茶臼山  (234m 高富町) 2002.5.19 曇り・小雨 2名

伊佐美不動バス停(11:51)→尾根(12:13)→465鉄塔(12:13)→茶臼山山頂(12:27)→464鉄塔(12:31)→茶臼山山頂(12:33-12:48)→465鉄塔(12:58)→466鉄塔(13:03)→伊佐美不動バス停(13:24)

 伊吹北尾根へ行くつもりで早起きしたところ窓の外は雨。天気予報では午後に天候が崩れるはずなのに。やむを得ず、今日の山行は中止して、朝寝。遅く起き出して外を見ると雨は小降りになり、西の空が明るい。岐阜市北部へ行く用事があったので、せっかく山行の用意もしてあることから、近場で登っていない山を探し、高富町の茶臼山を選んだ。コースタイムは登り40分の超低山である。標高が、234.5mと数字が並んでいるのもおもしろい。

 茶臼山は、国道256号線を北上し、美山町と高富町大桑への分岐点に突き当たった北にある低山と言えば分かりやすい。分岐点から桜尾小学校を右に見て、旧道を山沿いに北上。伊佐美不動前の三叉路の膨らみに車を止める。

 伊佐美不動バス停前の小さな橋を北に渡り右折。川を右に見ながら山側へ伸びる舗装道路を東へ歩く。集落の中を道なりにクランクして、神社の鳥居を左山側に見ながら集落を抜けると、左に巨大な砂防堰堤が現れる。小さな橋があり、登山口は、この橋を渡らずに左折したところにある。

 草の茂った道に入り、堰堤左のフユイチゴが茂った斜面を登り、倒木をまたいで杉林に入る。下草が雨で濡れおり、ズボンの裾が濡れる。スパッツを付けるべきだったと後悔しながら、暗い人工林の中を行く。クモの巣を小枝で払いながら、湿った落ち葉を踏んでジグザグの道を登れば直ぐに尾根に出る。鉄塔管理標識があり、山頂へは右へ行く。

 道は鉄塔管理路であり、しっかりしている。小雨が降りはじめたので、傘をさして歩く。杉林の下草にウラジロが茂り、ちょうど新葉が展開したところで、無数の鳥が翼を広げて飛び立とうとしているようだ。黄緑色の葉が雨に濡れて美しい。横から見ると、網状の造形物が整然と並んでいる。自然が作り出した芸術である。

 しばらくして、明るくなり、465鉄塔の下に出る。南側が開けている。鉄塔の下をくぐって、逆方向に山道を登れば、田植えが始まった水田と如来ヶ岳、眉山、金華山、百々ヶ峰の里山が望める。コース上ではここが唯一の展望地である。

 ゆるやかな登りを北から東に向きをかえて10分程度歩くとT字路に突き当たる。鉄塔管理標識には、右に464鉄塔とある。左へもしっかりした道がついている。さて、山頂はどちらか。地図を見るとこのあたりが山頂のようだ。足下にコンクリート柱の頭が出ている。三等三角点である。ここが山頂であった。樹間から周りを見てもここより高い山はないようだ。なだらかな山であり、全く山頂らしくない。展望もない。

 南に下り、登り返せばすぐに464鉄塔の下に出る。ここからも展望は得られない。展葉したホウの大きな葉が美しい。山頂まで引き返して、写真を撮る。雨はやんだが、昼食をとるような雰囲気の山頂ではないので、来た道を引き返した。一番低い位置にある466鉄塔に寄ってみた。ここからは西側が開けており、釜ヶ谷山が望める。

 花も展望も少なく、どこにでもあるただの山である。しかし、雨に濡れた木々や下草、落ち葉など、晴れた日に登る山とは違い、何か生命のエネルギーを感じる。シダの葉の新緑やネジキの小さな花、ホウの葉に当たる雨の音など、この山に来なければ体験できないものを得ることができた。以前に西穂山荘でお会いした東京の女性の方が「美しい花、森林の香り、鳥の声、肌で感じる風など、五感の全てを働かせる山歩きは、まさに総合芸術」と言われたことを思い出した。雨に濡れた山でないと感じない良さを知ることのできた、静かな山旅でした。

 遅い昼食を、車で5分ほど北に行った四国山公園でとることにした。四国山公園は名前のとおり、四国八十八箇所のミニ霊場を回ることができるように遊歩道が整備されている。霊場ごとにりっぱなお地蔵さんが2体づつ立っており、番号と寺名が書かれている。10mほどの間隔で並んでいる所もあるが、全部回るとかなり歩くことになる。山はなだらかで、ウォーキングには最適である。

 ボーイスカウトで賑わう芝生広場を後に、お地蔵さんに手を合わせながら展望台まで登り、誰も来ない東屋で昼食をとった。雨もすっかり上がり、展望台からは先ほど歩いてきたなだらかな茶臼山がよく見える。3本の鉄塔の位置から歩いたコースが分かる。

 昼食後、西にある山頂を経由して駐車場まで下った。途中、人工林の中にたくさんのシライトソウが花を咲かせていた。雨上がりの林の中で真っ白に立ち上がった無数の花は、今日の山歩きのフィナーレにふさわしくすばらしい光景でした。
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