形山にはヤマビルが生息しているので冬場に登るのがベスト。

 次回は、残された母野洞に登りたい。
★鶴形山・湯之洞山からの展望


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